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金沢区の海洋研究開発機構に、世界トップレベルのスーパーコンピューターがある!?

ココがキニナル!

かつて世界1位の計算処理能力を持っていたスーパーコンピューター「地球シミュレータ」が金沢区の海洋研究開発機構にありますが、今どのような用途に利用され維持費は年間どのくらいでしょうか(恋はタマネギさん)

はまれぽ調査結果!

気象や地震津波の予測はもちろん、自動車の空力研究など民間企業の一般利用も。年度予算はシステムのリース費や光熱水費、諸経費などを含め約43億円

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ライター:河野 哲弥

平和利用が目的のスパコンは、日本ならではのもの



対応いただいたのは、報道室の長谷部さん。海洋研究開発機構の歴史から、順に、説明していただいた。
 


最新型の「しんかい6500」の模型


まず、同機構の前身となる海洋科学技術センターだが、その目的の一つは、世界に通じる造船技術の向上にあっようだ。経済界からの要望も強かったという。
また、将来的な人口増やエネルギー資源の調査に対応するため、海の中でも生活できる「シートピア計画」などにも取り組んでいたそうだ。ある程度の年代の方なら、イルカが牧羊犬替わりに魚を追うイラストなどを、覚えていらっしゃる方も多いだろう。

ところが21世紀になると、日本の人口は、むしろ減少傾向に。そして、温暖化などの環境変動が、新たな問題となっていった。そこで2002(平成14)年3月、地球全体規模で将来の予測を立てるべく完成したのが、初代「地球シミュレータ(ES1)」とのこと。
 


手前が現在稼働中の二代目地球シミュレータ、奥に見えるのが初代地球シミュレータ


さて、誕生の翌月となる4月。コンピューターの計算速度を測定する「LINPACK」というプログラムを稼働したところ、当時で世界一の演算性能を誇ることが実証された。しかし「LINPACK」は、陸上競技に例えるなら、短距離走の速さを競うようなプログラムなのだそうだ。

一方、そのころ話題になってきたのが、太平洋赤道域東部の海水温が上昇する「エルニーニョ現象」や同海水温が低下する「ラニーニャ現象」などの、日本から遠く離れた海洋上の現象。「地球シミュレータ」には、速さだけでなく、複雑さも求められるようになっていった。
 


地震波が伝わっていく様子、解析にはさまざまな要因分析が必要


こうした時代の変化を受け、造船技術や深海調査に主軸を置いていた海洋科学技術センターは2004(平成16)年、独立行政法人海洋研究開発機構に組織変更した。そして2009(平成21)年には、ES1をシステム更新して、次世代となるES2が誕生することになった。
ES2は翌年、コンピーターの性能を多面的に測定する、「HPCチャレンジアワード」に参加。同じく陸上競技に例えるなら、こちらは、複合競技といったところだろうか。
 


海洋研究開発機構のリリースより


そして、いくつかあるプログラムのうち、特に「高速フーリエ変換」という指標で、ES2は再び世界一位の性能を発揮した。この「高速フーリエ変換」とは、1つの複雑な波をいくつもの固有の波に分解する変換方法とのこと。平たく言えば、複数の要素が重なって起きた結果(例えば津波)を、1つ1つの原因に分解することで、その因果関係を突きとめやすくする手法である。

長谷部さんは、「アメリカなどでは、スーパーコンピューターは、弾道ミサイルなどの軍事目的で使われていることも多いと聞いている。純粋に人類の安全・安心に貢献するスパコンは、日本ならではのもの」と話していた。



「地球シミュレータ(ES2)」の用途や維持費用は



最後になるが、投稿の内容も、忘れずに確認してみよう。
まず、地球シミュレータの年度予算は約43億円であり、これにはコンピューターシステムのリース費や光熱水費、そして運用・利用に係る経費などが含まれる。

次に、その用途だが、これは大きく4つに分けられる。

  1. 主に環境変化と生物に関する、一般公募による利用(私の利用)
  2. 文部科学省の推進事業などによる利用(公の利用)
  3. 主に地震や防災など、海洋研究開発機構独自の利用 (機構の利用)
  4. 産業界などからの利用 (企業の利用)

中でも多岐にわたるのが、4番目の、産業界などからの利用である。
 


産業界の利用成果一例
出展・同機構『地球シミュレータ 産業戦略利用プログラム』


具体的には、自動車の空気抵抗、発電タービンの形状と効率、エコかつ高性能なタイヤの開発、モーターの形状と性能…など、さまざまな分野にわたる。

なお、研究成果を公開せずに独占したい場合、その費用は100%負担となっている。一方、公開を前提とする場合、例えば、はじめの2年は原則無料、3年目なら10%(最大で7年目以降50%)の費用負担で、「地球シミュレータ」を使用することができる。利用単価は意外と安く、1ノード/時間あたり、3947円となっている。公開利用で3年目なら、わずか394円である。独立行政法人ということもあり、国からの補助金によりこのような価格が実現しているそうだ。

「今までは、実物や模型を作って、現物で試験する必要があった。地球シミュレータなら、そうした費用が抑えられ、安価に成果を得ることができる」と、長谷部さんは話す。こうした産業界からの利用は、年間おおよそ13件ほど行われているとのこと。
 


同機構を後にしたころには、すっかり月が昇っていた


気象予報などに限らず、身近な商品やサービスの中にも、地球シミュレータを利用した研究成果は含まれているようだ。また、このような重要な施設が、横浜にあることにも驚いた。施設の一部は、見学も気軽にできるようなので、一度訪れてみてはいかがだろうか。横浜から世界が、いや、地球が見えてくるはずである。


◆独立行政法人海洋研究開発機構
http://www.jamstec.go.jp/
 

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  • 一度遊びに行ったことがあり、しんかい6500のストラップ買ってきました。値段は忘れましたが、とても安かった。

  • スーパーコンピュータが本気出して一仕事するようです。「海洋機構が南海トラフの三重・熊野で地殻変動監視/神奈川」 http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1302250010/ 巨大地震の震源となる「南海トラフ」が延びている三重・熊野灘で、海洋研究開発機構(横須賀市)が今月から、海底下の穴で地殻変動を監視する取り組みを開始した。微小な地震や地盤の変形を常時観測するという世界でも例のない試み。周期性のある巨大地震の発生予測や仕組みの解明を目指す。観測結果は同機構横浜研究所(横浜市金沢区)にリアルタイムで送られており、将来的には気象庁などにも配信する。 http://www.jamstec.go.jp/maritec/j/blueearth/2012/program/pdf/oral/BE12-07.pdf

  • 国による技術振興基盤に対する予算支出を「ムダ」と切って捨てるような奴らが追い払われてホッとしたところ。日常見かける設備・機械だけが役に立つんではなくて、それを裏付ける科学技術があってこそ、それが実現できているわけで、私企業ではなかなか難しい基礎研究施設に国が金出さなくてどうするって話。ただ「補助金のお陰で民間利用も1ノード1時間400円以下!」ってネカフェみたいに言われても、だれがスパコン1台使うんだって話で、13件が長期間の研究に十二分に活用されている結果か、まだまだもっと利用してほしい状況なのか、実際の外部利用による収益状況とかの方が重要な情報では?また国賊どもはこのような独立行政法人による無料広報活動さえも「ムダ」とか言ってたが、科学技術の成果を知育教育活動として子どもたちに示して上げることが、日本の将来にどれほど有効な活動だろうか?もっと知られて、利用されるようになってほしい。

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