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昭和の名残? 横浜市内に点在する「謎のタワー」の正体とは

昭和の名残? 横浜市内に点在する「謎のタワー」の正体とは

ココがキニナル!

南区六ツ川のこども植物園近くの駐車場や磯子区杉田6-29-12にある「謎のタワー」は、何なのか? もしかしたら市内の他の所にもあるのかも。とてもキニナリます!(まさきち557さん/横濱マリーさん)

はまれぽ調査結果!

「謎のタワー」の正体は団地の給水塔だった。昭和の団地には多く見られたが、給水システムの進化で姿を消しつつあるランドマークタワー。今なお残るその貴重な景観を求めて、編集部は市内を巡った。

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ライター:結城靖博

給水塔を巡る旅(3)――青葉区・旧元石川(もといしかわ)郵政宿舎


 
続いて紹介するのは、ある意味非常に貴重な塔だ。なぜなら、もうすぐ見られなくなるから。と同時に、形状的にもとてもユニークだ。
 


旧・元石川郵政宿舎は東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩10分ほど
 

これがその貴重な給水塔だ

 
見ての通り、周囲が工事用のフェンスで仕切られている。
かつて多摩田園都市開発計画の流れの中で広大な敷地に誕生した元石川郵政宿舎は、すでに2017(平成29)年に閉鎖し、2021年には解体工事が始まる予定だ。つまり、取り壊し前の残像なのである。

また、この形状は、給水塔マニア(ネットを見ると、どうやらそういう方々がいるらしい)からは「とっくり型」と名付けられているものに近い形で、主に関西方面に多いとのこと。
 


もはや取り壊し前なので手入れもされずに汚れっぱなしだ

 
だがそこに、歴史の重みと廃虚感漂う風情も感じられる。

なお、この給水塔の取材を終えた後、付近にあった宿舎の案内図を見ると、取材した下の写真の給水塔Aとは別に、その上の高台にもうひとつの塔Bがあることがわかった。
さすが広大な敷地だ。1本の給水塔ではとてもまかなえなかったのだろう。
 


赤い書き込みは筆者の加工
 

せっかくだからB塔も写真に撮る

 
こちらのほうが撮り位置を確保しやすく、いいアングルで全体を収めることができた。
 


こちらは少し離れた高台からのA塔の眺め

 
道路の右側にあるのは美しが丘小学校のグラウンドだ。この学校の生徒たちは毎日グラウンドからこの給水塔を目にしているのだろう。不思議な形の塔を知っている子どもたちと、知らない子どもたち。遠い先の同窓会で、そんな思い出が話題に上るかもしれない。
 
 
 

給水塔を巡る旅(4)――保土ケ谷区・横浜国大キャンパス


 
給水塔は必ずしも団地(集合住宅)だけにあるわけではない。要は、多くの建屋に水を供給するために必要な設備なのだから。
最後に紹介するのは団地以外の場所にある、しかもとびきりユニークな形状の給水塔だ。
 


そこは保土ケ谷区常盤台(ときわだい)の横浜国立大学キャンパスの中
 

相鉄バス・国大南門のバス停を降りると、木々の上にその姿をチラリと覗かせていた
 

南門からキャンパスに入って環境情報4号棟の奥へ進むと・・・
 

ジャーン! その全貌が姿を現した
 

極力迫って見上げてみる

 
この形を「給水塔マニア」関係者の間では「円盤型」と呼ぶらしい。確かに、空飛ぶ円盤が地球のステーションに降りてきたような姿だ。比較的関東に多かったという。
 


円盤から宇宙に発信している信号は何だ?(笑)
 

少し高台に位置する常盤公園からの遠望

 
こうして見ると、実体を知らなければ、近隣住民でさえ「ありゃ一体なんだ?」といぶかしげに思う存在ではないだろうか。
だが特異な形状だからこそ、間違いなく周辺のランドマークになっていることだろう。
「円盤みたいな塔を右手に見ながら坂を上ると、うちがあるよ」なんて、言っていそうだ。
 
 
 

取材を終えて


 
一昨年、福岡の建設中のアパートで、下請け清掃業者の男らが受水槽で泳ぎ、その様子の動画をSNSにアップするという事件が世間の顰蹙(ひんしゅく)を買った。給水塔ではなかったが、水を貯めて供給するというシステム自体は同じだ。
給水塔にせよ屋上・地下に貯めるタイプにせよ、「貯水型給水方式」から直接水道水を各戸へ供給する「直結給水方式」に転換していった理由には、受水槽の水質管理の問題も関係していたようだ。

一方、昨年の台風19号の被害で、武蔵小杉のタワーマンションが長期間断水したことは、まだ記憶に新しい。「直結給水方式」では電力でポンプを稼働させるので、電気が通じなければ即断水につながってしまうのだ。
それに対して、給水塔は重力という自然の力で水を送るので、停電してもタンクに水が残っている限りは給水が可能だ。
技術の進歩は一長一短、というところだろうか。

とはいえ給水塔が、今後また新しい建築物に復活するということはないだろう。水質管理、夜間の貯水槽への水の汲み上げに要する電力など、維持コストの観点から考えても。
地域のランドマークの役割も果たしてきた「謎のタワー」が、今後少しずつ、だが確実に姿を消していくことを思うと、少し寂しい気もする。

そういえば、やはり時の流れに身を任せ姿を消していく塔がもうひとつあった。
それは銭湯の煙突だ。
下の写真は、南区永田北にあった銭湯「永生湯(えいせいゆ)」の煙突。銭湯自体は2018(平成30)年末をもって閉店してしまったが、今も役目を終えた煙突が民家の奥にすっくと立っている。
 


一面ツタに覆われた煙突は、まるでモニュメントの作品のよう
 

近くで見るとイキモノのようにも見える。いや、現にツタは生きている

 
給水塔と銭湯の煙突。2つの塔に何か共通する運命を感じるのは筆者だけだろうか。
 
 
―終わり―
 
 

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  • 質問者です。調査大変ありがとうございました。やっと遠くに見える「良く分からない棟」の疑問が解けました。(横浜エレベータと言う会社があるので)その会社のエレベータ会社の試験タワー?とでも思ってたのですが、まさか団地の「私設」給水塔だとは。歴史も含め勉強になりました。日本にこんな重力式の私設給水塔があるのですね..(北米に良く市町村立の鉄骨むき出しのタワーが立っておりますが)今度晴れの日に改めて子供と「あれはまれぽさんが調査してくれて、重量式の団地独自私設の給水タワーらしいよ」と眺めてみます。

  • https://twitter.com/danchiing/status/1216513677966209025?s=20 給水塔ツアーにもふれていただきたかった。「来る1月19日(日)給水塔ツアーin羽沢横浜国大を開催」とのこと!

  • 団地ともおの住む団地にもあったよな。

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