今は無き神奈川会館にあった二つのステンドグラスが移設された経緯は?
ココがキニナル!
幸ヶ谷集会所と神奈川図書館にあるステンドグラスは、かつて神奈川公園にあった一つの建物から移設されたものだそうです。移設のいきさつとなぜ別々の場所に行くことになったのか知りたい(ねこぼくさん)
はまれぽ調査結果!
かつて神奈川会館にあった二つのステンドグラスは、同館の老朽化により幸ヶ谷集会所と神奈川図書館に移設された。別々の施設に移された経緯は各所に問い合わせたが詳細は分からなかった
ライター:池田 恵美子
幸ヶ谷集会所に残されたステンドグラス
幸ヶ谷集会所を入って右奥に、ステンドグラスは照らされている。
同集会所のスタッフの木伏洋子(きぶし・ようこ)さんと村山多磨子(むらやま・たまこ)さんは、誇らしげにこう語った。
「ここは市民のウォーキングコースになっていまして、皆さん、立ち寄って、ステンドグラスを楽しそうに眺めて行きます。先生が児童を引率して、ステンドグラスを観ながら地元の歴史を話しています。時を経てステンドグラスが、いまも、市民に愛されていることを感じます」
近くには、甚行寺(じんぎょうじ)や洲崎大神(すさきおおかみ)などがあり、幸ヶ谷集会所とあわせて「神奈川宿歴史の道」を巡ることができる。
幸ヶ谷集会所で観ることができるステンドグラス
「神奈川宿歴史の道」の一つ、神奈川公園近くの甚行寺
もう一つステンドグラスは横浜市神奈川図書館へ
神奈川会館の解体から4年後、もう一つのステンドグラスは神奈川図書館に移された。
1987(昭和62)年、横浜市神奈川図書館は、老人福祉センター横浜市うらしま荘と併設して開館。
JR東神奈川駅を降り、国道1号線を鶴見方面に約9分進み、坂を上ると見えてくる。
国道1号線沿いにある神奈川図書館の標識
横浜市神奈川図書館・横浜市うらしま荘。ここにステンドグラスが保存されている
幸ヶ谷集会所にあるステンドグラスが屋内なのに比して、図書館にあるそれは、外に向けて、壁面に埋め込まれアルミ板に覆われている。内側からの光はない。
ステンドグラスの下にある「ステンドグラス 銘板文」を読むと、「由緒あるステンドグラスを後世に残すために保存しました」とある。保存を目的とした展示だが、ステンドグラスの美しさを感じることができないのは残念だ。
神奈川図書館に保存されているステンドグラスはアルミ板に覆われている
ステンドグラス銘板文
神奈川図書館では、職員に伺ったが、後世に残すために保存されていることは分かったが、それ以上の情報を得ることはできなかった。
投稿者の質問の「ステンドグラスがなぜ別々の場所に行くことになったのか理由が知りたい」に応えるべく、神奈川区役所・横浜市役所(公園緑地管理課)・横浜市教育委員会(生涯学習文化財課)に問い合わせを行ったが、「古い話になり資料等がない」「当時、横浜市のどの部署が担当したか不明」などにより残念ながら解決できる情報は得られなかった。
想像だが、二つのステンドグラスを観賞用と保存用に分けたのではないだろうか。一つを幸ヶ谷集会所で鑑賞し、もう一つを、大災害が起こっても保存に堪え得るように神奈川図書館の壁に埋め込んだように思える。
神奈川会館を彩ったステンドグラス(1982年撮影・神奈川区地域写真アルバムより)
左側の扉の上にステンドグラスが飾られている(1982年撮影・神奈川区地域写真アルバムより)
取材を終えて
戦火をくぐりぬけた神奈川会館のステンドグラスの輝きは、横浜市撮影により残されている。当時、扉の上の欄間(らんま)に飾られ、後ろから光に照らされたステンドグラスは、淡く輝き室内を彩っていた。
90年前、地元愛から建てられた神奈川会館を飾ったステンドグラスを、いま、私たちは「神奈川区遺産」として、愛でることができるのは幸せなことだ。
-終わり-
おいさんさん
2024年01月17日 14時42分
神奈川会館のレストラン(神奈川会館グリル)の名物メニューだったステーキを食べれた反町駅そばのステーキ王侍の内装にステンドグラスを模したものがありましたが、事情が分かりました。侍ステーキも狂牛病騒ぎで閉店して久しいですが。