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元DeNAベイスターズ選手のセカンドキャリアとは?-安斉雄虎さん-

ココがキニナル!

横浜DeNAから戦力外通告されてしまった安斉雄虎投手にインタビューして欲しい。ベイスターズの話や今後の計画など聞いて欲しい。1度も1軍にあがれませんでしたが地元出身者なので(タイサンさん)

はまれぽ調査結果!

DeNAベイスターズを退団後、富山サンダーバーズでプレイし、現在はスポーツオーソリティの販売員。けがとも戦ったプロ野球経験を生かしている

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ライター:山口 愛愛

仕事に自分が合わせていくのも大事



このころ、韓国の独立球団から声がかかったが、安斉さんが断るとインターネットなどで批判的な意見が書かれた。

「韓国チームのコーチ経験がある、大家友和(おおか・ともかず)さんから、このリーグは試合数が少なく、練習ばかりで練習の内容も過酷。ケガをするリスクの方が高い、と助言をもらったんです。多くの試合で投げて結果を残し、またプロに上がらなければと思っていたので、お断りしたんですけどね」と話す。

試合で投げるチャンスを求めて、当時、大家さんが所属していたBCリーグ(日本プロ野球機構と別に地域で運営しているリーグ)の富山サンダーバーズに入団した。
「独立リーグから、絶対にプロに戻る。まだできる。良くなっている手応えはあった」と当時の心境を語る。

 

「プロに戻るために、独立リーグで野球をやった」
 

こうして安斉さんは、2014(平成26)年の3月に入団し、開幕2戦目で登板したが結果を残せなかった。キャンプ後に入団したため、1人でミニキャンプを張り、身体をつくり直したという。
「自分からあんなに走り込んだのは初めて。プロのとき以上です。結果を残したい一心で。監督には、よくしてもらいました」という。

しかし、気持ちとは裏腹に、試合では結果が残せず未勝利のまま夏を迎えた。

「よくなる兆しが見えたら続けようと思っていたけど、独立リーグはプロ野球を目指す人たちが挑戦するところ。プロから来て結果を残していないのに長居するのは違うなと。実力不足が決め手ですけど、独立リーグのあり方も考えて、これからプロに挑戦する若い人間を優先したいと思ったんです」

 

「元プロがずっといるところではないですね」
 

「まわりのことを考えている安斉さんらしいですね」と試合や練習を見ていて感じたことを投げかけると「あぁ、まわりのことを考えすぎるのがよくなかったとも思うんですけど、でもやっぱり考えちゃいます」と安斉さん。

志半ばで身を引き、同年9月の群馬ダイヤモンドペガサスとの試合で、野球選手最後のマウンドを降りた。「その日も打たれたので、諦めがつきました」と、当時を思い浮かべながら清々しい顔で話す。

 

「サンダーバーズで野球ができたことには感謝」(提供:富山GRNサンダーバーズ)
 

野球選手から一般会社員へとなるわけだが、「自分は順応性がある方だと思うので、どこでもやれると思い、とくに気負うことも心配もなく、前向きに就職を考えられました」と話す。
焦りがなかったからか、選手時代にはできなかった、アメリカ・メジャーリーグのプレイオフを観戦するなどして、初めて来シーズンのやってこないオフを過ごした。

その後は、安斉さんのマネージメントをしていた会社の社長から、元プロアスリートを欲しがっている4社を紹介してもらい、スポーツオーソリティ(株式会社メガスポーツ)に入社する。

「お客さんにケガせず野球を楽しんでもらえるように、自分の経験や知識を生かせると思ったんです」と入社の動機を語る。

 

通常はつきみ野店に勤務し、ときどき港北店に出勤
 

はじめは商品知識もなく戸惑ったというが、「このスパイクは前に蹴り出しやすい形状と判断できたり、グローブも特徴をつかんでヒモを交換したり、破れたところをミシンで縫ったり。修理まで何でもやりますよ」と安斉さん。

メーカーが主催する、グラブなどのリペア試験があり、初級クラスに合格。今年は飛び級で上級クラスの合格を目指す。

 

ミシンを使ってカバーを縫い付けたり、修理したり大忙し
 

「野球に関われることが嬉しい」。元チームメイトとの絆はまだ続いていた。ベイスターズ時代に一緒にプレイした、千葉ロッテマリーンズ投手の陳冠宇(チェン・グァンユウ)投手もお客さんの1人だ。

