2014年10月の台風18号で発生した崩壊した緑区の崖地の是正工事が開始。現地の様子は!?
ココがキニナル!
男性1人が犠牲になった横浜市緑区白山の土砂崩れ現場で行われた是正工事の内容は?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
施工主の資金繰りが理由で手つかずだった工事を横浜市が行政代執行。7月末をめどに土砂の搬出と、のり面保護、排水口設置などの工事を行う
ライター:はまれぽ編集部
崖地是正工事で行政代執行
2014(平成26)年10月6日に台風18号の影響によって横浜市緑区白山3・4丁目で土砂崩れが発生、男性が1人死亡した事故で、横浜市は2015(平成27)年2月9日(月)、違法に盛り土をした都筑区仲町台の不動産業「ツヅキ企画(手塚博仁取締役)」に対し、行政代執行(=民間が行政上の義務を履行しない場合に、行政が業務を代行し、その料金を徴すること)による是正工事を開始した。
土砂崩れ発生直後の現場(2014年10月撮影)
事故から半年たった今も現場にはブルーシートが(2015年2月撮影)
崖地には大量の土砂も残る(2015年2月撮影)
是正工事では盛り土がされたままになっている崖地約1700平方メートルに格子状のコンクリート枠を設置して、のり面(=切土や盛り土によって作られる人工的な斜面)を保護するほか、流出した土砂約2500立方メートルを搬出する。また、新たな排水施設も設ける。
工事のイメージ
横浜市建築監察部建築局違反対策課の大谷勝(おおたに・まさる)課長によると、がけ崩れが発生した直後の2014(平成26)年10月10日に市はツヅキ企画に対し、宅地造成等規制法に基づいて災害防止のために必要な措置を取るよう是正命令を発令。しかし、同社から具体的な是正計画が示されないまま同年11月30日の履行期限を迎えた。
その後、行政代執行法に基づいて市が定めた期限である2015(平成27)年1月31日になっても是正措置が取られず、是正の意思もなかったため、今回の行政代執行に至った。
市との一連のやり取りで同社は「資金繰りが厳しい」などと話していたという。
工期は7月31日までの予定で、事業費の概算は約2億5000万円。工事が終了し、最終的な金額が確定した段階で、ツヅキ企画から徴収する。ツヅキ企画は必ず支払わなければならない。
工事のスケジュール
代執行初日の9日は、市職員と工事関係者計約40人が集まり、作業前に黙とうをささげた。
現場で黙とうする市職員と作業員ら
引き続き、大谷課長が「困難を伴う工事なので、事故のないように作業を進めてほしい」と訓示。
関係者を前に訓示する大谷課長
その後、午前9時50分に大谷課長が工事執行責任者として代執行開始の宣言。重機を使って土砂の搬出を行った。
トラックに土砂を積んで搬送する
10日(火)以降は、周辺の調査や車両の誘導経路確認を行い、2月下旬から再び土砂の搬送を開始。3月にのり面保護のための工事を開始し、6月下旬から7月にかけて最終的な土砂の搬送を行う予定。
大谷課長は「梅雨時の工事なので天候に配慮しつつ、斜面全体の安全性が確保できるように作業を進めていきたい」と話している。
横浜市が把握している宅地造成等規制法違反がある崖地で人家が近くにあるものは4ヶ所で、緑区白山の現場の工事を行ったことで、残り3ヶ所(戸塚区矢部町、泉区新橋町、旭区上白根)となった。大谷課長は残る3ヶ所についても「早急に対処する」と話している。
ツヅキ企画に現在の心境を確認しようとしたが、9日夜から現在まで留守番電話に切り替わって連絡が取れない状況が続いている。
取材を終えて
1人の尊い命が奪われた背景には天災だけでなく、資金難を理由に適切な安全対策を取らなかった業者側の都合による要因も多分にある。
事故から4ヶ月が過ぎた。
被害に遭われた男性にはお悔やみ申し上げると同時に、市には二度とこのような悲劇が起こらないよう再発防止策を期待したい。
―終わり―
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町田県民さん
2015年02月10日 21時24分
旭区神白根…上白根のことですよね。それはさておき、2億強の債務弁済をこのツヅキ企画なる業者がしないことは明らかなので、結局は税金による処理となってしまうことは問題だと思います。適当に建売なりアパートなりを建てて、何か起きたら行政に尻拭いをさせるという前例ができてしまうことを懸念する次第です。債権者が民間であれば債務取立ては非常なまでにやります(債務者が工場なら金型やプレスマシンとかまで引きはがしてトラックに積んでいく)が、行政ではできないでしょうし…
hi-kissさん
2015年02月10日 12時43分
成田山のほうはどうなったのでしょうか?
都筑のふくちゃんさん
2015年02月10日 11時14分
気になっていた事故復旧対策です。代執行で行政も筋を通したと思います。早速レポートありがとうございました。市民がきちっと見ているということが大切です。犠牲者にこころからお悔やみ申し上げるとともにご冥福をお祈り申し上げます。