横浜公園にある謎の虫網の正体とは?
ココがキニナル!
横浜公園で謎の虫網を見つけましたが、あれってなんですか?(かなたさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
蚊を採取し、海外からの病原体の侵入に備えて検査する機械だった!
ライター:越中 矢住子
遺伝子からウイルスを判別する
ウイルス検査については、シャーレの中の蚊を長さ5センチ弱の透明なプラスチックケースに50匹ほどの単位で入れ、専用の粉砕機で木っ端微塵にする。
次に、粉砕された蚊を核酸抽出機に入れて、核酸を抽出。ここで抽出される核酸とは、遺伝情報を司るDNAとRNAのうちのRNA(リポ核酸)のこと。
取り出された核酸で直ぐに検査をしないものは、マイナス85度に設定された冷凍庫のウエストナイルウイルス専用の区画に入れられて保管されるようだ。
冷凍庫の中を開けて見せてもらったが、冷気が物凄く、一面が霜で真っ白。
冬眠どころか凍死してしまいそうな迫力だ。
核酸抽出機を使用し、蚊のRNA(リポ核酸)を抽出する
マイナス85度に設定された冷凍庫
ウエストナイルウイルスの検出はまだない
最後の検査工程になるが、この抽出したRNAをPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)装置に設置し、遺伝子を解明する。PCRの分析方法は、それぞれの遺伝子の特徴的な一部をコピーにつぐコピーで増幅させて、特定の試薬によりその遺伝子を判別するという仕組みだ。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)装置(写真協力:横浜市衛生研究所)
この検査機械は米軍で炭疽菌などの病原菌テロの時に、遺伝子情報で分別する際に使われたものと同じ機械だ。それに検査用のサンプルを設置すると、連結したパソコンに陰性か陽性かの結果が分かるシステムとのこと。
現在まで陽性の結果はないらしいので、今のところはひと安心ということだろうか。その一連の検査は毎月半年間行い、集計したものが毎年3月に横浜市感染症情報センターのホームページ内で情報公開される。
また、ウエストナイル熱の検査は、蚊だけでなくカラスでも行っているとのこと。横浜市内で発見された、死後推定24時間以内のカラスの死骸を各区から取りよせ、蚊と同様の手順で検査しているとのこと。
検査結果は、これも蚊と同様に今のところは陰性で問題は無いようだ。このようにして公園にぶら下がっていた不思議な機器は横浜市民を感染症の危機から未然に防いでいるのだ。
未知なる病原体が上陸する可能性はゼロじゃない
筆者は今年の夏、いつもにもまして蚊に刺されたのだが、その跡を見て蚊が媒介する感染症の恐ろしさをふと考えてしまった。今回のウエストナイル熱のように、世界でもまだ対応策が発見されていない感染症が、今後日本で蔓延する可能性がある。それは蚊だけでなく他にも言えることだ。
例えば、海外から輸入されているペット用の昆虫である。外来生物法の指定外であり、ワシントン条約に触れず、かつ植物防疫法で害虫指定されていない昆虫であれば、日本に輸入できる訳だ。
しかし、それが新種のウイルスを体内に潜ませていたらどうだろう。持ち込まれたウイルスはどこでどのように感染するか予測が付かず、更にそのウイルスに対しての治療法が解明されていなければ、恐怖感は増大し国民はパニックに陥るだろう。
そうならないためにも、動物検疫所や植物防疫所には感染症の被害が出ないよう、今まで以上に検査を徹底し、外来生物からの被害を食い止めて頂きたい。そして市民の方々には、外来種が日本に上陸することにより感染症のリスクが少なからずあるということを、頭の片隅に置いておくべきだろう。
―終わり―
円海山さん
2013年06月22日 16時20分
こういう機関で地道に疫病防衛の活動をやって下さっている事に感謝です。それを広報された「はまれぽ」さんもグッジョブですね^^。