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「水道道」は、なぜ「水道道」と呼ばれている?

ココがキニナル!

神奈川区、鶴見区、港北区を通る市道85号線は、水道道と呼ばれていて標識にも載っていますが、名前の由来はどこから? 何かしらの水道設備が通っているのでしょうか?(Yorupikuさん)

はまれぽ調査結果!

市道85号線の「水道道」は、昭和9年に水道管設置工事が行われたことから、水道道と呼ばれるように。現在は西谷浄水場からの水道管が通っている

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ライター:橘 アリー

横浜水道記念館・技術資料館に行ってみた


 


横浜水道記念館と水道技術資料館は、とても見晴しの良い高台にある
 

入口の様子
 

横浜水道記念館は、シンメトリーなデザインでちょっとオシャレな雰囲気である
 

水道技術資料館の前には、水のイメージのアーチがある


最初に「横浜市水道記念館」の展示で、横浜の水道の始まりについて触れておくことに。
横浜も水道が引かれるまでは、井戸を掘ってそこから水を組み上げていたそうだ。吉田新田など埋立地の多い横浜は、井戸を掘っても良い水が出なかった。

なので、横浜開港後も、人々は、野毛・中村・石川などの湧き水を汲んで売り歩く「水売り」から飲料水を購入していた。
 


水売りの様子(写真左)と水売りなどに使う桶の様子(写真右)
(横浜市水道記念館の展示より)


その後、横浜が開港したことにより人口が増え飲料水も多く必要となってきたので、民間会社が1873(明治6)年に、木の樋を使った木樋(もくひ)水道を引いた。

この水道は、多摩川を水源とする稲毛川崎二ヶ領用水(にかりょうようすい)という灌漑(かんがい)用水から水を取って、地中に木の樋を埋めて水を通し「水道井戸」と呼ばれる水をためる木の桶から汲み上げて使うものであった。
 


稲毛川崎二ヶ領用水の水路図。総延長15.9kmに及ぶものだ(横浜市水道記念館の展示より)
 

木桶水道の様子(左が横浜市水道記念館の展示、右が水道技術資料館)


しかし、この水道は、途中で水が漏れたり、塩分を含んだ水が入ったりなど、安心して使える水ではなかったので、民間会社での経営がいきづまり、1874(明治7)年に神奈川県が引き継ぐことになったが、それもうまくいかなかった。

そこで、神奈川県は、1883(明治16)年にイギリスの水道技師のヘンリー・S・パーマーに水道調査設計を依頼し、1885(明治18)年には横浜水道の工事が始まり、1887(明治20)年に、日本で初めての横浜近代水道が完成した。
 


ヘンリー・S・パーマーの銅像(横浜市水道記念館の展示より)


その後、水道設備は何度か拡張工事が行われ、現在に至っているのだが、市道85号線の水道道に水道設備が設置されたのは1934(昭和9)年とのことなので、展示資料で年代を照らし合わせてみると、第3回拡張工事のときのようである。
 


第3回拡張水道施設概要図(「横浜水道百年の歩み」より)


水道管の設置工事は・・・
 


現在では機械を使って行われるが(水道技術資料館の展示より)
 

当時は木材を組んで吊り上げて設置していたようである(水道技術資料館の展示より)

 
機械がなかった当時の工事の様子
 

昭和初期ごろ開発され、全国的に普及したという水道管「高級鋳鉄管」


大きな水道管を、木材を組んで吊り上げて地中に水道管を設置する様子は、とても大がかりな工事であったのだろう。
当時の写真や水道管を見ると、水道管設置工事を見ていた人々が地中に水道管が埋まっている道を「水道道」と呼んだことに納得がいくものだ。



取材を終えて



今回の取材で訪れた「横浜水道記念館・技術資料館」は、周囲の見晴らしも良く心地よい場所でした。
敷地内に、1887(明治20)年~2003(平成15)年の116年間使われた水道管が、ベンチとして設置されていた。
 


水道管にこんなリサイクル方法があったとは驚きである!
 

ベンチはしっかりと安定していて、座り心地も良かった!


今度はお弁当をもって来てベンチに座って食べるのもいいかも。

そして、園内の噴水を・・・
 


こんな角度で見ると、露天風呂気分を味わえるかも!?


機会がありましたら、ぜひともお出かけくださいませ!


―終わり―
 

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  • 水道道は結構アップダウンが激しいですよね。信号が多いのは不便ですが、片倉町から鶴見までジョギングをすると、かなり鍛えられますよ。

  • ついでですが、鎌倉に「水道路」なるバス停があります。九品寺循環と小坪経由逗子行きが帰りだけ通ります。ここも水道設備と関係があったんでしょうかねぇ。

  •  先日一駅散歩で,星川駅から上星川駅間を歩いていて,水道道に出会い、なんかとても懐かしいい気分に捕われました。 というのは,その昔吉祥寺に住んでいた頃,水道道路という直線の道路があって,よく歩いていました。これは,武蔵境浄水場から,新宿の淀橋浄水場迄の道で,今は井の頭通りという名前になり,淀橋浄水場は,西新宿の高層ビル街になっています。 西谷から,何処迄通じているのかわかりませんが,何処も同じような名称で親しまれていたんですね。しかし,三本もあるとは吃驚です。是非,みんな歩いてみたいです。

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