辻堂駅100周年を祝賀するイベントも

そして、2016年12月1日、ついに辻堂駅は開設100周年を迎える。

　

　1972～75（昭和47～50）年ごろの北口付近（藤沢市文書館提供）

永井さんのお話は「100周年に先駆けて、2015（平成27）年12月には駅北口のテラスモール湘南で、“カウントダウンイベント”を行いました。2016年の12月1日から辻堂駅の発車ベルを辻堂ゆかりの唱歌である『浜辺の歌（詞：林古渓・曲：成田為三）』に変更する要望活動では、2015年11月までに約2万8千人の署名が集まり、翌年5月に曲の採用が決定しました」と、続く。

　

　1970年代には北口広場も整備された（藤沢市文書館提供）

2014（平成26）年に実現した、茅ヶ崎駅の発車メロディーをサザンオールスターズの『希望の轍』に変える運動で集まった署名は約1万人分。3倍近くもの署名には、地元住民の関心の高さもうかがえる。

　

　2016（平成28）年5月には寄付を募る回覧も

「これらはすべて住民主体の活動であり、だからこそ賛同が得られたのだと考えています。行政官庁主導ではここまで盛り上がることは難しかったのではないでしょうか」

　

　住民の力が活気に。写真は昭和30年代の辻堂銀座（藤沢市文書館）

その他、100周年に合わせ、駅構内にデジタルサイネージをすることや、記念誌の制作も決まっているそうだ。

　

　よりよい駅作りへの一歩となりそうだ

辻堂駅100歳の誕生日である2016年12月1日は、残念ながら平日だ。そこで、直近の休日である2016年11月26日、27日に駅北口のシークロス（神台）公園で「100周年祝賀お祭り広場」が開催される予定だという。

　

　イベントの会場は駅北側がメインとなる予定

「警察、消防音楽隊の奏者やボーイスカウトなどのパレードに、お神輿や山車の巡行も予定されています。神輿は辻堂駅南側の諏訪神社からの2基に加えて、北側の四ツ谷八坂神社、羽鳥御霊神社、茅ヶ崎市小和田の熊野神社からも宮出しされます。市の境を越えて地域を守る各神社の神輿が一同に会する機会は非常に珍しいことなので必見です」

　

　辻堂エリアの氏神さまが一同に！（辻堂の民HPより）

さらに、辻堂のいまを次の100年に送るタイムカプセルも設置される。技術の進化を鑑みると、100年後に駅や鉄道が稼働しているかは不明だ。そこで、20年後、50年後、100年後と開封時期を分けた3種のカプセルを、駅北口ロータリー北西の植栽に埋設する予定になっている。

　

　タイムカプセルはこんなイメージ！？（辻堂の民HPより）

「カプセルに入れる作品は現在募集中です。地域のみなさんはもちろん、辻堂を愛するすべての方からの作品を受けつけ、選考の上カプセルに挿入させていただく予定です。ぜひご応募ください！」と、永井さんは熱く語ってくれた。

取材を終えて

実は、辻堂駅には都市伝説がある。それは、日本で一番長いホームを持つ駅であるという噂だ。少し調べるとこれが事実ではないことは分かるのだが、今回永井さんからこの噂にまつわる面白い話も伺えた。

現在は拡張工事により広げられたが、用地確保の問題から、従来の辻堂駅ホームは茅ヶ崎側に行くに従って幅が狭くなっていたという。そこで、狭いホームに乗降客がごった返すのを防ぐために、上下線で停車位置を1両分ほどずらす方法がとられていたというのだ。

　

　改良前のホーム茅ヶ崎寄りはとても狭かった（藤沢市文書館提供）

東海道線のように15両もの編成の電車が停車する駅は首都圏に限られるうえ、「上下線でずれている分ホームは長いはず」ということから、この噂が生まれたのではないかということだった。

JR東日本横浜支社広報室に確認すると、以前の辻堂駅でホーム幅狭小のため、上下線での停車場所がずらされていたのは事実だという。

　

　現在は改良によりホーム幅もゆったり

また、ホームから北側に目をやると線路脇に空いている土地については、「今後辻堂に快速アクティ停車用のホームを増設するための用地」との噂も耳に入る。

　

　確かに貨物線路の向こうにスペースがなくもないような・・・

しかし、同社によるとこの余剰スペースは、北側駅前に本社工場を構えていた関東特殊製鋼株式会社の敷地へ貨物引込線が敷かれていた名残で、ホーム増設の予定は今のところないらしい。

地域に愛され続けて100歳となる辻堂駅、これからも長く愛される駅でありますように！
　

―終わり―
　

＜取材協力＞

NPO法人 辻堂の民
http://tujidounotami.jimdo.com/
　
JR東日本
http://www.jreast.co.jp/