道路でない通路? 戸塚駅付近の撤去されかけた地下道とは
ココがキニナル!
戸塚の桜堤防の延長というか朝日橋のたもとの地下道。今は明るいけど昔はとにかく暗くて洞窟みたいな地下道で小さい頃どきどきしながら通ったっけ。当時の写真とかあったら是非見てみたい (サンマ—メンさん)
はまれぽ調査結果!
1953年国鉄(当時)施設の一般開放に始まり市や県の協力で現在まで継続。現状の通路は1974年新設の河川管理用通路だった!
ライター:岡田 幸子
旧地下道撤去を乗り切った秘策とは!?
その後、鉄道施設のさらなる増強や柏尾川改修計画の実施に伴い、この通路は一旦撤去されることとなってしまう。
右奥が当時の通路入口。確かにこれは洞窟だ!(横浜市道路局橋梁課提供)
資料によると1968(昭和43)年12月17日、東海道本線線増工事の支障になるとのことから、国鉄は通路の撤去および埋め戻しを横浜市に要請したという。残念ながら当時の通路内の写真は残っていない。
冒険心をくすぐる入口付近(横浜市道路局橋梁課提供)
いくら線路を増設するために必要とはいえ、地元市民に便利に利用されている連絡通路を廃止することなど簡単に受け入れるわけにはいかない。約半年後の1969(昭和44)年5月10日、横浜市は国鉄に向けて当該施設の存続を申し入れた。
その後、国鉄、横浜市、神奈川県3者間の協議により、川沿いに河川管理用通路が新設されること、この通路を連絡歩道として一般にも開放する方向で進めることが決まる。
取り付け道路も未舗装のようだ(横浜市道路局橋梁課提供)
河川管理用通路が完成するまでの暫定的な仮設備設置費用の全額(631万円)と、旧通路の撤去・埋立費用の半額(289万円)、計920万円(現代換算で約3000万円)を横浜市が負担したようだ。
どきどきしちゃうかも・・・(横浜市道路局橋梁課提供)
河川管理用通路が完成したのが1974(昭和49)年。この管理用通路が、現在も一般に歩道として利用されている「第2倉田川地下歩道」なのだ。
河川管理用通路とは国土交通省令によって設けることを定められた通路で、一般的に河川堤防の上に設置されるもの。河川巡視や災害時の復旧工事などでの利用を見越したもので、基本的には一般の通行は認められていない。しかし、河川管理者の許可を受けて、一般通行が可能とされている河川管理用通路も全国に多々ある。
川沿いに設置された「柏尾川プロムナード」も河川管理用通路の活用例だ
「1979(昭和54)年横浜市は河川管理者である神奈川県にひとつの要望を出しています。新設された河川管理用通路を、一般通行可能なものとする許可を求めるものでした」と松田係長。
この要望に対して一般利用を認める回答が出されたのが翌1980(昭和55)年。「第2倉田川地下歩道」は道路交通法上の道路ではないが、晴れて一般利用が可能な通路としておおやけに認められた。
道のようで道でない道!(写真は「柏尾川プロムナード」)
つまり、「道」ではないけど「道」のように使ってOKとされ、実際に使われているのがこの「第2倉田川地下歩道」なのだ。
「第2倉田川地下歩道」の車止めはなぜこんな配置?
「戸塚土木事務所では該当施設の表面管理、つまり照明や壁のタイル、車止めの設置などは土木事務所で担当しています。その関係で、今回は歩道の歴史など調べたうえでお話させていただきました」と松田係長。
戸塚土木事務所の担当は「第2倉田川地下歩道」の表面管理なんですね!
というわけで、ここからは土木事務所の本領である「第2倉田川地下歩道」の管理状況について少しご紹介しよう。
先にも紹介したこの車止め
変わった配置が目をひくが、いったいどのような経緯でこうなったのだろう?
「“第2倉田川地下歩道”では車止めを設置してバイクの通行を禁止していますが、自転車は通行可能です。しかし、近年自転車の形状は多様化していて、車止めの形状や設置位置によっては自転車が通れないということも。特に“車高の低い子ども乗せ自転車で通りづらい”というお声を育児中のママさんからいただき、試行錯誤の末にこのような配置になりました」
バイクは進入禁止だけど自転車はどうぞ
なんと、要望を出した本人を現地に呼んで検証。ああでもないこうでもないと微調整を繰り返しながら、ラバーポールを追加設置したのだという。車椅子の通行も視野にいれて、「バイクは通れないけれど自転車が通れる」という・・・
オンリーワンの車止めとなった
通路を快適に利用してもらうための工夫はほかにもある。
通路の壁をカラフルに彩る壁画だが
これらには何か目的が?
「美観とらくがき対策ですね。心無いらくがきにより市民の皆さんの快適な通行が妨げられないよう、近隣小学校などにお声をかけて制作をお願いしたものです」
戸塚小学校、東戸塚小学校、明治学院大学白美会さんらによるものだとか
取材を終えて
「思いやり」と「マナー」。
歩行者と自転車が錯綜する通路では、安全対策も課題であるという松田係長の話のなかで頻出したキーワードだ。
何気なく通っている通路だが、調べるとその陰に官民さまざまな人や組織の尽力があることが分かる。「みんなで使う」「みんなのための」通路だからこそ、「みんなが快適に利用できるよう」、「思いやり」と「マナー」を持って利用したいものだ。
―終わり―
<取材協力>
戸塚区 戸塚土木事務所
横浜市 道路局 橋梁課
mina20さん
2016年11月27日 02時58分
とても懐かしいです。20年ほど前小学生のころには金井の跨線橋から柏尾川沿いを通ってこの地下道から戸塚駅へ行ってました。周辺の道路幅がどこも狭く交通量も多いので安全な道を探すとここになるのですが、子供ながらに通りづらくて自転車を持ち上げて乗り越えていた覚えがあります。
サンマーメンさん
2016年11月06日 00時35分
そういえば当時大船方面からこの通路に入ったとき、通路が真っ直ぐ伸びてるのに塞がれてた。その手前でくねくね曲がって進んだ覚えがあるなぁ。途中からすごく狭くなったり階段上がったり、最後は通路を跨ぐような橋みたいになってたような。当時の通路内の写真が無くて残念でしたが、跨ぐような橋は記事内の写真の取り付け道路のような気もするな。取材、ありがとうございました。投稿者 サンマーメン
ホトリコさん
2016年09月27日 19時49分
難しい法律等はよくわからないのですが、記事の中での「消失」は「焼失」だと記憶していました。