日本代表選手も所属! 全国優勝を経験した電動車いすサッカーチームの「横浜クラッカーズ」に潜入取材!
ココがキニナル!
電動車いすサッカーで、Yokohama Crackersが優勝し、日本チャンピオンになったと聞きました。どんなスポーツなの?とキニナル!ぜひ取材してください!(mimiaさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
電動車いすサッカーはまだまだ発展途上のスポーツだが、横浜クラッカーズは、クラブ員全てが一丸となって目標に邁進する素晴らしいチームだった。
ライター:かわいよしひこ
手に汗握る実践での練習
さてここからは、当日見学させてもらった練習の模様をレポートしていく。
この日は、平野監督が以前在籍していたYOKOHAMA BayDreamとの合同練習会で、主に試合形式の練習が行われた。
練習前に両チームが集合
実際に電動車いすを操作している様子や、動き、ボールさばきを初めて見た印象は、思った以上にパワフルなシュートができること、巧みにボールをコントロールするドリブルやワンツーといったパスワークなど、単純なゲームではなく、相当高い技術が必要な競技スポーツだということだ。
iPhone5Sと比較したボール(13インチ/32.5cm)。通常の公式試合球は22cmを使用
電動車いすに取り付けられたジョイスティック型のコントローラーを操作し、前後の動きと回転の組み合わせで自在に動き回る、そしてバンパーでボールをコントロールする。シュートやパスは、回転する距離、速度によって、その強さを調整できるわけだ。わかりやすくいうと、強力なパスやシュートは、回転しながら遠心力を応用し、バンパーでボールをはじくということになる。
こちらは紺野勝太郎さんのマシンです!
電動車いすに関して三上さんに話を聞いてみた。
「僕のマシンはアメリカから輸入していて、機能も優れた最新機種なんです。でも、選手それぞれでメーカーは異なりますので、そこでの性能の差は多少ありますね。あとは、障害の度合いによって、どのように座るか(固定するか)、という点でも人ぞれぞれです。完全に自分専用のマシン、ということになりますね」
ちなみに、三上さんの電動車いすのお値段は約1万ドル(日本円で約100万円ほど)だったということ! さらに、内蔵する2基のモーターやバンパーなどメインテナンスも欠かすことができず、出費に関しては頭を悩ませる要因の一つのようだ。
では、練習試合の様子を見ていこう。
センターにボールを配置して試合開始!
ゴールを守る西川さんのうしろから
相手チームコートへ攻め上がっています!
なかなか写真では分かりづらいかと思うが、シュートの威力だけでなく、スルー・パスや、ボールを挟んだ際、フェイントなどを使った駆け引き、時にバンパー同士がぶつかる音が響くなど手に汗握る場面が何度もあった。
タッチを割るとキックインで再開
両チームの監督からはアドバイスや、時に体育会系な激しい檄(げき)が飛ぶなど、練習とは言え真剣そのもの。その理由は、もちろん勝負に勝つということ、そして絶対にけがをしてはいけない、ということがあるだろう。そういった事故が起こらないように、選手、スタッフそれぞれが常に声をかけ、注意を払いつつ試合を行っていた。
紺野勝太郎さんのお父さんが主審
ちなみに、主審はそれぞれコーチ資格を持つスタッフが担当していたが、線審はチームのスタッフのほか、選手の家族も交代しながら行っていた。そんなチームを支えるスタッフである、マネージャー金田真咲(まさき)さんに、チーム運営について話を聞いた。
子育ても奮闘中の金田マネージャー
「私たちのチームは選手とスタッフでクラブを構成し、一緒に運営しています。活動には、ご家族、ボランティアさん、ヘルパーさんにサポートしてもらっており、運営自体は選手たちが出し合うクラブ費で行っている。選手一人一人がクラブの役員になって、主体的に運営しているチームなんです」
過去にはサポートしてくれた団体もあったそうだが、現在はクラブ員のみで運営しているとのこと。また、協会登録費や遠征費用など、やはり資金面ではなかなか大変な面がうかがえた。
金田さんは、電動車いすサッカーが生活の一部と感じるほどどっぷりハマっているそうだ。横浜クラッカーズとして今後の展望について聞いてみた。
「現在は人数も増えてきたので、もう少し人手があると、より良い環境で練習ができるなと思います。でも私たちスタッフは監督、コーチやマネージャーとそれぞれが役割分担し、自分の得意なことをやらせてもらっているので、そこは楽しいです。あと、選手も同じクラブ員として、広報をしていたり、事務局の窓口をしたり、それぞれができることを行っているんです。そうやって、“一緒にチームを作っている”と思ってくれる仲間がもっと増えるいいですね。」
取材を終えて
今回の取材で初めて電動車いすサッカーに触れ、まず競技スポーツとしての魅力を感じ、選手たちの躍動感に感動し、スタッフ、ご家族たちの誠実なサポートにより成り立っているのだと分かった。
「自分のところに良いボールがきて、ゴールが決まったときは楽しいしうれしいです」と西川さん。
「私の強みは、狙ったところにシュートが打てるということ。もちろん失敗することもあるんですけど、試合本番でうまくいくとうれしいですね」と永岡さん。
「戦術に併せて、自分の役割を果たして、チームの連携がうまくいってゴールが決まるとすごく楽しいです。これがチーム・スポーツの醍醐味ですね」と三上さん。
一致団結チームミーティング
そして、「クラッカーズというチームは、全国を見ても個性的ぞろいで、まとめる方は大変ですが(笑)、でもまとまったときの力はすごいですし、選手、スタッフが最後まであきらめない、素晴らしいチームなんです。私たちは『赤い魂』というキーワードを掲げ、選手スタッフ含めみんなが熱い気持ちでつながっている。それが力にもなっているんです」と平野監督が語るように、横浜クラッカーズとしての一体感を感じた。
そして、「横浜クラッカーズを知ってもらい、電動車いすサッカーをもっとメジャーなスポーツにしていきたい」という。
試合前の緊張感
こんなにも面白く、熱く、心揺さぶられるスポーツは、ここ最近では出会っていなかったと思う。電動車いすサッカーは、試合の際は無料で観覧することが可能なので、興味を持った方は、まずは1度でも足を運び、その魅力を肌で感じていただけたら幸いである。
―終わり―
取材協力
電動車椅子サッカークラブ「横浜クラッカーズ」
http://yokohamacrackers.iinaa.net/index.html
ホトリコさん
2014年10月20日 12時10分
手動(?)の専用に改造した車椅子サッカーは確かパラリンピックの種目にもあったような、見たことがあったような。見たことがあったような車椅子サッカーは両腕かあるいは一本しかない腕が筋肉ムッキムキで、むしろアマチュアサッカーよりも格闘的だった。電動だから老若男女幅広く参加できるのですね。個人的予算はかなり少ないですが、サッカーならブラインドサッカーも見に行くほどなのに、電動車椅子サッカーは初めて知りました。