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鎌倉の陽気な「見守りじぃじ」に密着取材!

鎌倉の陽気な「見守りじぃじ」に密着取材!

ココがキニナル!

鎌倉市役所近くで、おか~えり~なさいという独特なイントネーションで下校する児童らに声掛けする年配男性がキニナル。児童らを名前で呼ぶ時もあり、児童たちは彼をじぃじと呼び孫のよう!(はんぐん丸さん)

はまれぽ調査結果!

「見守りじぃじ」は御年81歳。とてもそうは見えないパワーは、地域の人々との相互の信頼と感謝の心、そして空手の鍛錬が源のようだ。お孫さんの送迎がきっかけで始めた見守り活動は、まだまだ続く!

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ライター:結城靖博

一方で、子どもたちへの対応も抜かりがない。
 


登校する子どもの鼻血を拭いてあげるじぃじ

 
「子どもたちはよく鼻血を出すんですよ」と言って、なれた手つきで応急処置をしていた。
 


この一式が「子どもたちの見守り必携アイテム」だそうだ

 


ベルトの小さなポーチの中に応急手当の用具が入っていた

 
忙しく立ち回るじぃじのそばで、いきなりランドセルを下ろして、公衆トイレに向かってボール遊びを始める子どもたちがいた。
 


じぃじは彼らを黙って見守る

 
そして、ニヤリとして言った。
「ふつうは叱りますよね、『早く学校に行きなさい』って。でも、私はそうは言わないんです」
どうなるんだろう・・・としばらく見ていると、やがて彼らは自分の意志でまたランドセルをかつぎ、学校へ向かっていった。
 


もちろん朝も、大人にも挨拶を欠かさない

 


返事があろうがなかろうが、誰にでも迷いなく挨拶する

 


足を止めた若い女性は、かつて通学時にじぃじに見守られていたという

 


「歩いては立ち止まる」を繰り返す女子3人組の1年生を辛抱強く見守る

 


ご近所さんとじぃじが会話する右手で、また足を止める女子3人組

 
じぃじ曰く「入学したての子どもたちは、まだ時間の感覚ができていないんですね。でも、それが少しずつ自分の中で整っていくんですよ」。
 
「さて、そろそろ終わりです。これで全員来ましたから」と、じぃじが言う。朝8時半。
小・中学生あわせて80人ぐらいの子どもたちの顔を全員把握しているという。
 
このあと場所を変えてゆっくりお話を伺うべく、一緒に踏切前をあとにした。
 


途中、市役所前交差点の先で、またまた立ち話をする女子3人組

 
「交差点を渡ったところで安心しちゃったんでしょう」と、じぃじは笑う。
だが、学校には8時25分までに登校しなければならない。そして今は、すでに8時半過ぎ。
「よし、学校まで見送ってあげようかな」と言って、じぃじは不意に駆け出し、交差点を渡っていった。
 


じぃじが駆け寄っていくと・・・

 
子どもたちはキャッキャ言いながら、じぃじに追いつかれないように学校の門へと走っていく。そして無事、御成小学校の正門の中へ吸い込まれていった。
「こういう誘導の仕方もあるんだなぁ」と、感心してしまった。
 


「いってらっしゃ~い!」門の向こうへじぃじの声が響く

 
 
 
「見守りじぃじ」の素顔に迫る
 
じぃじの素顔に迫るべく、市役所の向かいにあるスターバックスに入った。
 


漫画家・横山隆一(よこやま・りゅういち)旧邸跡に建つスタバ

 
席に落ち着くと、さっそく「見守りじぃじ」の来歴を伺う。
じぃじは鎌倉生まれ・鎌倉育ち、生粋の鎌倉っ子だった。御年81歳。現役時代は西友に勤め、池袋の本部に鎌倉から通っていたという。
西友では生鮮食品部門の店舗運営の元締め的な仕事を長く務め、その知識を生かし、定年後に鮮魚店のコンサルタント業を始めたそうだ。
 
バリバリのビジネスマンだったじぃじが子どもの見守りを始めたきっかけは、3人の孫たちの幼稚園への送迎だった。元来人づきあいが好きな性格なので、そこでほかの園児の見守りや父兄への声がけを自然な形でやっていたという。
 


この光景の原型は孫の送り迎えだった

 
その後本格的に「児童見守り」の活動を始めるのは、孫たちが全員卒園した5年ほど前のこと。幼稚園で「見守り」にハマってしまったらしい。
このとき、それまでやっていたコンサルタント業もスパッとやめてしまった。
 
  
児童見守りはいつでも誰でもできる!
 
