歴史ある弘明寺商店街の店が相次いで閉店している理由は?
ココがキニナル!
弘明寺商店街では最近店舗の閉店が相次いでおります。再開発の計画でも進んでいるのでしょうか?横浜市内でも由緒あるこの商店街で何が起こっているのか気になります。(はまっこ61号さん、まんぼうキングさん)
はまれぽ調査結果!
最近閉店した店舗の主な理由は、店主の高齢化と跡継ぎがいないということ。美容室に関しては従業員不足で、近くに系列店舗があるため閉店となった。商店街の再開発の計画はなし。
ライター:藤井 涼子
商店街を利用している人はどう思っている?
商店街を利用しているお客さんや、商店街でお店をやっている人はどう感じているのだろうか。話を聞いてみた。
近所に住んでいて、長年弘明寺商店街を利用しているというT.Sさん。「閉店に関しては、よくあることなのであまり気にならない。この商店街は、よくお店が入れ替わるからね」とのこと。
「人通りもいつも変わらないよ」と教えてくれた
「跡継ぎがいないから、閉店しているのかもね」とも話してくれた。
次に話を聞いたのは、戦後すぐ、ここにお店を構えたという「川松屋」さん。
たくさんの種類のお酒が所狭しと並ぶ、魅力的な店頭
2代目店主の川松さん
「商店街に、特に大きな変化はない。人通りの数も、それほど変わらない」と川松さん。
閉店したお店の跡地には「特徴があって、地域のためにとかいろいろ情報発信してくれるような、新しいお店が入ってくれるといいな」とのことだった。
近くで立ち話をしていた、70代くらいのご婦人2人に話を聞いたところ「長年近くに住んでいるけど、今は商店街では買い物をしない」という。
スーパーなどで買い物をして、宅配サービスを利用するそう。
「横浜駅にもすぐ行けるから、あとは百貨店で買い物しちゃう」
商店街の閉店についてどう感じるか、話を聞くと「だいたいみんな高齢になって辞めちゃうんじゃないかしら」と、はじめに話を聞いた方と同意見。
また「今がテナント料の更新時期で、数10万円の更新料を払う必要があるって聞いたけど。更新せずにやめたため、ここ数ヶ月で閉店が続いたんだと思うわよ」 とのことだった。ご婦人によると、店舗入居から20年に一度更新料を支払う必要があるとのこと。商店街ができてすぐに、ここにお店を構えた老舗が、その節 目にあるのかもしれない。
真相を確かめに、商店街事務所へ向かった。
実際の閉店理由は何なのか? 再開発の予定はあるの?
なぜ、ここ数ヶ月間で閉店が続いているのか、詳しい話を聞くため弘明寺商店街の事務所へ向かった。
商店街の中にある「横浜弘明寺商店街協同組合事務所」
弘明寺商店街のホームページには「取材等の対応」というページがあった。はまれぽライターとして、いくつか商店街を取材しているが、こんな案内は初めて。ありがたい。
お話を伺ったのは、横浜弘明寺商店街協同組合理事長・長谷川史浩(はせがわ・ふみひろ)さんと、事務長の小駒治代(おごま・はるよ)さん。
現在の商店街加盟店は、100~110店舗ぐらいという弘明寺商店街。商店街としては、とても恵まれた立地だと話す長谷川さん。
長谷川さんは弘明寺商店街内の「メルカフェ」を運営
「2つの駅に挟まれていて、1000年以上になるお寺があり、観音様がいる。人が集まる好条件がそろっているんですよ」と話す。
京急弘明寺近くにある弘明寺観音の仁王門
商店街では、イベントの企画を数多く行っている。さくら祭りやハロウィーン、節分祭など季節の行事だけでなく、年2回の福引き大売出しを実施。たくさんの人でにぎわうという。
中元福引大売り出し大抽選会のチラシ
弘明寺商店街年間イベントスケジュール。イベント、多数!
