旭区を中心に活動中の「紙芝居おじさん」が紙芝居を始めた理由とは?
ココがキニナル!
定年後、旭区を中心に子どもたちやお年寄りなどにボランティアで紙芝居を上演している「紙芝居おじさん」こと、渡辺利雄さんは、なぜ紙芝居を始めたんですか?(Ibuki&Minatoさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「定年後は本当に自分の好きなことをやろう」と考えていた時、子どもの頃とても楽しみだった紙芝居のおじさんが夢にでてきて「これだ!」と思ったから!
ライター:吉澤 由美子
紙芝居をはじめるきっかけは、ある夜に見た夢
渡辺利雄さんは、精密機器メーカー「リコー」で42年間、設計士として働いた。コピー機が登場しはじめた黎明期から新製品の開発設計に携わり、世界的にも評価の高いコピー機を次々に生み出す忙しい日々だった。
そろそろ定年となり、リタイアしたら自分の好きなことをしようと考えはじめた渡辺さんはある日、子どもの頃、近所に来ていた紙芝居のおじさんが出てくる夢を見た。紙芝居を毎週楽しみに見ていたことを思い出した時、紙芝居には自分の好きなことが全部入っていると気付いた。
演じること、図画工作、工夫すること、そして子どもたちの笑顔。
登場人物になりきったセリフ回しがとしょくんの魅力
奥さんの初枝さんに相談すると、すぐに賛成してくれた。こうして渡辺さんの紙芝居ボランティア活動がはじまった。
初枝さんは、渡辺さんのよき理解者であり、かけがえのないパートナー。絵を描くことが趣味の初枝さんがオリジナル紙芝居制作では大きな力になってくれている。だから、渡辺さんオリジナルの紙芝居は、「脚本:としょくん 絵:はっちゃん」はっちゃんが、奥様の初枝さんだ。
横浜の民話をモチーフにしたオリジナル紙芝居の数々
今ではオリジナルの紙芝居も増え、その中には横浜の民話をモチーフにしたものがいくつもある。
『ねこのおどりば』『キツネのひるね』『横浜の浦島太郎』などは、現地で取材して構成を練り、物語を組み立てて、引き出すタイミングも含めて絵を描いた。
猫好きな奥様の描いた猫たちは、身体の模様も1匹ずつ違う
地元が舞台となる話には大人も子どもも興味を惹かれる。
そうした話に触れることで自分の住んでいる街を大切に思う気持ちも育っていく。
人生を楽しむこと 日々の暮らしを丁寧に過ごす渡辺さんご夫婦
横浜を題材にした紙芝居を見せていただくため、旭区にある渡辺さんのお宅にお邪魔した。高台にある家はたくさんある窓から心地よい風が入ってくる。
真夏の暑さの中で、干天の慈雨のように染み渡った梅ゼリー
奥様がさっと出してくれたのは、梅ゼリー。
手作りの甘酸っぱくフルーティな梅ジュースを、限界ぎりぎりまで柔らかいゼリーにした逸品だ。
「どんなお店よりおかあちゃんの料理がいちばんうまい」そう渡辺さんが言うのも頷ける甘露。
今年の梅干しの漬かり具合をチェック
料理だけでなく、パンや和菓子、ケーキ、漬物やお味噌も手作りの初枝さん。旬のものを吟味して、味や口どけ、舌触り、口にする時間も逆算して料理する。そんな初枝さんの細かな工夫をちゃんと渡辺さんが理解していて、その手間が作る味の違いを教えてくれる。
かけあいも息ぴったりのおふたり
「紙芝居でおかあちゃんがついてくるのは、こども自然公園の時だけ。あとはひとり」「いつもべったりじゃぁ気が詰まるものね」「そうそう、身内の批評は素直に聞けなかったり」「よその人から同じことを言われると納得できたりね」渡辺さんご夫婦はお互いの言葉を補足しながら、芯にある共通した思いを伝えてくれる。
相手の楽しみを理解して尊重し、喜びや感謝をきちんと伝えること。
渡辺さんの紙芝居や奥様のお料理には、温かく相手を思いやる気持ちがたくさん詰まっていた。日々の暮らしの中の瞬間を、1つずつ大切に楽しみながら過ごしていく。そのことで人生は驚くほど豊かになるのだと感じた。「いつかこんな夫婦になれたらいいな」渡辺さん宅を辞した帰り道、素直にそう思った。
買い物もふたり。丁寧に日々を楽しみ暮らしている雰囲気が伝わってくる
― 終わり―
紙芝居ライブの日程やレポートはこちら
紙芝居ボランティアとしょくんの『窮窮自適』日記(紙芝居編)
http://blog.livedoor.jp/wtosyokun/
日々の暮らしを楽しまれている様子はこちら
としょくん(紙芝居ボランティア)の『窮窮自適』日記(暮らしの便り)
http://blog.livedoor.jp/nabetosi/