「人口ゼロの町」、横浜の「秘境町」はどんなとこ? 金沢区編
ココがキニナル!
横浜市統計ポータルサイトを見ると、金沢区能見台森、みず木町、昭和町が人口0です。工場地帯や公園で人口がゼロというのは理解できるけど・・・。人口ゼロの「秘境町」はどんなところ?(横濱マリーさん)
はまれぽ調査結果!
金沢区にある人口ゼロの秘境町は、それぞれ保護緑地や斎場、工場地帯という理由で居住者がいなかった。
ライター:細野 誠治
緑のなかの町 能見台森/みず木町(つづき)
では2番目、みず木町はどうか? 同じく緑地エリアに位置する町だが。
横浜市金沢区、みず木町。「横浜自然観察の森」に隣接する町(Googleマップより)
再び『横浜の町名』から引く。
みず木町(みずきちょう) 平成三年一月二十一日設置
平成三年に釜利谷町の一部から新設した町。町名は斎場地域および周辺に自生する「水木」を参考にすると共に、緑豊かな町づくりを目的として命名した。町内に南部斎場がある。
これが町名の由来となった水木(ミズキ)
1991(平成3)年に設置、今から25年前に誕生した比較的に新しい町。そして我々、横浜市民がいつかお世話になるかもしれない、横浜市南部斎場“だけ”がある町。
アクセスは朝比奈インターすぐ、朝比奈交差点。または神奈中バス「隧道東口」下車
朝比奈交差点から、みず木橋を渡りトンネル(みず木隧道)を抜けると、みず木町に辿り着く。
橋とトンネルで隔絶され、行き止まりとなる
町内の殆どが山。斜面に木々が茂り、自由な往来などはできない。「斎場だけ」という町の性格上、人が住まわないのも当然だろう。
南部斎場に出入りする、ある業者の方に話を聞いた(お写真や名前などを伏せることを条件にされた)。
「昔、斎場を作るときに近隣の住民から、町の名前を切り離してほしいという要望があったと聞いています」
「同じ町内には、斎場を置かない」ということか。心理としては、よく分かる。
隣接する横浜自然観察の森から、みず木町を望むも木々が目隠しになっていた
森に囲まれた無人の町(Google earthより)
みず木町は静かでいて、横浜市の細やかな配慮が感じられる町。
埋め立てられ新設された町 昭和町
最後の秘境町、横浜市金沢区昭和町は、この場所!(Googleマップより)
昭和町 昭和四十六年四月二十三日設置
昭和四十六年の富岡町地先の埋め立てにともない、新設した町。埋立地と富岡町から設けたもので、町名は字名を採った。中央を金沢シーサイドラインが通る。町内は工業地帯となっており、県工業試験地がある。
『横浜の町名』より
また取り寄せた資料の『図説 かなざわの歴史』によると「かつて金沢の荒れ地だった昭和町」とあり、現在の姿とは隔絶がうかがえる。
最寄り駅は金沢シーサイドライン「南部市場」駅
南部市場駅自体は金沢区鳥浜町となっており、問題の昭和町は、根岸湾に注ぐ杉田川と北台川に挟まれた立地となっている。
隣接する横浜市磯子区との境界に横たわるのが杉田川
区界の杉田川に沿って根岸湾を目指す。途中に湾岸道と首都高速湾岸線、金沢シーサイドラインにぶつかる。
典型的な臨海地区の工場地帯だ(Google earthより)
自動車道と鉄道を越えた先、根岸湾の手前で工場の敷地となり、進めない
広大な埋立地に、工場が区画された場所。起伏のない土地に、人の往来が極端に少ない。埋立地独特の空気感を感じる。
主に工場を構えているのは日本飛行機株式会社
IHI建機株式会社や海洋研究開発機構がある
建物や工場が建ち並び、住所も置かれている。ただし、居住者、居住申請をしているものは皆無。
昭和町を徘徊するが、敷地内は閉ざされており立ち寄れる場所がひとつもない。
全体を見渡すべく隣接する富岡総合公園(北台展望台)へ。
眼下に見える工場群が昭和町
45年前に作られた町、秘境町である昭和町。日本のモノづくりの拠点、歩いてみて、そんな印象を持った町。
人が住まない理由は、工場の町だから。
昭和町に居住登録ができない訳ではないものの、現在は住まう者(生活の拠点にする者)がゼロ。
こんな結果になりました。
取材を終えて
人が住まわない場所には、何か特別な意味があるのではないか?
そう考えて、掘り進めてみた取材。
ハイキングコース、自然保護地区だから人がいない「能見台森」。
斎場という性格上、忌み避けられる場所として人がいない「みず木町」。
埋立地の工場群という理由で人がいない「昭和町」。
言葉にしてしまえば呆気ない結果に映ることも、調べてみて実際に足を運んでみると分かることがあり、好奇心が掻き立てられる取材でした。
(横浜市統計ポータルサイトの面白さ!)
今回は金沢区の3町を調べましたが、まだまだ市内には「秘境町」があります。
非常に可能性を秘めたキニナルでした
身近でいて、それでいて人のいない秘境があれば、また調べます。
横浜市の秘境は、さまざまにあって、奥深いものでした。
—終わり―
参考文献
『横浜の町名』 編集・発行:横浜市市民局総務部 住居表示課
『図説 かなざわの歴史』 発行:金沢区制五十周年記念事業実行委員
たけむらさん
2017年02月22日 21時58分
昭和町、もとは住宅地とする目的で埋め立てられたようですね(塙 惠弘著『根岸湾の埋立て』)。2016年の昭文社の道路地図によると日本飛行機の社宅があったようで、2005年の国勢調査では29人が暮らしていたようです。http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/stat/census/kokucho0510/machibetu/人口ゼロの「秘境町」になったのは比較的最近なのかな。興味をかき立てられます。
tom55さん
2016年12月20日 13時21分
能見堂付近は金沢・浦賀道の名頃が残っている道でハイキングコースという側面ばかり取り上げられるのは残念。http://kanageohis1964.blog.fc2.com/blog-entry-81.html
TIJIさん
2016年12月18日 20時19分
ピータンさんが書いている「秘境駅」とは、色々な意味が含まれますがざっくり言うと「周囲に目的がない場合利用者がほぼ無い駅」の事で、海芝浦駅は一般者が改札外に乗降出来ない事としては特殊な駅ですが「秘境駅」とは言われません。