1年で最も客数が多いのは「さくら祭り」だそう。
約500本の桜が咲くという(画像提供:横浜弘明寺商店街協同組合)
イベントが多く、人が集まる商店街で、なぜ、ここ数ヶ月で閉店している店舗が複数あるのか? 今回のキニナル閉店について聞いてみた。
「確かに古くからあるカバン店と雑貨店、両方を営む白馬堂さんが2015(平成27)年6月いっぱいで閉店、菓子店のこじまさんも同様に6月末で閉店しています」と長谷川さん。
キニナル投稿にもあるように、スズキフルーツや鈴木かまぼこも閉店していると確認。確かに計4店が同時期に閉店したら「何かあるのでは」と思う方もいるかもしれない。
1000ぶらでもお世話になった当時の鈴木かまぼこ
その閉店理由は、いずれも「店主が高齢になったが、後継者がいない」ということだそう。
長い間商店街でお店を営んできた人たちが、どのお店も高齢になったため「老舗の閉店が続いてしまった」ということになったようだ。
また、先ほどインタビューでご婦人から聞いた「更新料」について尋ねると「商店街で高額の更新料があるという事実はありません」とのこと。
「ご本人に聞いたわけではありませんので、分かりませんが」としたうえで、その土地の借地権の更新料が10年とか20年ごとにかかる可能性はある、とのことだった。
美容室イレブンカットは、お店の従業員が足りなくなり「お店を少なくする」という理由で弘明寺商店街にある店舗を閉めたそう。
「お店は『つぶれちゃった』わけではなくて、みんな『廃業』しているんですよ」
「特に、白馬堂さんは間口が大きく、向かい側にも店舗があるので『シャッターが閉まっている!』という印象を強くしているのかもしれないですね」と小駒さん。
ちょうど筆者が、シャッターが閉まっている店舗として、はじめに紹介した場所だ。
閉店した「白馬堂」と、その横の店舗は「おかしの街こじま」
在りし日の白馬堂。掘り出し物がたくさんあった
閉店したこの2店舗の場所には、新しい店舗の出店が決まっているそう。弘明寺商店街では、閉店したお店があっても、すぐに違うお店の出店が決まるという。
実際に最近新しく商店街に仲間入りした、若い家族が経営する焼肉屋さんやラーメン屋さんもあるそう。
「今は商店街がチェンジする時、過渡期なんですよ」と長谷川さんは話す。
そして、キニナル投稿にあるような再開発の予定はないとのこと。横浜市から何か打診があるというようなことはないそうだ。
「再開発!? ないない!」
これからも魅力的な商店街づくりをしていきたい、という長谷川さん。「閉店するお店もあるが、新しく入るお店もある。これからは、八百屋さんもあればお肉屋さんや魚屋さんもある、というような何でもそろう商店街になれるといいな、と考えています」と話してくれた。
取材を終えて
弘明寺商店街は、老舗があり新しい店舗があり、そしてアーケードがあり、とても買い物しやすい商店街だと感じた。「お店で話をするのを楽しみにしているという固定客が多い」というのも頷ける。
取材へ行って歩いているだけで、あれも、これも、と買いたくなってしまった。老舗が閉店してしまったのは残念だが、新しいお店も楽しみだ。元気な商店街の近くに住んでいるひとがうらやましい! と感じた取材であった。
―終わり―
取材協力
弘明寺商店街
ホームページ/http://www.gumyouji-shoutengai.com/
Facebook/https://www.facebook.com/gumyouji.shoutengai
brainbusterさん
2019年09月18日 13時25分
ECの影響から大型ショッピングモールの退潮が言われている今、ぐるっと回ってまた商店街(路面店)が復活しそうな予感がする。懐かしさと新しさが混在する商店街は予定調和のモールより楽しさがある。お店も商品以外の魅力(値段が交渉できるとか、キッザニアのように子供に体験を提供するとか・・)を工夫してはどうか?
bubukaさん
2016年10月28日 15時00分
商店街とか酒屋の角打ちとか素晴らしいものを更生に残したいけど難しい時代だよね。昔を知っていると最近はみんな同じつくりのショッピングモールばかりでつまらないんだよね。
輝唯[Key]さん
2016年07月17日 02時02分
白馬堂って、デッドストックみたいな80年代のグッズとかあったんで90年代後半によく入手しました。なくなる前に行きたかったなぁ。万引き防止のためかずっとついて来られてすっげえ見られるけど(笑)