シラスだけじゃない! マニアックな江の島のご当地グルメを食べ歩き調査!
ココがキニナル!
江の島は1月から3月までシラスが禁漁中で、今行っても静岡産だったりご当地グルメがない印象です。江の島にも何かゆかりのあるご当地グルメがあったら教えてください。(ゴリライモさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
江の島には大正時代に誕生した「江の島丼」をはじめ、創業100年以上の老舗の味を楽しめるグルメが勢ぞろいしている。
ライター:山崎 島
たくさんの人でにぎわう江の島へ
「富士見亭」でしみじみ良い時間を過ごし、次に向かったのはこれまた老舗のお店。
「中村屋」
威厳のある立派なお店構え
並んでいるのは「女夫(めおと)饅頭」や
江の島名物「海苔羊羹」など
の、海苔羊羹!! わー! これって海鮮甘味? ていうのかしら。どんなものなんだろう!!
お話を伺ったのは社長の中村さんと
現在お店を切り盛りされている中村さんご夫婦
お名前からも分かる通り、同店は中村一族が経営されている。社長さんと4代目は叔父さんと甥っ子さんの関係。
同店の歴史や海苔羊羹について、皆さんからとてもにぎやかにお話をお伺いできた。
ちょこっと休める居心地の良い休憩所がある
ではさっそくお店の歴史について。中村屋が江の島にお店を構えたのは1902(明治35)年。
「昔は島内にある岩屋の弁天様への信仰が厚く、多くの方が訪れました。私たちの先祖は近くの漁師町で駄菓子屋を営んでおり、当主が島の崖に付着している海苔を見て、これを島に来る人たちへのお土産にすることはできないかと、日持ちのする羊羹に海苔を混ぜ込んだ海苔羊羹を考案しました。当初は『弁天のりやうかん』という名称で販売しておりました」
大正時代の羊羹の包装紙。左のものは近隣のお宅の屋根裏から出て来たそう
現在の海苔羊羹のパッケージ。ミニサイズもあってかわいい
「そのころの島内は水道も通っていなければ道も舗装されていなく、獣が出るほどの立地でした。そのため、商人(あきんど)の仲介で東京のお菓子屋で海苔の入った羊羹を製造してもらい、島内の店舗で切り分け、販売しておりました」
今でこそいい運動になる道だけど、昔は大変だったろうな・・・
「それからしばらくして、島の石清水を用いて自分たちで羊羹を作るようになりました。そのころには海苔羊羹は大変人気で、東京と島の工場で作るだけでは間に合わないほどでした。1922(大正11)年にこちらの建物ができ、今でも変わらず裏で商品を製造し、店頭で販売しています」と、すっごいお話をお聞かせいただいた。
休憩処に飾ってある、昭和時代の工場内の写真。今でも同じ建物や機械を使っている
創業114年の老舗の味は、お土産にはもちろん休憩所で奥様が点ててくださるお抹茶と一緒にいただくことができる。
海苔羊羹・練り羊羹・抹茶セット(500円)
滑らかー!! 触りたーい!!
海苔の羊羹て、ポテチにチョコかけたり柿の種にチョコかけたりするのの先駆けなんじゃないだろうか。
果たして
ほのかな甘みの羊羹に、香ばしい海苔の風味が香る。なるほど、こういう風に海苔と羊羹がひとつになるのか。「海苔と羊羹」ではなく、しっかり羊羹として完成されている。抹茶とも相性が良く、とても美味しくいただきました。
「50年ほど前までは島の岩場にびっしりと海苔が生えていて、当時海苔を管理していた漁師さんが『磯の口』(禁漁の解禁日)を出すと、島中の人たちが一家総出で海苔を取るほどでした。しかし少しずつ海の環境が変わり、今は別のところで獲れた海苔をブレンドして使っています」と社長さん。
島内で海苔が取れなくなったが、114年の味を受け継いでいる「中村屋」。海苔羊羹だけでなく、練り羊羹も美味でしたし、女夫饅頭もしっとり美味しかったし、今回はいただかなかったが「くりいむとうふ」なるものもあって、キニナります。
中村さん、ありがとうございました。
後半も元気よく行く!
