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戸塚区汲沢、どう見ても普通の民家の「ふるかわ」にたつ不思議なのぼりの正体と長野名産「おやき」の味は?

ココがキニナル!

戸塚区汲沢に、長野名産おやきの店「ふるかわ」というのがあり、お店がどう見ても普通の家なんです。でも表札の下にメニューが貼ってある。この一見不思議な店、その謎を探って!(海の狸さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「おやきの店をやりたかった」という、料理の上手だった母の遺言を引き継ぎ、会社を定年されたご主人が一念発起して開いたお店だった。

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ライター:細野 誠治

望郷の長野。掌に載せた、母の味(つづき)



保雄さんは東京(横浜)へ出て働き、祥子さんと出会って結婚。一男一女をもうけ、現在では大学生のお孫さんもいる。

末っ子だった保雄さんは、お母さまの血を受け継いだのか小さいころから料理が好きだったそうだ。
料理のほかにも釣りやゴルフなど多彩な趣味を持っていた保雄さん。定年後は趣味にどっぷり浸かるのかと思いきや・・・。

「ずっと、母の言葉が残っててね。やりたかったんだったら、俺がやろう、と」
 


俺がやろう


定年間際、建てたばかりの家を改造しリビングを調理場に改装。役所などの届け出や食材の調達方法や選定をすべてひとりで行い、開店にこぎ着けたという。

野沢菜漬けは長野県産、小豆は北海道、野菜は毎日市場に行って自分で確かめたものだけを使う。モチモチ食感の小麦粉は半年かけて見つけた逸品もの(銘柄は絶対に秘密)。

こだわり抜いた食材での試行錯誤の末、ようやく子どものころに食べた味を再現したそうだ。
 


「ふわふわして、不思議な手なんです」と祥子さん


保雄さんの手は、触ると女性のよう。

「店を出す、と決めて兄弟全員と家内(祥子さん)で母の墓前に報告しました」
「ようやく、お義母さんにご挨拶ができた気がしました」と祥子さん。
 
筆者は歳を取った。鼻の奥がツンとする。
子どものころに食べた味を50年経っても忘れずにいて、再現して店まで出してしまうとは、なかなかできることじゃない。

――どうです、完璧に再現できましたか?
「できたと思う。当時はなかったオリジナルの“餃子風味”とか作ってるし、越えたかな(笑)」

「あのころは、ものがなかったんだから・・・」と祥子さん。
照れ隠しとリップサービスかな。それでも、すっごく美味いと思う。
 


餃子の具を入れ込んだ餃子風味。ビールとの相性バッチリな味!
 

メニューは10種類プラス、季節ものの餡もある。価格はすべて140円


手が込んでいて、素材にこだわりまくった「おやき」。価格も安い。
利益は、ほとんど出ていないそうだ。それでも「夢だから」と保雄さん。

この、おやきが売れている。来客に波はあるものの、近隣を中心に支持され広がっている。
出勤前のサラリーマンの朝食がわりに(開店は朝9時ながら、常連さんのリクエストに応えての販売)。
近所の子どもたちの放課後の、おやつとして。
幼稚園児の「初めてのおつかい」の舞台として。
 


外の階段がお客さんで埋まることも


そして大口の依頼も舞い込む。
買ってみて「美味しい」ということで贈答用に10個20個、30個と冷凍のまま購入されたりも(「ふるかわ」では地方発送も請け負っている)。

大口の依頼で、横浜市内なら配達までしてしまう。
「運転も好きだしね」と保雄さん。
 


今では日本中に顧客がいる(本場の長野県からも引き合いがある)


区役所からの依頼を受けて出張販売をし、用意した2000個をあっという間に完売してしまったり、某国会議員が取り寄せていたりと大勢のファンがいる味。

食べてみれば納得する。モチモチしているから腹持ちもいいし、何より美味しいからつい手が出てしまう。
 


筆者お気に入りの小倉あん


宣伝らしい宣伝は一切せず、オープン時に近所にビラを配ることだけで始めた店が、口コミと美味しさで広がっていった。やがて評判は、7年間で日本中から引き合いの来るまでになった。戸塚の隠れた名店だ。
「ようやく軌道に乗ったところです」と保雄さん。

母が、やりたかった店。受け継いで始めた店。利益は、ほとんどない。
好きだから、やっている店。
「何よりね、作ったものを“美味しい、美味しい”って言って喜んでいる顔を見るのがね、本当に嬉しい。だから、やってるの」
 


長野に暮らした、ある親子の願いが叶った店だ


生地をこねて、寝かせること3時間。餡を入れて大判焼きの方に入れて形成、両面をこんがりと焼く。保存料などの添加物は一切なし。だから冷凍して保存。
作業は立ちっぱなし。大変だ。
それでもやりたいから、やっているお店。
 


型は4個口が2個。これで多いときには週に500~600個を作ることも!
 

冷蔵庫は大型2台と業務用1台と大量にストックされている


「有名になると、困っちゃうな」と保雄さん。
確かに・・・。でも知ってほしいなと筆者は思う。

想いを乗せたものなら、感動できる。それに、半世紀も願った(待った)店だなんて、応援しなければハマっ子の名が廃る。

いい店でした。長野名産おやきの店、ふるかわ。



取材を終えて



「看板を見て、何だろう? と訪ねてくる人が全体の3分の1です」と保雄さん。
皆、キニナっている店なのだろう。
人の想いはそれぞれで、紐解くと想像もつかないことに出くわす。
今回、筆者は「いいお店」に出会えたのだと思う。
 


長野から、横浜市戸塚へ


オープンから7年。ようやく軌道に乗った店。
保雄さんは「体もキツイし辞めようかと思ったけど、保健所に申請してもう7年やることにしたんだ」と言った。

そうそう、ぜひ続けてください。ようやく叶った夢です、全国のファンはもちろん、お母さまも応援してるんですから!
 


そんな、おやきの店でした



―終わり―
 
長野名産おやきの店「ふるかわ」
住所/横浜市戸塚区汲沢3-12-24
電話/045-864-7858
営業時間/9:00~18:00
定休日/火曜日
 

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  • だいぶ前に投稿していたので、採用されたと気づいてませんでしたσ(^_^;)調べて頂きありがとうございました。僕も2度ほど買いに行ったことがあり、本当は自分で聞けば良かったのでしょうけど、こんないい話であれば、やはり、はまれぽで広めていただくのが良かったのかなと思います。また絶対買いに行きます!

  • 今日伺いました。とても美味しいです。バリエーションも一杯で、また是非伺いたいです。神奈川県内でこのお店に出会えて大変良かったです。このお店に出会わせてくださり、この記事にも感謝。有難う御座います。

  • 時々、買っています。本当に、美味しいですよね。

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