【横浜の名建築】春日神社
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第25回は、港南区日野中央にある『春日神社』900年の歴史を誇るこの神社は、名工の手による彫刻やご神木など、多くの魅力にあふれていた。
ライター:吉澤 由美子
見事な彫刻の社殿
(続き)
ヒゲは後年に直しているが、細かな部分までよく残っていて、雨風の当たらない部分のみずみずしさは特に素晴らしい。
当初は全体に色がついていたらしく、龍の口の中に赤い色が残っている
他にもさまざまな霊獣がこの社殿を飾る。社殿のまわりをひとめぐりしてぜひ見てほしい。
躍り掛かってきそうな獅子。想像上の生き物に魂が吹き込まれている
各柱の上部には、それぞれ違う獅子が彫られているが、本殿と拝殿をつなぐ幣殿には獅子ではなく獏が彫られている。
獅子の足元にある鞠の模様の細密さ
霊獣の獏は、鉄などを食べるとされる。戦いの間は武器を作るために鉄が使われて食糧がないので、平和な時代にしか生きられない。
獏は、悪い夢を食べるだけでなく、平和の象徴
2本の横材をつなぐ蟇股(かえるまた)にも彫刻がある。
蟇股の小さな彫刻も完成度が高い
春日神社にはつきものの鹿もいる
獅子と牡丹の彫刻は、花びらの表現に目を奪われる
本殿の外側には、6枚の彫刻がある。
儒教の教えをモチーフとした彫刻で、高梨林右衛門の名が彫り込まれた銘板も見える
角の彫刻は、両面にまったく違う2枚の絵が彫られている。どちらにも彫り抜かれた部分があり、両面とも違和感なく納まっている。その繊細で緻密なデザインと技量の高さに舌を巻く。
名主の名前があった反対側の面。彫り抜かれた部分が違和感なく溶け込んでいる
拝殿の中は格天井で、91枚の彩色画がある。
1枚の龍を除いて全てこの近くにある草花や動物がモチーフで、狩野派の絵師が描いたもの。
150年を経て今なお鮮やかな色を残している
拝殿の内側からも蟇股が見え、こちらにも鹿などの彫刻がある。
幣殿は各種の祈願を受けるところ。その先の本殿は神職にある方だけがあがることができる場所だ。
幣殿から、清々しく厳かな本殿を眺める
豊かな林と華麗な多数の彫刻に守られ、中心に清らかな本殿がある。日本の美意識の根幹を春日神社は感じさせた。
取材を終えて
有史以前から続く自然林の中に、900年という歴史を誇る神社があり、江戸時代の見事な社殿が残っていて、数々の彫刻は名工により魂を吹き込まれ、生きているような迫力がある。こんな素晴らしい神社が横浜にあったとは!
龍の胴にみなぎった力が伝わってくる
今年の干支は辰、すなわち龍。拝殿正面の見事な龍に見守られながら初詣の参拝をしたら、2012年は龍のように天高く飛び立てるかも?!
― 終わり―
春日神社
住所:〒233-0051 神奈川県横浜市港南区日野中央2-9-3
Tel.:045-844-2140
御祭神 天児屋根命(あめのこやねのみこと)
毎年8月31日に行われる例大祭宵宮は、100以上の夜店が軒を並べる盛大なもの
神奈川県神社庁 春日神社 詳細ページ
http://www.kanagawa-jinja.or.jp/search_dtl.php4?jid=245&cd=1204014&scd=&npg=0
港南区 ふるさと港南
春日神社のおこり 日野
http://www.city.yokohama.lg.jp/konan/furusato/minwa/minw-29.html
viva平塚さん
2016年03月13日 19時14分
大まさ