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日本のウラ社会を支配してる!?吉野町市民プラザのトイレに貼られた「日本のアンダーグラウンド社」とある謎のシールの正体は?

ココがキニナル!

公共施設「吉野町市民プラザ」の4階男子トイレに、「日本のアンダーグラウンド社」と書かれた点検済みシールが貼ってあるんですが、いったい何の会社なんでしょう?(ryutafeijoadaさん)

はまれぽ調査結果!

日本のアンダーグラウンド社は1990年前後に活動、インディーズアーティストのカセットテープのレーベル。トイレのシールはレーベル販促用のもの

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ライター:小方 サダオ

日本のアンダーグラウンド社とはカセットテープのレーベル



そんなある日、何気なくTwitterを検索すると、「FUJIYAMA-WEEKLY・・・日本のアンダーグラウンド社・・・」と書かれた写真が投稿されていた。

調べると「FUJIYAMA WEEKLY」とは、東京都の三軒茶屋で1980年代から30年も続けている、日本のインディーズCD・レコード販売のお店・FUJIYAMAが発行していたミニコミ誌であることが分かった。

お店に問い合わせてみると「日本のアンダーグラウンド社」とはカセットテープのレーベルであることが分かり、しかも2点ほど在庫がある、とのことだった。
 


世田谷区三軒茶屋にあるレコード店、FUJIYAMA
 

アーティスティックな独特な外観
 

年季を感じさせるFUJIYAMAの看板


早速お店へと向かうと、店主の渡辺さんが商品をとっておいてくれた。

そして「日本のアンダーグラウンド社」に関して伺うと「『日本のアンダーグラウンド社』とはインディーズアーティストのカセットテープのレーベルです。代表の鈴木君のレーベルで、20年ほど前に自作のカセットテープを作ったら持ってきて、委託販売として売っていました。その際にいっしょに『配ってください』とステッカーも置いていきました。どんなものだったか覚えていませんが・・・」
 


個性的なFUJIYAMAの店内


「しかし電信柱やライブハウスの中などに自分たちのステッカーを貼るのはインディーズアーティストなどがよくやることで、珍しいことではありません」と答えてくれた。

このステッカーが吉野町市民プラザに貼られたものなのかもしれない。
 


インディーズアーティストの写真が飾られている
 

店内のカウンター


お店について伺うと「ここは30年以上続いているレコード店です。主にインディーズアーティストを扱っていて、彼らは作品が出来ると『置いてください』と頼んできます。今の商品は、カセットテープではなくCD-Rが主流になっています」と答えてくれた。
 


現在のインディーズアーティストはCD-Rで作品をつくる、という
 

店内に流れる音楽は耳に残り、インディーズながら質が高いように感じた
 

レコード盤も置かれている


手に入れた「日本のアンダーグラウンド社」による商品は、14名のアーティストの作品をコンピレーションした『地下通信』と小山克己(こやま・かつみ)さんというアーティストによる『オリジナルサウンドトラック ル・ピスカ』であった。

作品を聴いてみると『地下通信』は、男女アーティストによる、ハードコアパンク風のものからアコースティック調まで含まれていて、ライブ録音されたものもある。

音楽に関して素人の私の感想で恐縮だが、決して上手な演奏ではないが、それぞれが個性的で自分のスタイルを貫いている印象を感じた。
 


日本のアンダーグラウンド社『地下通信』
 

カセットテープに封入された冊子
 

14名のアーティストによるコンピレーションアルバム


冊子の中で、代表の鈴木貴雄さんが冒頭を飾るバンド「zoo」の解説を書いている。聞き慣れない音楽用語が用いられ専門的な音楽知識を持つ人であることが伺える。

興味深いのは「身内で楽しんでいる音楽」を「アングラ(アンダーグラウンド)の神髄」と表現していることだ。レーベル名の日本のアンダーグラウンド社は「日本における個人的に楽しむための音楽の社」という意味で名づけたのかもしれない。
 


代表の鈴木貴雄さんによる解説文
 

「らいむらいと」と「油坊主」
 

「フランチャイズ」と「太田雅人」
 

「鈴木智子」と「The Misscarage」
 

「DOLE-Q」と「FEAR inc.」


また『オリジナルサウンドトラック ル・ピスカ』は、透明感のあるきれいなメロディの曲が多いが、特に印象に残らないBGM的な音楽、といった感じだった。しかし“テープの楽しみ方”にあった「事前に曲名や歌詞から自分自身で物語を描いてから曲を聴く」という提案が、実験的で面白いと感じた。これを行ってから聴くと、違った感動を得られるのかもしれない。
 


小山克己さんの『オリジナルサウンドトラック ル・ピスカ』
 

小山克己さんは歌と演奏担当をしている
 

曲名や歌詞を見て自分で物語をつくってから曲を聴く形を提案している




当時の音楽シーンに詳しい人たちに話を伺う



調査に進展があったことを伝えるために、吉野町市民プラザを再度訪れた。

尾形さんに事情を伝えると、吉野町市民プラザとロックアーティストにまつわる話をしてくれた。

「実は26年前の開館当初に、スタジオを使用した有名ロックミュージシャンの色紙が当館に残っていたのです。当館は開館当初から変わらず一番安い時間帯で2時間600円という料金で貸しています。また、ホールはロックコンサートの会場としてご利用いただくこともあります。例のシールにある1990年(平成2)年ごろは、スタジオを借りに来ていた男の子たちがこっそりたばこを吸っていたりして、問題になっていたこともあるそうです」とのこと。
このような若者の中で、日本のアンダーグラウンド社のステッカーを持っていた人が貼ったものなのかもしれない。
 


