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横浜市には打つ手はあるか? ごみ屋敷の実態に迫る!【後編】

ココがキニナル!

鶴見区のゴミ屋敷がテレビに取り上げられていました。その実態と、ゴミ屋敷に対する横浜市の対策が気になります/ゴミ屋敷対策条例ができたみたい(ぽんちょりんさん/八景のカズさん/ホトリコさん)

はまれぽ調査結果!

市は2016年にごみ屋敷対策条例を施行、公益に反する場合は代執行もある。ごみ屋敷の住人の心理には世界観があり、初期段階で周囲が気付く必要がある

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ライター:小方 サダオ

なぜごみを集めているのか



最後に、さらにごみを集めている人の心理を知りたくて、南区在住で自宅にごみを収集しているAさんに、ごみを集める理由を伺うことにした。

するとAさんは「市が回収しないで放置しているごみを拾っているんだよ。私にとってはごみじゃなくて資源だよ」と集めている理由を話す。

 

敷地にはペットボトルの水を入れて吊り下げられている
 

「吊り下げたペットボトルは飾りにもなるし、水を入れておけば火事のときの消火に使えるかもしれないしね。生ごみは臭くなるのですぐに捨てるけど、プラスチックのごみは捨てないで取って置くよ。2階から1階に落ちた時のクッションになると思ってるんだ」と話してくれた。

 

プラスチックのごみをクッション替わりにするという
 

壊れた傘も置かれていた
 

「最初にごみを集め始めた時、ごみ捨て場からソファーなんかを持ってきたりして、自分でも頭がおかしくなったのかと思ったよ」という。

「狭いほうが落ち着くからどこにでもモノを置いちゃうんだ。でも近所迷惑になるから臭いは出さないように気を付けてる。ぬいぐるみを拾ってくるのは、近所の子どもに見せてあげたいからだよ」と答えてくれた。

 

子どものためにぬいぐるみを飾っているという
 

Aさんの考えは、一般的な感覚とずれている印象もあるが、理にかなっているとも感じる。狭いから落ち着く、子どもに寄って来てほしいなど孤独感を感じていて、その寂しさを紛らわすためにごみに囲まれていたいのかもしれない。



「ごみ屋敷対策条例」とは



横浜市は、2016(平成28)年12月1日に「横浜市建築物等における不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための支援及び措置に関する条例(いわゆる「ごみ屋敷」対策条例)」を施行した。

 

横浜市は「ごみ屋敷対策条例」を施行
 

「ごみ屋敷」とは、ごみなどのモノが屋内や屋外に積まれることで、悪臭や害虫の発生、崩落や火災などの危険性が生じる可能性があり、本人又は近隣の生活環境が損なわれている状態の建築物やその敷地のことをいう。

基本的に「ごみ屋敷」状態を解消する責任は本人にあるものの、地域住民や行政が協力して、その片付けを支援していくとのことだ。

しかし周辺住民の生命や身体に深刻な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、当事者が再三の働きかけにも応じないケースについては、指導・勧告・命令・代執行という流れで行政が対応するという。

 

「ごみ屋敷対策条例」により代執行が行われる場合もある
 

さらに横浜市健康福祉局の担当者に、今回の条例ができた経緯に関して伺うと「契機は、市内に『ごみ屋敷』という具体的事案が発生しており、メディアでも取り上げられたとことで、議会が動き、条例が制定されました」

「また区ごとの対応では限界があり全市的に取り組めるようにという提案もあったので、庁内のプロジェクトとして検討を進めてきました。その結果、各区の福祉保健課を窓口にすることや、各区役所に『ごみ屋敷』のための対策連絡会議を設置し、取り組むことになりました」と話してくれた。

ごみ屋敷の現状に関しては、市が把握している数で60件(2016〈平成28〉年6月末時点)とのこと。

 

横浜市内にあるごみ屋敷は60件だった
  

担当者は、ごみ屋敷ができる背景に関して「加齢や疾病による身体機能の低下、精神疾患、経済的困窮、地域からの孤立など、さまざまな課題の結果がごみ屋敷を発生する原因ではないかと考えています」と話す。

「そのため根本的な解決には、ごみを撤去するだけでなく、当事者に寄り添い、福祉的な支援を通じて、背景にある課題を解決することが必要です。未然防止や再発防止も重要視し、民生委員や地域ケアプラザ、社会福祉協議会などの関係機関との連携や地域住民の協力もいただきながら支援を行っていきたいと考えています」と、今後の展望を答えてくれた。

 

区・局・地域住民などが連携して対策を推進して行く
 



取材を終えて



ごみ屋敷の住人の感覚は一般的とはいえないのかもしれないが、一般と特殊、普通と異常の線引きは難しいのではないだろうか。

Aさんのいうような、ペットボトルに水をいれ火事に備えたり、ぬぐるみを置いて子どもに寄ってきてほしいなど、自分の身の安全を確保することや孤独感は誰でも感じうるものである。ごみ屋敷とはその内側に隠れていた心理が何かのきっかけで表に出たものなのかもしれない。

 

自分の中にある不安がごみを集めてしまうのかもしれない
 


-終わり-


取材協力
片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校
http://www.exepromo.jp

片づけサービス フェリシアラボ
http://felicia-lab.jp
 
 

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  • 環境の変化で、ごみ屋敷になってしまうかもしれないんですね。

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