中村屋のすぐそばの「遊覧亭」でも面白いメニューを発見した
ふむー
ぬ?
「ざる磯めん」とな。一見茶そばにも見えなくはないが、上にはふぁさっとした海藻も乗ってるし、これは!!
お邪魔します!!
良い眺め!!
お話を伺ったのは2代目の渡邊さん
同店の創業は1912(大正元)年。今年で104年目となる、やはり老舗の定食屋さん。
「店名は、この店の景色を見ているとまるで遊覧船に乗っているような感覚になる、ということで“遊覧亭”と初代が付けました。この島には○○亭ってついている名前が多いですね」と渡辺さん。渡邊さんは元々会社勤めをされていたが、ご両親が引退するということで脱サラしお店を継がれたそう。
「私が継ぐ前は麺類がラーメンとざるそばぐらいしかなかったので、少しずつ増やしました」とのこと。
では早速キニナル「ざる磯めん(700円)」をいただきましょう。
ぐりん
どっさり岩海苔が贅沢な一品
こちらはおよそ10年前に渡邊さんが考えたメニュー。
「もっと磯っぽい麺を作れないかといろいろ探したところ、伊豆の下田にわかめを練り込んだ麺を見つけました。見た目もきれいだし、わかめを練り込んだ麺なんて面白いと思い取り入れました。当時は日本そばにわかめを練り込んだものでしたが、日持ちがせず、製造元が改良を重ねて、今では小麦粉を原料にしたラーメンに近いつるつるした食感の麺になりました」とのこと。
前面に磯っぽさを押し出した「ざる磯めん」お味はというと
モチモチでつるつるで食べやすい。お蕎麦の香りがちょっと・・・という方も、もりもりいけるんじゃないだろうか。麺は「ほのかなわかめ」、というか磯の風味がして、香ばしい岩海苔とダブルの磯っぽさ。冷やし中華にしてもおいしそう!
「夏にはレタスとゴマダレを使った、サラダ磯めんを作ろうと思っています。ただいま改良中」とかで、今後が楽しみです。
もちろん、定番のメニューもあります
「2月からは、博多産の明太子ととろろを混ぜて、釜揚げシラスの上にたっぷり乗せた新メニューを出します。ピンクと白が春めいてとてもきれいな一品です」と、耳寄りなお話も教えてくださった渡辺さん。
歴史がありながら、新しいことにも挑戦している良いお店でした。どうもありがとうございました。
最後は驚きの変り種グルメ
はい、最後です! 最後にお邪魔したのは新しいお店。
江の島のうどん屋「こと屋」
写真を撮っている間に3連ちゃんでカップルが通った。ご利益ありそう!!
こちらのお店は外で焼きおにぎりとか
射的をやってたりして、若いかんじ!!
親戚の家に遊びに来たような懐かしさ漂う店内
海老と亀もいるし
社長の入木さんだし
入木さん、バイタリティー溢れる遊び心を忘れない、かっちょいい方だった。
江の島うどん「こと屋」がオープンしたのは2015(平成27)年。できて一年の若手なお店だった。
「元々湘南台で居酒屋を経営していましたが、僕はサーフィンが好きなので、いつか江の島に来たいな、と思っていました。具体的に行動し始めたのは約4年前。江の島は古いお店が多く、外から来た人間がお店をやるにはいろいろと準備が必要なのでは、と思い、まずは僕が江の島に引っ越しました。島に住んでいる友達の助けを借りながら、少しずつ『ここで店をやりたい』といろいろな人に話をして、一昨年この物件を見つけました」
この建物はなんと築100年
「元々、ここの通りにはずらっと貝細工のお店や工場が並んでいたそうです。この建物に住んでいた方も、貝細工の会社をやっている裕福な方でした。入口の亀や家具など、全て元からあったものを使っています」と入木さん。
古い物がたくさんだが、トイレなどは新しくリノベーションされている
江の島の未来を担う「こと屋」は、江の島うどんのお店ということですが、江の島うどんとは?
