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出田町ふ頭、住所は「いずた」なのに、なぜ「でたまちふとう」?

ココがキニナル!

出田町ふ頭なんですが、住所は「いずた」と読むのですが、埠頭は「でたまちふとう」と読むようです。なぜ「いずたちょうふとう」じゃないのか不思議です。(kenkenさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

町名の「いずた」は昭和初期に人名から付けられ、ふ頭ができたのは戦後。ふ頭の名前を告示するときに“よみがな”を付けず「でたまち」となった!

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ライター:吉岡 まちこ

デタマチふ頭になったのは、漢字で書類を出したから?

出田さんが造ったその埋立地を、横浜市港湾局がさらに拡げてふ頭にしたのは、それから25年もあと。
石炭輸送のために1952年(昭和27年)に着工され、少しずつ拡大していった。

新しくふ頭が完成したとき「港湾施設使用条例」というものに基づき、市議会を通じで横浜市に告示することになっている。
町名が“よみがな”も含めて告示されるのに対して、ふ頭の場合、書類は漢字のみで記され“よみがな”はないのが慣例らしい。
なので、出田町ふ頭ができた時に、これは「いずたちょうふとう」にしよう、とは誰も明言してないのだ。
 


これが出田町ふ頭。港部分の撮影は禁止なので上空写真のみ。(横浜市港湾局提供)


文献は残っておらず、デタマチになったいきさつは闇の中。
当時あった会社に聞こうにも、このふ頭を管理している港湾局の横浜港管理センター北部管理課でさえ、どんな会社があったかは余程資料をひっくり返さない限りわからないという。

もしゲートボールのお年寄りのかたの話が本当なら、進駐軍は出田さんの埋立地を使っていたはずだ。
いくつもの戦争を経て、出田さんの名前も忘れ去られてしまったのだろうか。戦後、ふ頭ができるより前にすでに、進駐軍が町名の漢字をデタマチと読んでいたのかもしれない。港湾局の正式な見解ではなく、あくまでも筆者の想像だ。



ふ頭で働いていている人は、どう使い分けている?

出田町ふ頭は、港湾局のキッズページにもあるように、バナナやパイナップルを専門に扱うふ頭だ。
愛称は「バナナふ頭」。一周するのに車なら何分もかからないような、倉庫っぽい建物が並ぶ所だ。
 


バナナふ頭に、バナナ駐車場


出田町ふ頭で一番古くからある会社を訪ねてみた。
ここに事務所ができたのは昭和40年代に入ってからで、もうデタマチだったらしい。

社名は伏せてほしいとのことだったが、船で運ばれたバナナやパイン、グレープフルーツ等々を通関させ、日本からは主にリンゴを出荷させる事業だ。
日本に入って来るバナナの5~6割は、全国にあるこの会社が仕分けしているそうだ。
この会社だけでも、出田町ふ頭でバナナ約8房入りの箱を年間100万箱以上荷降ろししている。
 


取材に応じてくださった松場さん(左)と、安岡副部長


松場さんいわく、「イズタチョウと口にするのは、正式な住所を伝える時ぐらいですかね。“出るに田んぼ、デタマチ”と書いてイズタチョウと読みます、とか」って結局デタマチって言ってるじゃん、という世界。
横浜にある総務部でも「イズタチョウが正式な住所だと、何年か前に知った」という人がいるくらいだ。

でも「住所はイズタでも、“DETAMACHI青果センター”と書かないと税関は通らないです」。
この安岡さんの言葉からも、デタマチが公認のふ頭名だとわかる。

「現場の作業の人にも、読みやすいほうがいいからじゃないですかねー」と言うので、トラックのドライバーに聞いてみた。
 


札幌からのトラック。「イズタチョウとは言わねぇな」


でもドライバーはみな、イズタチョウと読むのは知っている。
というのは、カーナビをセットする際に「イズタチョウ」という住所を入力するからだそうだ。

ちょっと面白いブログも検索で引っかかった。コンテナトレーラーのドライバーの日記にあった一文。
「――次は、ホントだと“いずたちょう”。業界用語(爆)だと“でたまち”と呼ばれる、出田町ふ頭内へバン詰です」。
大丈夫、業界用語じゃなく港湾局も税関そう言っているから。
でも、ひょっとしてあの国道の案内標識で混乱しているのでは?
 


国道15号線に掛けられた標識




町名と施設名は、一致しなくても無問題!

実は道路標識に戸惑ったと話してくださったのは、先のバナナ荷役の会社の方々だ。
標識を取り付けた国土交通省・横浜国道事務所に、なぜこうなったの?と電話で聞いてみた。

「基本的に住所を調べて表示を決めるので、この先にイズタチョウがあることから、イズタチョウふ頭としていました。まぎらわしいのですが、ふ頭と町と両方がこの先にありますということを示しています」
……う~ん、ちょっと苦しいような。設置されてからもうすぐ18年たつが、これまで指摘はなかったそうだ。

港湾局に伝えたところ「初めて来る人も混乱するので、できれば変えていただきたいが、相談があったわけではないので強くは言えないです」とのことだった。
が、横浜国道事務所は「今後、順次付け替えます」という顛末になった。

そもそも、町名とそこにある施設やモノは、必ずしも一致してなくてもいいのだ、と横浜市の市民局総務部住居表示課のかたは言う。
「駅や、交差点、小学校など町名と漢字やよみがなが違うことは結構ありますよ。駅名は鉄道会社が決めますし、小学校は教育委員会が管轄ですし」。
たとえば、横浜市都筑区池辺町は「いこのべ町」だが、郵便局は「横浜池辺(いけべ)局」というそうだ。

そう思うと、町名とふ頭名が違うことなどは、まったく問題はないということになる。



取材を終えて

イズタ町の起こりはわかったけれど、誰が最初にデタマチと呼んだかは、明確にはわからなかった。

「イズタチョウのことで」と電話で聞くと、横浜市のあちこちの会社や個人のかたが、一応にみなさんが「へ?」と反応されるのが、すごく面白かった。浸透率は限りなく0%に近い感じだった。
でも、埋立てをした出田さんがその地で活躍していたら、話も違っていたのではないかと、ふと感じた。


― 終わり ―
 

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  • 案内標識にはローマ字表記にシールが貼られて「Detamachi」になってますが、埠頭に入る交差点(信号機)のローマ字表記は「Izutacho」ですね。ますます混乱しそうですが、どっちでもいいのかなと思います。

  • 港湾局にいたことがあり、普通は職員は「でたまちふ頭」と呼んでいましたが、中には「いずたちょうふ頭」と言う人もいました。まあどちらでも良いと思いますが。

  • 標識が Detamachi Futo に変わったみたいですね。

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