「その時点で市に『児童見守り』活動の登録をしたわけですか」
筆者がそう尋ねると、「いえいえ、見守り活動に登録などありません。やろうと思えば、誰でもいつでもやれるんですよ」と、じぃじは笑って言った。
 
へぇ~・・・。「でも、あの『防犯』の腕章は、どうして入手したんですか?」
「あれは、市役所に行けばもらえるんです。私の場合は先輩からいただいたんですが」
 


市役所でもらえるという「防犯」の腕章


 
 
「見守りじぃじ」の一週間
 
じぃじは現在、月・火・木・金の週4日、登下校時の見守りに立つ。どんなに天候が荒れても必ず立つという。
以前は水曜日も立っていたが、土・日にやっている別の活動を「ぜひ水曜日も」と頼まれて、今はそちらに割いているとのこと。
 
「別の活動」とは、鮮魚店の調理の手伝いだそうだ。鮮魚部門の運営管理業務が長じて、自分自身で魚をさばく技術を磨いたのだという。
 


何を訊いても丁寧に答えてくれるじぃじ

 
こうして、じぃじの一週間は「児童見守り」と「鮮魚の調理」でびっしりと埋まっていた。
そのうえ、月に一度は公共施設で鮮魚の調理教室の講師も務める。
さらに4年前から、週に一度は空手道場に通う。
「こういうこと(見守り活動)をしていると、やはり何が起こるかわからないので」
それが空手を始めた理由だという。
 


年齢を感じさせない姿勢のよさは空手の鍛錬の賜物か

 
 
「見守り活動」のやりがいとは?
 
見守り活動のモチベーションは、いったい何なのだろうか?
答えはいたってシンプルだった。
「81歳まで生きれば、もうとっくに人生におつりが来ています。今、経済を支えているのは現役世代のお父さんやお母さん。将来を支えるのは子どもたち。そんな大人や子どもが安心して楽しく生活できる手助けをしたいんです」
「子どもたちは嬉しそうにいろいろ報告してくれる。大人たちはお礼を言ってくれる。声がけされて嫌な顔をする人は一人もいません。それを見ていると『間違っていない。良いことなんだ』と実感できます。それがやりがいですね」
 


じぃじに向き合うと、子どもたちに笑顔が弾ける

 
 
見守りじぃじの、今どきの子ども観
 
今の子どもたちへの印象も、じぃじらしかった。
「最近の子どもたちは、昔の子よりコミュニケーション作りが上手ですよ。『ただいま』『こんにちは』と言うだけじゃなく、にっこり笑ったり、時にはじぃじにパンチやキックをしてジャレてきたり。それも含めて挨拶だと思うんです。そういう人と人とのつきあいを、今の子どもたちは大事にしていると感じますね」
 


じぃじにお道化て手を振る子

 
 
「見守り活動」で心がけていること
 
そんなじぃじが「見守り活動」で心がけていることは?
「それは、決して『上から目線』にならないことです。さっき、登校途中にボール遊びをしている子がいましたね。もしあの子を叱っていたら、もう心を開いてくれませんよ」
 


子どもたちへの目線を大切にするじぃじ

 
「大人に対しても同じで、服装はなるべく地味にして、サングラスもかけない。自分から相手に胸襟を開くために、決して偉そうな態度を見せないように注意しています。だから見守り中は、絶対に腕を後ろで組まないんです」
 


数百枚の取材写真の中に、腕を背中で組んでいる姿は1枚もなかった

 
「見守りは自分の天職」とおっしゃるじぃじに、最後に「いつまで続けるのですか?」と愚問を投じてみた。
当然ながら、「今の健康が続く限りずっと」との返事をいただいた。
今まで一度も大きな病気をしたことがない。そして今度、空手の5級の昇級試験を受けるそうだ。黒帯を締めるまで、いやその先も、まだまだ見守り活動は続くにちがいない。
 
 

取材を終えて


 
お話を伺っていると、いつの間にか子育ての奥義を聞いているような気持ちになってきた。
じぃじにとって、子どもたちを「見守る」とは、「寄り添う」ことと同義なのだろう。
 
それにしても、鎌倉駅のすぐそばで、地元住人たちのこんなにも生き生きとした日常風景が繰り広げられている。観光地は同時に地元住民たちの生活の場でもあるという、当たり前のことながらつい来訪者が見過ごしがちになることを、あらためて認識させられた取材でもあった。
 
 
―終わり―
 
 

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