客船しか泊まれないはずの大さん橋に、突如貨物船が停泊! その理由とは?
ココがキニナル!
先日、大さん橋に明らかに貨物船? のような船が泊まってました。大さん橋は客船ターミナルなはず! なぜ貨物船が泊まっていたのでしょうか?(ハマ太郎さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
投稿にあった貨物船「さがみ」は新造船で、2013年11月お披露目式として大さん橋を利用。平和利用でターミナルが空いていれば、客船以外も停泊可能
ライター:河野 哲弥
スポーツイベントと大きな関わりがある、大さん橋の歴史
戦後、アメリカ軍によって利用制限を受けていた大さん橋は1952(昭和27)年、晴れて接収解除となった。その後、1964(昭和39)年に東京オリンピックが開催されることが決まると、それに合わせてターミナルを新設。本格的な客船ふ頭に向けた改修が行われた。
現在のような姿になったのは、2002(平成14)年のこと。各施設の老朽化もあったが、この年には「2002FIFAワールドカップサッカー大会」が行われたため、大型客船への対応など、さらなる機能の充実が求められたのである。
5万トンクラスの客船、「飛鳥Ⅱ」が出発する様子
現在大さん橋には、年間で約150便の客船が発着しており、世界でも屈指の客船ターミナルとなっているそうだ。
では、客船以外の受け入れについては、どうなっているのだろう。
湯井さんによれば、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の所有する各海洋調査船が集結し、同法人の基地では停泊しきれないときなど、空いていることを前提に利用を許可することもあるのだとか。
以前「地球シミュレーター」を取材したときに撮影した、「ちきゅう」の模型
また、民間船が故障し、本来の港に入港すると後がつかえてしまうため、緊急非難として受け入れた事例もあるのだとか。
こうした非常事態を除き、空きがあり、危険物(放射性物質など)を搭載していない限り、利用の可否を都度判断しているそうだ。
ではここで、「さがみ」の船主である井本商運にも、話を伺ってみることにしよう。
実は、横浜にゆかりのある貨物船だった!?
同社管理部の大橋郁(おおはしいく)さんによると、「さがみ」は、横浜港の更なる活性化を目指して造られた船とのこと。
例えば、北海道から欧米に向けて貨物船を就航させる場合、韓国の釜山港を経由するケースが一般的なのだとか。なぜなら、横浜港を中心とした国内の船便が、充実していなかったからである。
「さがみ」の進水式の様子(画像提供・井本商運株式会社)
そこで同社では、横浜市と連携しながら、北海道や東北地方と京浜間を結ぶ大型船の就航計画を進めてきたそうだ。横浜の各港を貿易拠点とするためには、国内流通網(フィーダー船)の整備が先決という訳。京浜地区を中心とした国際コンテナ湾港の競争力強化は、国土交通省が計画した成長戦略にも掲げられている。
こうして2013(平成24)年11月に完成したのが、全長約110メートル、総トン数2446トンに及ぶ国内航路最大(同社発表)のコンテナ船「さがみ」。船名はもちろん、神奈川県を含むかつての行政区分、「相模国」にちなむもの。
大さん橋で目撃されたのは、本牧港へ輸入されたコンテナが大さん橋を経由して北海道の苫小牧港に運ばれる、まさにその瞬間だったのだ。
市から山市船長(写真・中)へ記念盾が贈られた(画像提供・井本商運株式会社)
なお、「横浜は神戸に比べ、古くからの市街地と港湾エリア・ウォーターフロントが非常に近接していて、港のにぎわいがそのまま街のにぎわいに繋がっているような印象を持っております」と大橋さん。
「みなとまち横浜の活性化に少しでも貢献できるよう、引き続きがんばって参ります」とのコメントもいただいた。
横浜港で「さがみ」を探せ
大橋さんによれば、「さがみ」は、京浜急行神奈川新町駅に近い「鈴繁埠頭(すずしげふとう)」にも寄港することがあるとのこと。そうなれば、ベイブリッジをくぐる同船の姿が、いつか見られるかもしれない。
海を見る機会があったら、青い船体を探してみては
もし目撃することがあったら、ぜひ、編集部に知らせてほしい。
横浜を元気にするために活躍している同船、ハマっ子としては、ぜひエールを贈ってあげたいものだ。
―終わり―
Nicksさん
2019年04月28日 02時25分
横浜港の大桟橋国際船客ターミナルや山下埠頭は、世界的にも都市部に直結した唯一の岸壁で、とくに大桟橋は大勢の人がすぐに来れて、高い収容能力があるので、新造船の就航セレモニー、特殊な船のイベントなど、客船の接岸予定のない時間帯を積極的に有効活用していくことがいいと思います。海事関連の学習の場であるし、このような場や機会がきっかけとなって、将来日本の海運で職に就きたいと考える子供や青年たちを生み出す場になると思います。横浜港はクルーズ、コンテナ輸出入、車両や機械の輸出入とともに、人の出逢いや交流や人生の交差路でもあるので、横浜のもつ最大の強みとして横浜港を様々な視点から活かしてほしいと思います。
ホトリコさん
2015年03月14日 10時59分
護衛艦が着岸していたのはイベントだからですかね?滅多に見られない光景だったから記憶違いは無い筈ですが。
ゆたかさん
2014年01月19日 11時14分
今はクルーズ客船で、純客船が多いですが、以前は定期航路の貨客船の寄港もかなりあったので大桟橋も貨物の取り扱いがあったと思いますよ。その頃は港湾施設も全体的に不足してましたから、大桟橋に貨物船というのも珍しいことではありませんでした。