横浜のごみ焼却炉では分別したプラも燃やしてるの?
ココがキニナル!
横浜のごみ焼却炉は高性能とのことですが、一方で生ごみなどは、焼却能力を落とすため、プラなどの分別したものも結局は一緒に燃やしていると聞きました。本当でしょうか。(takedaiwaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
一緒には燃やしていません。でも、プラスチックがあったほうが燃えやすいのは事実です。
ライター:吉岡 まちこ
まっこうから違う、ごみ焼却の考え
今、ごみへの考え方は大きく二つに分かれている。
たとえば東京23区などでは、平成20年から「サーマルリサイクル」といって、ペットボトルや一部のプラスチック製品を除き、全部を燃やしてしまう方向に転換。高温完全燃焼できる炉でダイオキシンを抑え、ガンガン燃やして発電しようという考えだ。
世田谷清掃工場の職員の一人は言う。「一般論として言いますが、リサイクルで出る残渣物(ざんさぶつ)の処理や、汚れを洗い落とす水の量を考えると、燃やすほうがコストは少ない」。
確かに東京23区では、埋立て最終処分場の延命化にもつながり、平成17年と平成21年との比較で、売った電力の増収が約11億円、その他の経費も合わすと約53億円もの経費削減になっている。
電力不足が切実な今、それは価値があるようにも思える一方、温室効果ガスの排出が増えていることや、今後の炉の修理費を考えると、主流になるスタイルかどうかは未知数だ。
横浜市が「G30プラン」成功の次に、資源ごみも燃やすごみもさらに10%削減しようという「ヨコハマ3R夢(※スリムと読む)」に取り組んでいるのとは、逆方向に歩み出しているともいえそうだ。
※「3R」とは、ごみそのものを減らす「リデュース(Reduce)」、何回も繰り返し使う「リユース(Reuse)」、分別して再び資源として利用する「リサイクル(Recycle)」の3つのRをさす言葉。
工場内に掲示されている、ごみ焼却の過程。右側にごみピットが見える
排ガス処理のシステム。複雑で素人には何が何だか?!
この夏よろしく、と東電から頼まれた
他都市でごみ焼却による発電がうまくいっているなどと聞くと、横浜市ではちゃんと発電できているのだろうか?と気になる。
発電について伺ったところ、久松さんもその点ちょっと誇りのようだ。金沢工場ではボイラーで蒸気を作り、タービンを回してできた電力で施設内の冷暖房・照明をすべてまかなっているとか。しかも隣接する下水処理場(正式名;環境創造局 水再生センター)にも提供。それでも残る4割を民間の電力会社を通して東電に売っている。
その額、金沢工場だけでも年間6億3,000万円。電力量にして5,790万kWh。
横浜市全体で売った電力は、年間20億円、1億7,400万kWhにものぼっているという。
1億7,400万kWhという数字は、原発1基分の30~40分の1くらいではあるけれど、それでも約3万5,000世帯分の年間消費電力をまかなっている。
「実はいま、夏に向けてピットにわざとごみを貯めているんです。東京電力からもっと発熱してくれと、頼まれて」。
この夏は3つの炉を全開にして発電しまくるのだとか!
発電用のタービン。「ただいまの発電電力は14,100kW」とのテロップが
取材を終えて
キニナル投稿にあるような、せっかく分別した包装プラやペットボトルを燃やしているという事実はなかったが、ごみを経済的に燃やすにはコツがあることがわかった。
いつか横浜市に焼却工場は1軒だけ、なんていう時代が来るかもしれない。
取材するまで、この電力不足の時に限っては、何もかも燃やして発電するのが合理的なのではと感じていた。
でもリサイクルできる物はとことんリサイクルしてごみを減らそうという横浜市の姿勢は、とても丁寧でスマートにみえた。
金沢工場では、隣の下水処理場に電力をあげる代わりに、炉を温める時に使うメタンガスと、清掃用の処理水を供給してもらっている。循環もとてもうまくいっている印象だった。
掲載した写真以外にまだまだ見どころもたくさん。
個人での見学も随時受け付けているので、一度目で確かめるのもおすすめだ(要予約)。
■お知らせ
2011年7月24日(日)には「金沢工場3R夢!フェスタ(夏)」を開催。
バス見学ツアー、ペットボトルロケット制作&実射、サイエンス教室、パンの販売、ミ二収集車体験など。
開催時間 10時~15時 ※入場料無料
横浜新都市交通シーサイドライン 並木中央駅から徒歩15分 幸浦駅から徒歩12分
【お問い合わせ】資源循環局金沢工場 TEL 045-784-9711
― 終わり ―
NATOさん
2020年06月05日 16時12分
かなり持ち上げてるけど、横浜のゴミ処理は環境負荷云々をあまり考えてなくて、ゴミ処理施設をいかに痛めないかということに腐心している印象を受ける記事だったG30というお題目自体が「ゴミ30%削減」、「ゴミゼロという意味もあります」というあやふやな物だったよな
しらいしさん
2015年12月16日 17時30分
ダイオキシンが無害というのは…唖然としたのでコメントです。見学会とか行ったことありますが…横浜市はプラ製品でも「容器包装に使われているプラスチック製品」を分別対象にしているだけで、オモチャやビデオテープ等のプラスチック製品は普通に燃やしてますよ。記事にあるように高温で燃やすことでダイオキシン発生を抑え、記事中には無いモノの有毒物質の排出をほぼゼロにまで減らす設備も整えているそうです。当然ですね…。記事には無いですが、見学会でハナシを聞いた時に焼却灰の埋め立ての問題もあるので出来るだけ燃やさない方向に向いているように感じられましたので、科学的な実証云々の前に物理的な問題からも分別して欲しいんじゃないでしょうか。
うみさん
2015年11月10日 00時43分
ダイオキシンの毒性が有効なのはラットだけで、人間に害は無いという事実はどうなるのでしょうか?ダイオキシンが有毒だからプラを一緒に燃やさないというのは成り立たないと思います。ゴミの分別の意味をもう一度科学的に実証して欲しいと願います。