「日本全国にご当地うどんというものがありますが、神奈川県には有名なものがありません。江の島のご当地うどんを全国に向けてブランド化できたら、と思い江の島うどんを開発しました。麺は片瀬江ノ島の駅前にある製麺屋を営む友達と一緒に考えました。特徴としては、少し縮れたスープが絡みやすい麺です」とのこと。
なるほど、江の島の新たな名物をイチから入木さんが考案したんですね。
メニューはこちら。シラスやかき揚げ、カレーや横浜家系など・・・って
ん?
なんじゃこりゃー!! 横浜家系豚骨醤油うどん!! 山岸が俄然前のめりになります。
これは超キニナル、入木さん、家系うどんいっちょうお願いします!!
これが横浜家系豚骨醤油うどん(990円)
感動の対面をしていると、なんとなく背後がキニナル。ラーメンコンなんたらのマーなんたらさんに見られてる感じが。ま、いっか!!
具はチャーシューと海苔と卵とネギ。ホウレンソウはのってません
味はというと、うん、家系だあ。山岸いわく「とてもスタンダードなバランスのいいスープ」で、柔らかい麺が食べ応えがありました。スープは入木さんが食べ歩いた中で、もっともスタンダードな味を取り入れたのだとか。
「シラスが禁漁で仕入れられない時、もう一つの目玉商品になればと思って作りました。僕も家系ラーメンは大好きです。ハワイでは丸亀正麺の家系うどんが流行っていて、江の島には外国からのお客さんも多いですし、いろいろな方に味わってもらえるのでは」と、このメニューついてお話くださった。
新たな江の島名物なるか!!
「これからも江の島から商品を全国に発信していきたいです。今は瞬間冷凍の技術も発達していますし、どこでも生シラスうどんを食べられるような商品を開発中です」と入木さん。楽しみです!! ごちそうさまでした。
しらすだけでなかった、江の島のご当地グルメ。かなり充実していました。今回ご紹介した以外にも新たな試みや昔ながらの味があるとおもいますので、是非くまなく歩きまわってみてほしい。
取材を終えて
改めて江の島の歴史深さを感じた。古さと新しさが共存する、良い観光地だと思った。余談だが、中村屋の隣のお店にある、「ぴよぴよマン」というとてもかわいい立体の鳥の形をした饅頭がキニナっていて、何日か通ったがいつも休みでお目にかかれなかった。
こちらはぜひ後日取材したいので、見かけた方や召し上がられた方はぜひご一報ください。
―終わり―
富士見亭
住所/藤沢市江の島2丁目5−5
電話/0466-22-4334
中村屋
住所/藤沢市江の島2丁目5−25
電話/0466-22-4214
遊覧亭
住所/藤沢市江の島2丁目6−3
電話/0466-22-6806
江の島うどん こと屋
住所/藤沢市江の島2丁目6−10
電話/0466-90-4838
はまぽれさん
2016年02月17日 20時06分
江の島って実は名物料理が無いんですよね。生シラスなんて少量をつまんで食べればいい食材だし。それでもあの雰囲気はいついっても癒される。えのすぱができたときはどうなるかなーと思ったけど、すっかり島に溶け込んだ感じしますね。
のんべえさん
2016年02月11日 22時08分
岩屋までの道すがらの食堂、懐かしい~フンイキありありで大好きです。
∵さん
2016年01月23日 19時54分
ああ、今更こ○グルのトレースか…と思ったら、後半は知らないお店でした。グッジョブ。足繁く通うほどではないけど、年に数度かはなぜか訪れたくなる江の島。特にオフシーズンの今はのんびりできて、個人的にもお勧めです。(ちょっと寒いけど)