京都の花火大会での事故を受け、横浜市の露天商への指導はどうなってるの?
ココがキニナル!
3人が死亡という痛ましい結果になった京都府福知山市で行われた花火大会での爆発事故を受け、横浜市での露天商への指導はどうなってる?(はまれぽ編集部さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
慣例から露天商に届け出義務はない。安全指導は消防署が行い、事故以前も指導や注意喚起を行っているが、独自の取り組みをしている消防署もある。
ライター:はまれぽ編集部
尊い命に学ぶ
2013(平成25)年8月15日夜、京都府福知山市の花火大会会場で露店が爆発し3人が死亡する(同月20日現在)という痛ましい事故が起きた。夏休み中の突然の悲劇。原因については今後の警察の調べを待たなくてはならないが、露店の店主が自家発電機に給油する際、携行缶から気化したガソリンが燃え、爆発が起きた可能性が高いとみられる。
各報道によると、京都の事故はガソリンが入った携行缶を長時間にわたって日の当たる場所に放置したことに加え、発電機の電源を切らないまま燃料を補給しようとしたと可能性が高いとのこと。
取扱いには十分な注意を要するガソリンを使った自家発電機
露店が出店し大勢の人が集まる夏祭りなどのイベントは横浜市内でも毎週のように行われている。また、秋以降に学園祭シーズンを迎えると学生らが不慣れな火気を取り扱う機会も増えることが予想される。
横浜市内でも屋外で調理をするイベントが多く開催されている
同様の事故を繰り返さないためにはどうしたらいいか。3人の尊い命から学ぶことはないか。
19日に総務省消防庁からイベント会場でのガソリン取り扱いに関する文書が出されたことを受け、横浜市の取り組みを聞いた。
安全対策は各消防署が指導
横浜市健康福祉局食品衛生課の泉俊明課長によると、露天商については古くからの営業慣例などもあり、営業許可や消防への届け出について義務はなく、それぞれの祭りごとに責任者に届けることが多いという。だが、長期間にわたるイベントに出店する場合には、食品の衛生についての指導は行っている。
では、実際の安全対策はどこが行っているのか。
横浜市消防局予防部予防課の間正(ましょう)勝司担当係長によると、催事が行われる地域の各消防署が指導の役割を担うという。
業者からや出店者から事前に相談があった場合などは、少量危険物の届け出や火気の取り扱い、万が一火災が起きた時の消火方法について各消防署が指導や注意喚起を行っている。
市内でもイベント開催が多い中区を管轄する中消防署では、独自の取り組みを行っている。同署の太田孝副署長、滝沢宏予防課長、森崎健予防係長に話を伺った。
取材に応じてくれた(右から)太田副署長、滝沢課長、森崎係長
京都の惨劇から一夜明けた16日、中消防署は屋外のイベントで使用する火気の取り扱いに関する注意事項をまとめたチラシを作成。同日中に赤レンガ倉庫で開催されていた「ブラジルカルチャーフェスティバル」や「大通り公園納涼ガーデンまつり」に出店していたキッチンカーやコンテナ型店舗への特別巡回を実施し、チラシを使った注意喚起などを行った。
中消防署が独自に作成したチラシ
発電機に燃料を補給する際にはエンジンを止めることや、燃料容器の給油口を開ける場合は容器内のエア抜きをしてから開けること、燃料と発電機などの設備は一定の保有空地を保つことなどを徹底。
発電機を使って屋外販売する業者も多い
また、学園祭や町内会の祭りなどで火気の扱いになれていない人たちが卓上式カセットコンロで調理をする際には、爆発の可能性があるため、ガスボンベの収納部分にある通風口を覆わないように呼びかけている。さらに、太田副署長は「くわえタバコをしたままの作業は絶対避けてほしい」と強調した。
キッチンカーで全国を移動し、発電機を使って調理を行っている露天商に話を聞くと、「横浜市の基準は厳しい」と話すが、裏を返せば、それだけ指導が徹底されているということ。露天商は「事故後に消防からの指導を受け、改めて手順を確認した」と話していた。
発電機だけでなくプロパンガスを使う業者も
取材を終えて
前述の中消防署予防課によると、ガソリンはマイナス40度以下で気化が始まる。ガソリンスタンドで給油した際、給油口の近くが揺らいで見えることがあるのも気化しているため。空気より重く、滞留する性質に加え、静電気などの火花でも引火することがあるという。
京都の事故は屋外での販売を生業としているものが惹起(じゃっき)した事故で、業務上過失致死傷罪での捜査も行われているようだが、火気を扱う以上は専門業者だけでなく、すべての人が同様の事故を引き起こす危険性も残している。
東北地方の大きな花火大会では露店用の電源を確保し、発電機を使わせないようにしているところもあると聞く。
まずは犠牲になった方々に哀悼の意を表すると同時に、今回の事故をまさに「対岸の火事」とせず、予防や万が一の事故が発生した場合の体制をもう一度見直すきっかけにしてほしいと強く願う。
―終わり―
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さぶさぶろーさん
2013年08月22日 21時06分
こう言う記事のとき、「面白かった」はふさわしくないと言う意見を良く聞きますが、「面白い」には「笑っちゃう」、「こっけいだ」と言う意味ももちろんありますが、「興味深い」って意味もありますよ?この記事も「笑っちゃう」記事では決してありませんが、「興味深い」記事と言う意味で面白い記事です。
オオバさん
2013年08月21日 22時33分
とても興味深い記事でした。今は10リットルのガソリン携行缶が普通に売られてますが、今後も事故が起きれば、規制されるかもしれませんね・・・ところで、記事の評価が「面白かった」「面白くなかった」というのは、どうなんでしょう?痛ましい事故を扱ってるだけに、「面白かった」をクリックするのが、ちょっと気が引けるのですが(^^;