農学部がないのになぜ? 明治学院大学横浜キャンパスにいるヤギの正体は?
ココがキニナル!
戸塚にある明治学院大学の横浜キャンパスがヤギの飼育を始めたそうです。農学部があるわけでもないのになぜなんでしょう、古紙でも食べさせるんでしょうか、気になります。(だいさん)
はまれぽ調査結果!
明治学院大学横浜キャンパスのヤギは除草が目的で、環境にも配慮した特許技術である。
ライター:かわいよしひこ
職員と学生による「YAGI PROJECT」(つづき)
横浜キャンパスは、緑豊かな土地にあり、除草する範囲も多くありそうだが、現在は、人の手がなかなか届きにくいA館横の築山(つきやま)のエリアをメインに行っているという。そのほかの場所は引き続き、人の手で除草をしているそうだが、機械ではなく、鎌を使っているということで、環境への配慮は怠っていない。
正門から入ってすぐ左手側の築山が現在のヤギによる除草範囲
築山は人が登って草刈りするのは大変な場所
ヤギを導入したことで、学生や地域の方が見に来て、ふれあいや癒しの効果も副次的にあるという。学生以外の方が見に来る場合は、守衛所に申し出れば可能だそうだ。
今年は、大学祭“戸塚まつり(毎年5月に開催)”で、ヤギとの触れ合い体験も行ったそうで、多くの来場者の注目を集めていたという。
ちなみに、ヤギはもともとあまり人慣れしない動物だというが「うちのヤギたちは学生が親身になって世話をしているからか、すごく人慣れしているんです。普通はブラッシングなどはしないと思うんですよね」と霜山さんが話す。
実際に、最初に皆さんとヤギに近づいたとき、“めぇ~”と鳴きながら寄ってきたのは印象的だった。
見ているだけで癒やされます
2014(平成26)年から導入していて、これまでに大きなトラブルもなく、除草効果もしっかりと得られているという本プロジェクト。ヤギはこの築山を歩き回り、1日にだいたい3.5kgの草を食べるという。
ちなみに、ヤギの行動エリアは、脱柵防止のために電気の流れる線で囲まれている。人間が触るとちょっと強い静電気くらいの強さだそうだ。
人間への注意書き
こちらが電気を流す機械
ヤギは、11月中旬には、アルファグリーンの元へ帰るということだが「YAGI PROJECT」については、来年度も計画が認められ、継続が決定されたそう。
霜山さんは「おかげさまで、学内でも本取り組みが良い形で広まっています。一番はエコキャンパスとしての目的なので、これからも続けていけたらいいですね」と語ってくれた。
ヤギによる除草は特許取得技術
さて、このヤギによる除草を考えたのは、2000(平成12)年に創業した中区山下町にある法面緑化、環境緑化、環境保全事業の会社「有限会社 アルファグリーン」である。この技術は2012(平成24)年に「山羊を用いた緑化造成地および遊休地の刈込み管理法」として、特許を取得しているのだ。
どういった経緯で生まれたのだろうか? アルファグリーン代表取締役池崎真(いけざき・まこと)さんに伺ってみた。
代表の池崎さん
「弊社はもともと法面(人為的に造られた斜面)緑化技術を提供している会社なんです。従来、緑化した法面を管理するのは人間が肩掛け式の草刈り機を用いて施工しますが、特に斜面上でそれは危険作業でありつらい作業です」
「そこで、草食動物でどうかとウシやヤギ、ヒツジやウサギ、烏骨鶏(うこっけい)など検討した結果、ヤギが一番効果的だったわけです」
斜面の草を食べるヤギ
なるほど、特許のとおり除草目的というより、緑化造成地が先にあったわけだ。ヤギは普段、富山県魚津市にあるアルファグリーンの牧場や、提携している北関東牧場などで飼育されているそう。
そして、2015(平成27)年度この技術を利用しているのは、明治学院大学のほか、UR都市機構、東芝府中事業所、千葉県の国立病院機構下総精神医療センター、新都市センター開発(多摩センター駅前など)、静岡県の愛鷹(あしたか)広域公園、横浜市内分譲マンションなどだという。レンタルにおける条件について聞いてみた。
美術館での除草作業
「緑地面積が概ね1000平方メートル以上で、物理的な柵が設置でき、日常最低限の世話が可能であること。個人でも可能です」
「レンタル料金としては、ヤギ一頭につき1ヶ月あたり1万5000円で、2頭以上からになります。ほかに輸送費用、装備品の設置撤去費用、管理費用などが発生します。このほかに日常管理などを弊社が請け負う場合などは、さらに高額になりますね」
これまでにレンタルしてきた各団体からは「地域コミュニケーションの増進など、副次的な効果を期待できる」という報告を受けているそう。明治学院大学だけでなく、広く効果を得ていることがうかがえた。
詳しい情報はHPからも確認できる
取材を終えて
ヤギを除草に使うという発想が、まずこのシステムの素晴らしいところ。より自然な循環であるが故、環境への配慮がなされ、さらに人への癒やしという副次的な効果も生まれている。
もちろん動物との共存という意味では、さまざまな配慮も必要だろう。しかし、明治学院大学のケースを取材してみて、プラスの効果の方が勝っているのは明確だった。明治学院大学のヤギは、11月中旬に帰ってしまうそうだが、また2016年も導入が決定していると言うことなので、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
―終わり―
取材協力
明治学院大学 横浜キャンパス
HP/http://www.meijigakuin.ac.jp/
有限会社 アルファグリーン
HP/http://www.a-green.org/
ホトリコさん
2015年11月17日 12時21分
金沢動物園ではモート(動物脱走対策のお堀)の雑草を飼育していた「マーラ」ってげっ歯類に除草させていたけど、あれは良かったのに、草が無くなり一時中断してから、またボウボウになってきたから再開しないかな?
八景のカズさん
2015年11月16日 12時22分
山間ではヤギを飼っている農家を多く見かけるので、乳の採取の他に除草も兼ねていることは知っていた。それをビジネスに活用するのも悪くない。だが、ツタやてんてん草がボーボーになっている荒地のような所なら心配ないが、芝生を綺麗するためヤギを使っても、黒い塊が点在して目立ってきたらその始末も管理費に含まれているでしょうか?
マッサンさん
2015年11月16日 10時14分
ほほぉー。いい考えだ!