横浜発祥の「牛鍋」と「すき焼き」の違いは何?
ココがキニナル!
横浜が発祥と言われる牛鍋って、すき焼きとどう違うの?/「まとめて報告では「牛鍋とすき焼きの明確な違いはない」としているが、違いますよ~(フランケン面さん/とうさんさん/maniaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「牛鍋」と「すき焼き」の違いは作り方にあった!「牛鍋」は牛肉を割り下でグツグツ煮るのに対し、「すき焼き」ははじめに肉だけをジュージュー焼く。
ライター:藤井 涼子
創業119年の歴史!荒井屋へ
荒井屋は、じゃのめやから徒歩5分程度のところにある。
出迎えてくれたのは、荒井屋4代目、美人女将の荒井順子さん。
創業1895(明治28)年の荒井屋
歴史を感じる、趣ある個室に案内していただいた
椅子に座るなり、さっそく牛鍋とすき焼きの違いについて質問すると、「一言でいうと、牛鍋は『グツグツ』煮るもの、すき焼きは『ジュージュー』焼くものです」とのこと。
牛鍋は、一人分の肉や野菜を鉄鍋に入れ、そこに割り下を注ぎ火をつけてグツグツする。
すき焼きは、はじめに肉をジュージュー焼き、その後にネギや野菜などを加えていくというもの。肉を焼く時の味つけが「ざらめ(砂糖)と醤油」の場合には関西風すき焼きと言われ、割り下を使う場合は関東風すき焼き、と言われるということだそう。
なるほど、じゃのめやの山崎さんの説明と全く同じ内容だった。
牛鍋の歴史背景にも詳しい女将さん
牛鍋は横浜発祥と言われている。横浜港が開港し、横浜に外国人居留地ができた。
そこで、外国の人々が食べていた牛肉に日本人が興味を持ち、食べ始めるようになったのが、幕末から明治初頭ということらしい。
当時は、食べ慣れていない牛肉のくさ味を消すために、醤油や味噌を使い鍋で煮込むということをやってみたところ、あまりの美味しさに大流行したということのようだ。これが牛鍋の始まりとなる。
山崎さん同様、やはり女将さんも「牛鍋は横浜発祥、すき焼きは関西から流れてきた雰囲気がある」と話していた。
牛鍋とすき焼きの違いを見る!
荒井屋には「牛鍋」と「すき焼き」の両方のメニューがある。
その調理法がどう違うのか、実際に見せていただいた。
はじめに牛鍋から。
火をつける前に、肉や野菜、豆腐などの材料が全部鍋に入っている。
写真は牛鍋の「あおり」1人前3500円(消費税込、サービス料別)
ここへ割り下を入れ、火をつける。はじめは強火で煮るのがコツだそう。
秘伝の割り下は10種類程度の材料を使用しているそう
肉を返しながら、グツグツ
さっと煮えた肉を一番初めに味わう。
その後に、煮込んで割り下の甘辛い味が染み込んだ野菜や肉を一緒に食べる、というのが牛鍋の美味しさだ。
生卵にからめて、いただきます!!
荒井屋ではA5ランクの牛肉を使用しているとのこと。
全体に脂のサシが入っていて、やわらかく、もちろん美味しい。ひと口めの肉はさっと煮ただけなので、それほど割り下の味が強くなく、肉本来の旨みが味わえると感じた。
徐々に味が染み込んでいく肉と一緒に生卵をたっぷりからめて食べていく、という味の変化も楽しめた。
続いて、すき焼き。
特撰5000円(消費税込、サービス料別)写真は1人前
はじめに熱した鉄鍋に牛脂を入れる
火をつける前に、材料をすべて入れていた牛鍋とは違い、熱した鉄鍋へ一枚ずつ肉を入れて焼いていく。
ジュージューと音がし、香ばしい香りが漂う
荒井屋のすき焼きは、割り下を使った関東風だ。肉に火が通ってきたら、割り下を注ぐ。
ジャーー!!
そして、はじめに肉をいただく。
すき焼きも生卵が必須でしょう
はじめに焼きつけているので、牛鍋に比べてすき焼きの方が肉が香ばしい。
荒井屋では「牛鍋とすき焼き、半々くらいの注文数」とのことで、確かに甲乙つけがたい美味しさだ。
何枚か肉を食べた後、野菜や豆腐などを加えて煮る。
荒井屋では太くて甘い「千住ねぎ」を使用しているそう
これですき焼きは完成。このまま煮込みつつ、生卵につけていただく。
「普通の家庭で食べている『すき焼き』とは、みんな牛鍋なんじゃないかしら」と女将さんは言っていたが、同様のことを、じゃのめやの山崎さんも言っていた。
確かに、冒頭に紹介した「男の作法」に載っていた二通りのすき焼きの作り方のうち、「安い肉の場合は」と紹介してあった作り方は、牛鍋の作り方だ。
牛鍋とすき焼きには作り方という点で明確な違いはあったが、普通の家庭で食べるすき焼きは、そこまで厳密に「牛鍋かすき焼きか」使い分けていない、ということのようだ。
<まとめ>
「牛鍋」・・牛肉と野菜を一緒に鉄鍋に入れ、そこに割り下を流し入れた後、火をつけて『グツグツ』煮るもの。
「すき焼き」・・はじめに肉を鉄鍋で一枚ずつ『ジュージュー』焼き、その後に野菜を加えていくというもの。
すき焼きには、関東風と関西風の2種類がある。
関東風は、割り下を使用するのに対し、関西風は割り下を使用せず、ざらめ(砂糖)と醤油を使って味付けする、というもの。
取材を終えて
はじめに、このキニナルを読んだ時には「牛鍋とすき焼きの明確な違いなんて調べても分からなそうだし、無理・・・」と逃げ腰だったが、編集長・吉田の強引な取材依頼により、結果としてハッキリとした結果が出て安心した。
牛鍋とすき焼きを同時に食べる、という人生初の経験をしたが、個人的には牛鍋の一枚目の肉の味わいの方が、ふんわりしていてやわらかく、肉と脂の旨みがストレートに味わえる気がして、もう一度食べるなら牛鍋が食べたい、と思いつつ帰路についた。
次はランチかな
―終わり―
部長さん
2016年09月23日 15時24分
編集長・吉田に「調べろ」と言われたは、ヨシダ・ハラスメント。新人に爆盛りを食べさせるのもヨシダ・ハラスメント。はまれぽのブラックボックス。
のんべえさん
2016年02月12日 20時01分
『よーし!ちょいとスーパー行って牛肉買うてきて自分でつくるか!』『いやいや、記事のような味はだせへんやろ!』
セブンさん
2015年12月18日 10時41分
旦那が、荒井屋の牛鍋食べに行ってました! めちゃくちゃ美味しいって大興奮してました。