吉野町市民プラザで開かれたロックコンサート
 

Bスタジオ・Cスタジオ
 

ドラムセットが備えられ、アンプの設備も廉価で借りられる


さらに偶然にも尾形さんは、そのころのインディーズブームにはまっていたということで、当時のブームについて教えてくれた。
「私もそのころは東京や横浜のライブハウスによく行っていました」
 


パンク、ロック、ハードコアなどを取り上げた音楽雑誌『ドール・マガジン』


「あのころはインディーズバンドがごまんといましたが、ラフィンノーズ(LAUGHIN' NOSE)やブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)は当時から有名でした」
 


インディーズアーティストの12インチシングルやソノシート(薄いレコード盤)のリスト


「ラフィンノーズに関しては、ライブハウスでのファンの圧迫死事件が起こり、私の友達が『友人が亡くなった』と悲しんでいた話を聞いたのを憶えています」

「当時のインディーズアーティストはカセットテープかソノシートで自分たちの作品を売っていました」とのこと。
 


「ラフィンノーズなんか目じゃねえぜ」(前出の油坊主のページより)


そして横浜にも古いレコード店がある、と東急東横線白楽駅前にある「ゴクラク」に行くことをすすめられた。



日本のアンダーグラウンド社の商品があった横浜のレコード店



店員さんに吉野町市民プラザの話をすると「ロックイベントをするところですね」とご存じであった。
 


白楽駅前の「ゴクラク」 


「ここは開店して30年以上経つレコード店です。1980年代のころのことです。オープン当初は商品が少なかったため、FUJIYAMAさんから入荷していました。その中に『日本のアンダーグラウンド社』レーベルのカセットテープがあったことを憶えています。また横浜で活動するインディーズアーティストが、当店に直接『商品を置いてくれ』と頼んできたこともありました」とのこと。
 


外壁一面に描かれた個性的なイラスト
 

FUJIYAMAと同じくらいの歴史を持つ、ゴクラク
 

『ドール・マガジン』内の「ゴクラク」のPRページ


店内の商品に関して伺うと「うちではメジャーも扱っていますが、変わった商品を多く扱っています」と答えてくれた。

横浜にあるこのお店でも「日本のアンダーグラウンド社」レーベルのカセットを入荷していた、と言う。カセットとともに販促用のステッカーも配られていたのかもしれない。それを何らかの形で手にした人が、吉野町市民プラザに貼った可能性も考えられる。



音楽ライターにお話を伺う



最後に、音楽業界と長く関わって来た方で、現在もライブイベントを企画するなど精力的に活動されている音楽ライターに当時のインディーズブームについてお話を伺った。

「1989(平成元)年のころはレコードからCDへの転換期でした。レコードが聞けなくなるため、メジャーアーティストはCD制作に移行したのですが、アマチュアバンドには費用がかかり難しく、最も気軽にできたのが、カセットテープでの制作でした」とのこと。
 


レコードだった時代は終わりCDへ、今やCDからデータをダウンロードする時代に


アンダーグラウンドというジャンルに関して伺うと「その説明は一言ではできない」とのこと。そのためお名前を伏せた上で、無理をしてわかりやすく説明していただいた。

「『アンダーグラウンド』を説明するのは難しいです。それはジャンルではなく、インディーズというわけでもありません。その少し後にテレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国』の影響で、アマチュアやインディーズバンドブームが起きましたが、あれらはメジャーと言え、アンダーグラウンドとは異なります。一言でいえば自分の納得できるプライベートな音楽、やりたいことをやって楽しんでいる人達の、その心構えのことといえるでしょう」と答えてくれた。



取材を終えて



代表の鈴木さんと連絡を取り「確認シール」にした意図などを伺おうとしたが、叶わなかった。

前出の音楽ライターの言葉と同様に、鈴木さんも個人的に楽しむ音楽を「アングラの神髄」と表現していた。

ちょうど当時はバブル経済のころと重なり、個人的に音楽を楽しむ余裕のある人たちが多かったのかもしれない。吉野町市民プラザに残されたシールは、当時の「商業的なものとは関係なく自分たちの音楽を楽しむことに熱中していた若者たち」の、純粋な思いの名残と言えるだろう。
 


自分らしい音楽を楽しむ人たちをサポートしていた日本のアンダーグラウンド社



―終わり―
 

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  • 学生の頃、吉野町市民プラザでバンド練習したなぁ。超懐かしい。ああいう安く貸してくれるスタジオ、もっと市内に増えて欲しい。

  • でも早い話が「迷惑行為」なんでしょ?

  • キニナルを投稿したものです。貼ってある場所や、シールの材質から、すっかり本物の保守業者による点検シールだと思っていました。シール1枚から、ここまで鮮やかに真相にたどり着くなんて、お見事ですね!ありがとうございました。

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