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栄区桂台、上った先が崖で行き止まりになっている用途不明の階段の正体は?

ココがキニナル!

栄区桂台南2丁目1-1の立派な階段、頑張って上がってもけもの道、その先は崖で行き止まりです。一体この階段は何のために作られたの?昔は崖の下まで道が繋がっていたとか?(ときさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

1970年前後、横浜市認定路線図の市道が通る場所に作られた。市の宅地開発の条件につき開発業者が作った。階段の先は崖の下につながっている。

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ライター:小方 サダオ

鉄塔を作るために作られた?

そこでNさんの自宅を訪れた。
階段B・Cと異なり広域避難所を示す看板がなかった、階段Aの用途がキニナリ、それに関して伺った。
すると「あの山の上にはテレビの共有アンテナがありました。1967(昭和42)年からあのあたりは電波が届きにくくて、NHKの受信料を払っていない人もいたほどでした。そこで数軒がまとまって組合に入り、アンテナが立てられることとなりました。あの階段は、開発業者の大林不動産が鉄塔を作るための工作物を運ぶために作ったものでしょう」
 


1964(昭和39)年に撮られた航空写真


「あのあたりは茶別當(ちゃべっとう)と呼ばれていました。荒井沢の山で切った材木を運び出すための道があったのです。またその先には鎌倉時代の見張り台の山もありました」と答えてくれた。

Nさんの話によると、問題の階段の先の山道は、昔から使われていたことが分かったが、階段が作られた理由はテレビのアンテナのためなのだろうか?

ここで一度戻り、電話で宅地の開発業者、東京都千代田区にある大林新星和不動産の木島さんに伺うと「昔のことですので、目的ははっきり分かりません」との答えだった。

そのためふたたび桂台地区に向かい、階段Aの目的が共同アンテナのためなのかを、再度確認することにした。

自治会の役員をされていたFさんにお話を伺うと「あの階段は、約20年前に私がここに土地を買った時点からありました。山中にCATV(ケーブルテレビ)の共同アンテナが立っていて、保守点検のための小屋などもありました。そのアンテナの維持・管理がしやすくするための階段だと思います」
 


協定のせいか屋根の上にあまりアンテナを見かけない


「近くにあるアパートの影響でこの地域はテレビの映りが悪かったのです。また『屋根の上にアンテナをつけないようにする』という団地の協定があったため、1600軒の受信用の共同アンテナを立てました。しかし10数年前の地デジ変換の際に必要がなくなり、撤去されました」と答えてくれた。
 


アンテナの保守点検のための小屋があったあたり
 

1600軒の受信のためのアンテナが立っていた


階段Aはアンテナのため、階段BとCは広域避難所のため、とそれぞれの用途に関しては理解できた気がした。しかし作られた当初からその目的だったのかははっきりしない。

帰り際、階段Cに向かった。すると、土木事務所の職員が階段を補修していた。
 


階段Cの前に栄土木事務所のトラックが止まっていた
 

階段Cを補修中の土木事務所の職員


そしてはじめて「現在管理をしているのは土木事務所なのでは?」と気づいた。

そこで栄土木事務所に向かった。



階段と市道の関係


 


栄土木事務所


職員の三上さんに伺うと、確信をもって次のように答えてくれた。
「それらの階段のある場所は、横浜市認定路線図の公図上で赤道(幅員1メートル未満の里道)が通っている場所です」

「以前建築情報課の職員に聞いたのですが、都市計画法により、市の道路局が協議を行い、開発業者に開発条例に基づき開発の条件として、開発範囲エリアであるため、その先が山道であっても階段を作る必要があるそうです。市道である山道の階段部分まで、責任を持って作らせるわけです」

「この場合は、1965(昭和40)年~1975(昭和50)年のことですが、大林不動産が作ったものでしょう。4.5メートル~6.5メートルの市道と同じ幅の階段を作らされたはずです。今でもそのような条件はあり、当時より厳しくなっています。税金を使わず業者に作らせた階段というわけです」
 


階段Aは桂町486線(中央の道)と519線につながっている


土木事務所が階段の補修をしていた理由について伺うと「階段を作るのは開発業者ですが、維持・管理をするのは土木事務所です」と答えてくれた。
 


階段A・B・Cの先の市道図を重ねたもの


つづいて横浜市道路局維持課の担当者に話を伺うと、当時の資料を調べてくれた。
そして「住宅開発に当たり開発業者に、市道の通る山道の整備のために4.5メートルの階段を作るように協議した結果、できた階段です」と答えくれた。
 


開発登録簿の写し。左側にあるのが問題の階段


さらに「階段付近の市道の位置を変えた可能性があります」と言われたので、以前の市道の位置と比べてみた。
 


階段周辺の市道の位置(緑の線:戸塚区住宅明細地図・1966〈昭和41〉年)
 

開発は進んだ(赤く塗られた箇所)が、市道(水色線)の位置はあまり変わらない
(戸塚区住宅明細地図・1969〈昭和48〉年)
 

その後、1970(昭和49)年前後にさらに開発が進み、下図の赤色の網掛け部分ができ、住宅団地の中に階段が作られた。



認定路線図(現在の市道:黒線)と問題の階段の位置
 

認定路線図と1966(昭和41)年の市道(緑線)の位置の比較


するとこの周辺は区画整理によって、以前の市道の位置が大きく変わったことが分かった。
問題の階段の一部は昔の市道の一部と重なっていて、階段はその名残りといえよう。



取材を終えて



階段を作ったのが開発業者であったことで、住宅地のための階段の活用方法ばかり考えてしまい、結論が遅れた形となってしまい反省した。
住宅地内の階段も市道である、という認識が強くあれば、早くに土木事務所に答えを求めたことだろう。

住宅街のはずれにある、重要な目的を持たない利用者が少ない階段。しかし業者にとっては自分たちが開発した住宅地の一部であり、立派な階段を作ったのもこの住宅地への思い入れの強さからなのかもしれない。
前出の地元民のいう“大林不動産の気合”を感じさせるものといえるだろう。
 


土木事務所によって維持・管理されている階段



―終わり―
 

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  • 興味深く拝見しましたが、和暦と西暦が対応していないところがあります。正しい方に合わせて下さいませ。

  • 私はこの近くにあるこの辺りでは一番古い住宅地に住んでいました。桂台含めてこの辺りが開発される前は一帯は小学生が遭難する(笑)事件が起きた程山深い地帯で深い谷と山を切り崩して多数の住宅地が出来ました。開発前はジープに猟犬を乗せてイノシシやキジ狩りが行なわれていた程です。開発時期には毎日ダイナマイトで山を崩す音が鳴り響いていました。当時は山の尾根に山道がありここから鎌倉まで山伝いに容易に行けたのです。これらの階段はその道に通じていました。私が移り住んだ頃は大船から金沢八景まで全て山だったのでこの階段自体がありませんでしたが当時は鎌倉に隣接した住宅地としての宣伝の意味もかねて遊歩道の一部として立派な階段を作ったのでしょう。今では想像もできない事ですが。

  • 有名な階段国道ならぬ階段市道とは

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