「チェン君がスパイクが重いというので、軽い日本製のものを出し、P革(ピッチャーのスパイクの先をカバーする革)もつけてほしいというので、見栄えがよくなるように縫いつけました。ハマスタの登板で履いていたのは、僕が縫ったスパイクなんです」と嬉しそうに話す。

 

チェン選手のスパイクの写真を見せてくれた
 

「接客したお客さんが、また僕を尋ねてきてくれるのが嬉しい」と話す。元プロ野球選手と知って急に態度を変えるお客さんもいれば、元プロとは知らず、安斉さんと話すのを楽しみに来店する小学生もいるそうだ。手が空いていれば小学生相手に30分近く、野球道具の話をすることもある。

 

グローブを使いやすい形にならすことも
 

「ネットで買い物ができるなか、またお店に行きたいと思ってもらいたい。“モノ”のほかに知識や経験を生かして、満足してもらえる“コト”の提案を心がけ、付加価値をつけて接客しています」と全力投球だ。

 

「自分でも上手く社会に馴染んでいると思います」と笑う
 

充実した日々を送っている安斉さんに、転職などで環境が変わった人へのアドバイスを聞いてみる。

「新しい環境を楽しむことですかね。どんな仕事も悪いところだけ見れば、必ず嫌なことがあってネガティブになる。その仕事のいい所にフォーカスすればいいと思います」

「ヒドイ会社もあるかもしれませんけど、自分が選んだ道なのに、辞めちゃう人が多いですよね。仕事が合わないんじゃなくて、自分が合わせることも大事だと思います」ときっぱり。

 

息抜きも必要。「呑むのが息抜き」。好鐵にもよく寄るという
 

接客をするようになり、「レストランで自分が注文するときも、店員がオーダーを打ち込むのでゆっくり言ってあげるとか、口の利き方にも気を付けるようになった」と日常の変化もある。

将来の夢を聞くと、「高校時代の監督の元で、ピッチャーを指導してみたい。野球をやったことのない子たちにも教えたいですね。出身地の座間市も野球人口が減ってきているので、野球人口の底上げをしたいんです。座間市でプロ野球選手になったのは僕だけなので、それができるのは僕しかいない。地域に貢献したいです」

プロでの1勝。自分が叶わなかった夢を子どもたちや道具に託し、安斉さんはきょうも笑顔を振りまき「野球が楽しいというコト」を伝えている。

 

仕事の中で、子ども野球教室の指導もしている
 



取材を終えて



「社会に出るのが楽しみだった」が、就職した春先には全身にかゆみが出て、「目には見えないストレスがあったかもしれない」と話す安斉さん。心の奥底では葛藤があったのだろう。「今年はまったくかゆみが出ない」と爽やかに笑う顔に充実感が滲んでいた。

この日の取材は、同期入団の親友、眞下貴之選手(現・新日鐵住金かずさマジック投手)が駆けつけてくれた。次回はスペシャル対談と眞下選手の第2の人生に迫るので、期待いただきたい。

 

眞下選手(左)と現役時代の秘話を語ってもらった
 


―終わり―


取材協力
好鐡(こうてつ)
横浜DeNAベイスターズをはじめ野球選手やファンが集うお好み焼き、鉄板焼き店

 

選手のサインやグッズも見どころ
 

住所/横浜市都筑区荏田東4-1-1 ボードウォークガーデンC-6
電話/045-945-2791
営業時間/[月~金]11:30~14:00、17:00~23:00
[土・日・祝日]11:30~15:00(L.O.)、17:00~22:30(L.O.)
定休日/無休
 
 

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  • 最近のほかのどの記事よりもダントツで秀逸の内容でした。これを担当された方にこれからもたくさんの記事を書いてほしいです。

  • 雄虎さんは、人間性も素晴らしく、きっとどこででも活躍できると確信しています。選手時代に培った経験も十分活かす事のできる今の職で、是非、「野球が楽しいというコト」をたくさんの人に、特に子供たちにつたえていただきたいですね。応援しています、よ。がんばれ、TORAくん!!

  • 地元神奈川出身の選手なので特に応援していましたが、ベイスターズでは結果を残せず残念に思っていました。安斉さん、これからも頑張ってください。

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