元ベイスターズ選手のセカンドキャリアとは?-秦裕二さん-
ココがキニナル!
2011年に退団した元横浜ベイスターズ選手、秦裕二さんのセカンドキャリアとは?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
退団後、NPBやアメリカ独立リーグ、台湾リーグのトライアウトを経て、現在は富山GRNサンダーバーズの投手兼任コーチとしてチームを支えている
ライター:山口 愛愛
環境に甘えず自分を超えてNPBへ
2013(平成25)年に大家さんが富山GRNサンダーバーズに入団したことがきっかけで、監督を務めていた進藤達哉(しんどう・たつや)さん(現横浜DeNAベイスターズコーチ)から声がかかった。
「NPB(日本プロ野球)でも台湾でも、ここからもう1度上のリーグでやるためのステップアップという気持ちだった。ありがたかった」と決意を思い返す。
2013(平成25)年は勝率10割
2016(平成28)年は主に中継ぎで登板
秦さんはこれまでに通算14勝をあげている。2015(平成27)年は惜しくも優勝を逃したが、地区チャンピオンズシップに出場するなどチームに貢献している。2014(平成26)年からは投手兼任コーチとして大きな役割を担っていた。
コーチとして試合中何度もマウンドへ
「自分はNPBをクビになった人間。だから大きな壁になってこのラインを超えないと上にいけないというのを示したい。最近は体力、技術が納得いかないところがあり、そのラインが落ちてきているのが申し訳ないんですけど。高い目標になってあげないといけない」と独立リーグならではの意識を持っていた。
秦さんがコーチになってから、細かいミーティングを取り入れるようにした。相手バッターに対してどう攻めるか、秦さんの頭の中には入っているが、投手に考えさせるため発言の場を設けているという。「NPBは攻める技術もあるし、資料を渡すだけでもいいのかもしれないですけど、考える意識のレベルをあげないといけない」と秦さん。
バッターの得意、不得意コースなどを確認
「選手たちは即戦力じゃないとNPBにいけないんです。高卒ルーキーみたいに育ててくれるわけではないので。それを分かっていないので、意識を高めないといけない。NPBにいくより、そのあとの人生、社会に出る方が長いので、社会人として当たり前のことを当たり前にやろうと、うるさく言いますね」
ジャイアンツ3軍などNPBチームとの試合はアピールの場
独立リーグは月給制になっており、若手は月給20万円を切る選手がほとんどだ。選手の昼食を覗いてみると、手頃なコンビニ弁当が多く、中には自分で作ってきている選手もいたが、お弁当箱の半分がごはんで半分が茹でたマカロニだった。球場の掃除や練習着やユニホームの洗濯も自分たちでやるのが当たり前の世界だ。
秦さんも球場内を掃き掃除
試合後は選手がファンを見送り募金活動もしている
サインのファンサービスも
「掃除は年上ほど率先してやれ。下に任すな! 下はそれを見て先にやれ。と言っています。NPBは野球だけできる環境で、僕はそこを最初に知ってしまったから掃除やクリーニングなどいろんなスタッフに対して感謝が足りなかった。今ここにきて、それがどれだけ大事なことか分かったから、『周りの人たちがいて野球ができていることを忘れるな』と口すっぱく言っています」。NPBでの経験を教訓にして若手の技術も心も磨いていた。
10代の選手と交じり汗を流している
そんな秦さんに夢を聞いてみる。「コーチになっていろんな人と接することで成長させてもらっているのでそれを生かしていければと思います。ゆくゆくはNPBの裏方で・・・。お世話になった横浜で・・・という気持ちもあります」。
甲子園、プロ野球と子どものころから常に上を目指してきた秦さんは、どんな環境であっても野球少年のときと変わらず上を目指していた。
野球少年のような笑顔が弾ける
取材を終えて
「サイドスローは自分には合わなかったが1軍に上がるために挑戦したことに悔いはない」と秦さん。そのときの苦労が今の指導に生き、同チームのサイドスローの小柳政彦(こやなぎ・まさひこ)投手に継承されていた。努力はすぐにではなくても、いろいろな形で返ってくるものだと改めて感じた。
「ベイスターズ時代のファンがわざわざ応援に来てくれて嬉しい」という笑顔が印象的だった。クールなイメージがあったがやさしい笑顔で迎えてくれる秦さんに、ぜひ声援を送ってほしい。
―終わり―
取材協力
富山GRNサンダーバーズ
http://www.t-thunderbirds.jp/
ホトリコさん
2016年09月21日 12時04分
どこかの超金持ち球団の二軍落ちとは違って、腐らずにコツコツ頑張った人だから、今があるんだな。比べ物にもならないが、どんなに貧乏でも身の丈に合った慎ましい暮らしでも地道に生きていこう。
たこさん
2016年09月21日 07時11分
横浜FCやマリノスでもお願いします
かにゃさん
2016年09月19日 10時57分
このセカンドキャリアのシリーズ大好きです。ベイスターズで華やかにプレーする選手の陰に、こういう人達もいる。でも、こうやって新しい目標に向かって頑張っている人が沢山いる。皆さんに、選手時代以上の声援を送るとともに、自分自身ももっと頑張ろうという励みになります。