とんかつ界に革命を起こす? 横浜の老舗のとんかつ店「美とんさくらい」に突撃!
ココがキニナル!
上大岡駅地下にある「美とん」というとんかつ屋がとてもおいしいです!このお店は他にもいくつかの店舗があるようで、東京にも同じような名前のお店があるとか。一体どう言うお店なのか調査を!(jogmanさん)
はまれぽ調査結果!
横浜市内に3店舗にある「美とんさくらい」は創業45年以上の老舗とんかつやつ屋さん。「美とん」を名乗るほかの店舗は無関係
ライター:万田 ケサトシ
開発に15年。きっかけはあのミュージシャンだった
自作の機器を見せてくれた
―揚げずに焼くとんかつってどうやってできたんですか?
「これはちょっとやそっとじゃできないよ。ここにたどり着くまでかなり研究して試行錯誤を繰り返したからね。今から15年前かな。ギタリストの寺内タケシさんが井土ヶ谷の店によく来てくれてたんだけど急に来なくなっちゃって。後で聞いたら医者から油物を止められたって。俺、寺内さんがこなくなって寂しくてさ。そこでなるべく油を少なくして身体に優しいとんかつを作ろうと思ったんだよ」
厨房に案内してもらった
―「揚げずに焼く」という発想がスゴイですよね。なかなか思い浮かばないです。
「とんかつのルーツを調べたりしたなぁ。結果的に石釜焼きにたどり着いたんだけどね。実は自分自身も大腸がんをわずらって余命1週間と宣告されて・・・。緊急手術でなんとか助かったんだけど、2年後に肝臓に転移してるのが見つかっちゃてね」
「そこから抗がん剤治療で300日の入院生活。病院食で揚げ物はたった1回だけ。でもとんかつを食べたいんだよ。栄養士さんから『病院でも食べられるとんかつを作ってください』って言われて、もっと健康なものを開発しなくちゃって改めて思ったんだ。おかげさまで今は元気そのもの。300日の入院生活の中で『感謝の気持ち』というのがとても強くなったんだ」
堀内さんが開発した石釜
―これがとんかつを焼く石釜ですね。
「そう。これは3代目になるね。時間と温度をきっちり計算して空中加熱方式で焼くんだよ。この方法だと肉が浮いているので360度均等に熱が回るんだ。もちろん焼く前に仕込みがあってパン粉は専用に開発したものだし、肉は一度ローストして余計な脂を落とす。パン粉を付ける“バッター液”もエノキの旨味を抽出した自家製。一つひとつにこだわらないと、モノってのはダメなんだよ」
―どれくらいヘルシーになるんですか?
「通常、揚げると衣が肉の重さに対して20%くらいの油を吸っちゃうんだ。健康とんかつはそれが一切無いから単純に肉とパン粉のカロリーのみ。とんかつが大好きだけど、カロリーや油分を気にして控えてる人にはぜひ食べてもらいたいね」
空中加熱方式の機器
写真左は「揚げ用パン粉」で右が「焼き用パン粉」
一旦ローストしたお肉(そのままでもかなり旨そう・・・)
「バッター液」はエノキを抽出することで旨味成分が13倍に!
次は関東で「元祖」のメニューをいただきます
堀内さんも一緒にまかないタイム
「美とんさくらい」には「健康とんかつ」だけではなく、通常の揚げるとんかつもある。万田が「ゆずマップ」の調査をしたときにいただいた「揚げてから石釜で焼いて油を落とす釜焼きとんかつ」を合わせると計3パターンがある。
ファミリーやグループで訪れても、がっつり派、ヘルシー派それぞれのコンディションに合わせてとんかつを選ぶことができるわけだ。
ロース味噌カツ定食(1070円)
本日の4品目は創業当時から根強い人気が続くロース味噌カツ。
東名高速道路が完成したころ、堀内さんが名古屋へとんかつを食べに出かけた時に出会った「味噌カツ」。コレはいける! と帰りの車中でレシピを考えて、メニューに追加したら大ヒット!
当時は味噌カツを扱っている店が市内になかったそうだ。関東の赤みそと白みそブレンドしたコクのある甘めの味噌だれがクセになること間違い無し!
ごはんと味噌汁はおかわり自由。キャベツも!
お米は「はえぬき」、みそ汁のみそはマルコメにオーダーした、できたての一杯。
キャベツはオゾン水で洗っているため、みずみずしさが保たれ新鮮シャキシャキ。お客さんのためにと原価が上がっても、おかわりサービスは創業当時からずっと続いている。
カツにはご飯だな〜
未発売メニューもいただきます
しろ美とん
こちらはかつてメニューにあったが現在はお休み中のしろ美とん。衣の中身は厚切りのハム。これがかなり旨い。
ハムやソーセージの世界コンテストで数々の賞を受賞している同店だからこそお墨付きの味わい。復活を願うばかりである。
健康チキンカツ
気がつけば6品目。ご用意いただいたのは前出の健康とんかつ定食のチキンバージョン。鶏ムネ肉を使っているのでもしかしたらパサつき感があるのかなと思っていたが驚くほど柔らかく、隠し味が仕込まれているようでそのままでも旨かった。
現在最終調整中でデビューの日は近そうだ。
とんかつ以外もこだわりがたっぷり
さらにアイスコーヒーが絶品! コーヒー豆を石釜で焙煎して石臼で挽いている。とてもまろやかでとんかつを食べた後にピッタリだ。
食後の余韻をゆっくりと・・・
最後は堀内さんの粋な計らいで赤ワインをいただいた。
「自分はお酒を呑まないから、ワインを出すタイミングが遅くなっちゃってゴメンね」と最後の最後まで取材陣を手厚くもてなしてくれた堀内さんだった。
取材を終えて
「あと20年は現役でがんばる」と宣言していた堀内さん。もちろん後進への指導も抜かりがない。
堀内さんの技を引き継いでいる坂本店長(29歳)
生死の境を乗り越えさまざまな経験から「感謝の気持ち」を1番大切にして、店舗運営以外にも地域貢献活動や若手ミュージシャンの応援、訪れるゆずファンのもてなしも行っている。
会長職に就いても決しておごること無く、現在でも84歳になる親方に味を確認してもらい、時にパートさんに怒られながら、日々とんかつのことを考えている。
15年の歳月をかけて完成した揚げ油0.000000000%の健康とんかつはまさに「とんかつ界の革命」ではないだろうか。
堀内さんにとってこの仕事が本当に天職なのだろうと思った。
喝っっっ!!!
―終わり―
とんかつ 美とんさくらい 岡村店
住所/横浜市磯子区岡村2-11-4
電話/045-753-9090
定休日/年末年始のみ
営業時間/ランチ11時~15時
ディナー17時~22時(L・O 21時30分)
HP/http://www.biton-sakurai.com/okamura.html
ホトリコさん
2015年12月14日 12時36分
井土ヶ谷店は揚げないトンカツが美味しくて…エピソードは特に考えずに、良いジャン美味しいんだからと…
ゲンさん
2015年12月12日 15時23分
すぽ〜ん(((o(*゚▽゚*)o)))
バーニングハンマーさん
2015年12月12日 04時52分
揚げ物を食べたいけど油物が……な中高年(ボクもその1人)にとってはなんともありがたい話。かつて上大岡店には足繁く通った時期があったので(ある元ボクシング世界チャンピオンが腕をふるってた頃…)、また食べに行きたいです。モツ炒め定食や牛スジ煮込みも気になりますね♪ ところで万田さんすっかり変装(?)をやめて素で出てますね…(笑)