箱根山が噴火した時の横浜市の災害対策は?
ココがキニナル!
箱根大涌谷の火山活動が活発化しています。仮に大規模噴火を起こした場合、横浜ではどういった被害が予想される?対策は?(meyoungさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市では箱根山の噴火に対して具体的にどの程度の被害があるかの対策は想定していない。対策については富士山の噴火を想定している
ライター:はまれぽ編集部
被害想定していない?
では、万が一、箱根山で噴火が発生した場合、横浜市ではどの程度の被害を想定しており、それに対してどのような対策を取っているのか。
横浜市総務局危機管理室危機対処計画課の和知治(わち・おさむ)課長と千葉陽(ちば・あきら)係長に聞いた。
和知課長(左)と千葉係長
和知課長は「噴火の規模や風向きによって横浜市内に火山灰が来ることはあるかもしれないが、具体的にどれぐらいの被害があるかという想定はしていません」という。一体どういうことか。
さらに詳しく伺うと、横浜市では箱根山ではなく、それ以上に甚大な被害が予測される富士山の噴火を前提に被害想定や対策を講じているのだという。
富士山ハザードマップ検討委員会が2004(平成16)年に作成した「富士山降灰可能性マップ」では、1707(宝永4)年の富士山噴火(宝永噴火)と同規模の噴火を想定している。
富士山降灰可能性マップ(横浜市ホームページより)
同マップによると、富士山が噴火した場合、山頂から市境まで約75km離れた横浜市全域で10cmほどの降灰を予想。箱根町周辺では30~50cmの降灰が予想されている。
前述のように、仮に箱根山で噴火が起こった場合は半径約2km以内で1cm以上の火山灰が積もるとの予測なので、横浜市が箱根山噴火の具体的想定をしていないことも納得できる。
対策は?
火山灰はマグマが発泡してできる細かいガラス片のようなもので、空気中に舞い散ったものを吸い込むと呼吸器系の病気の遠因になったり、目の痛みや皮膚炎などを引き起こす可能性があるほか、火山灰が地面に積もると自動車がスリップしたり、電車の運行にも影響が出たりする。
さまざまな被害が想定される火山灰(横浜市ホームページより)
横浜市では富士山の警報レベルが「3(入山規制)」となった場合のほか、必要に応じて「警戒体制」を整える。その後「4(居住地域及びそれより火口側の避難準備)」で「災害対策警戒本部」を設置。最大レベルの「5(居住地域及びそれより火口側の避難)」で「災害対策本部」を設置する。
レベルごとに対応する
警戒体制を整えた時点で気象庁や神奈川県と連携して情報の収集を行いながら、市民に広報するなどの対応を行う。万が一、市内に火山灰が降った場合には、ライフラインを確保しながら迅速に除灰を行う。
横浜市だけで対応しきれない場合は、東京都を含む21大都市(東京都と全国20政令指定都市)や東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の九都県市、19市区町からなる「東海道五十三次市区町災害時相互応援に関する協定」などに基づいて応援態勢を整える。
災害対応に特化して市内の消防力が落ちることもなく、119番通報なども平常通り受けられる体制を取っていくという。
和知課長は「万が一、横浜に降灰があった場合は市民生活に制約は生じるだろうが、その中でライフラインは確保しつつ迅速に対応できる体制になっている」と話してくれた。
これについて、横浜市在住で、5月10日(日)の母の日に箱根に行く計画だったという30代女性と60代女性の親子は「もともと計画していたものだし、報道を見る限り大涌谷から離れているのでそれほど心配していない。存分に楽しみたい」と話していた。
取材を終えて
箱根山の被害より甚大な想定を基に行動計画を立てているという点で多少の安心はあるが、相手は大自然だ。和知課長の言うように噴火規模や風向きなどの気象条件では想定以上の被害が起こるかもしれない。
噴火が起こらないことが一番なのだが、有事の場合には落ち着いた行動がとれるよう、われわれ市民も日常から防災意識を高めることが必要だと感じた。
―終わり―
ねこだいすきさん
2015年05月13日 19時42分
こういう取材をして戴くことで、初めてその対策が行われている事を知る人も多いでしょう。問題なのはどの様な対策がなされていて、市民としてはどの様にふるまえばいいのか?情報開示で有事の際の被害減少ってのは、結局のところ情報伝達の仕方次第だと思うんですよ。漠然として「対策してるから大丈夫」ではなく、「どのように?」大丈夫なのかをアピールする必要があるんじゃないですかね?わずかな役人さんだけ理解してて、百万人規模の都市を救えるものでしょうか。
マッサンさん
2015年05月13日 12時30分
「箱根」、「はこね」と呼んで久しいです。が、「箱根山」というのは初耳でした。「箱根の山は天下の剣…。」と歌われますが、やはり「箱根山」と言われてもピンと来ない感じです。わたくし事でした。
ピータンさん
2015年05月13日 07時50分
箱根より危険度が高い桜島・鹿児島の人達は大丈夫なのか?箱根と同レベルの危険度で有る草津、三宅島、阿蘇熊本、霧島などの人達はどのような風評被害対策をしてるのだろうか?http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/keikailevel.html