創業43年、山手「北欧」

JR根岸線の山手駅からすぐ、「山手の銭湯『いなり湯』に飾ってある写真の力士ってどんな人？」と、「山手駅前の大和町商店街に焼鳥屋が多いのはなぜ？」でお世話になった山手駅前の商店街にある洋食「北欧」。43年前に牛100％のハンバーグを横浜で最初に広めたお店という噂もある。ディナー帯の時間にお店へと伺うことに。
　　

外観。お店は地下に

階段を下り店に入ると「いらっしゃいませ」と、やさしい女性の声。取材の旨をお伝えし、テーブルへ案内していただいた。
テーブルにやってきた白髪で貫録のある男性は「北欧」のオーナー橋本亨（はしもととおる）さん72歳。
　

山手駅前商和会の会長も務める橋本さん

今から45年前の1968（昭和43）年に、伊勢佐木町で「オンワード」というレストランをはじめた橋本さん。翌々年の1970（昭和45）年に現在の場所に店を移し、店名を「オンワード」から「北欧」にし、現在に至る。「北欧」のディナーメニューにはアラカルトもあるが、ほとんどのお客さんがディナーセットを頼むという。
　

洋食のほかに中華や和食も並ぶ

17種類の料理から2品選び、ライスとサラダが付く。そしてスープまたはコーヒーを選ぶ。それで980円という嬉しい価格設定。
ロースカツ（自家製デミグラスソース）と、ロールキャベツの2品に、キャロットスープを注文。

するとこうなる。
　

豪勢なディナー980円。そしてライスはお替わり自由というサービス

薄い衣でサクッとしたロースカツは肉もやわらかく、品のあるカツレツといった感じ。自家製のデミグラスソースは甘みとコクがバランス良く濃いめの味。ライスによく合う味つけだが、後味はしつこくなく、食がすすむ。
ロールキャベツは、煮過ぎずキャベツの食感が少し残っていて、中の挽肉のやわらかさとの相性がいい。香味野菜の甘みあるトマトソースはクセになる味で、そのままライスにかけてもいけるような仕上がり。ここで、せっかくなのでレストランで異色のメニューを追加注文。
　

おやさいの煮物（450円）
　

レストランで煮物をフォークでいただく

ここ「北欧」は常連のお客さんが多く、メニューに飽きがこないよう、セットの洋食以外の料理は不定期に変わるとのこと。
店内を見渡せば、一人で来る常連のお客さんたちが店員の方と気さくに話をしたりするアットホームな場面が多く見られた。
　

右から橋本さんと娘さんの優子さん

「これからも味にこだわり、安心していただける味と、皆さんの憩いの場として居心地のいい店を続けていきたい」と、最後に橋本さんが話してくれた。

味然り、あたたかいサービスも提供してくれる山手「北欧」。家の近くにあるといいなと思ってしまう、そんなお店だった。
　

取材を終えて

北欧では食後に「もしよろしければサービスなのでどうぞ」との言葉とともに、優子さんが焼いたガトーショコラがサービスで出された。これもセットのうちの隠れメニューだという。
今回の洋食巡り3軒は、どの店もやさしい味とサービスが印象的だった。

横浜の洋食屋やレストランの懐や奥の深さ、まだまだ底が知れないのではないだろうかと、4回目にしてあらためて感じた。
　
　

―終わり―

　


洋食ホシ
神奈川県横浜市中区石川町1-18
045-662-5892
定休日／月曜日
営業時間／11:00～14:00、17:30～22:30

洋食の美松
神奈川県横浜市中区石川町1-19 平野ビル1F・2F
045-681-8390
定休日／月曜日（祝日の場合は翌日）
営業時間／12:00～15:30、17:30～21:00

北欧
神奈川県横浜市中区大和町2-50
045-622-8849
定休日／不定休
営業時間／11：00～16：00　17：00～23：00（月～土）17：00～21：00（日・祝）