大黒ふ頭、謎のバス停「バース」。停留所で降りると何がある?
ココがキニナル!
横浜市営バスの路線図を見ると、大黒ふ頭に「C3バース」「T6バース」のような謎のバス停がたくさんあります。バースって何ですか。これらの停留所で降りると何があるのでしょうか。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
バースとは船が荷物の積み下ろしを行ったり停泊したりする場所です。そこには海と陸の輸送の接点があり、東日本の物流を支えています。
ライター:ほしば あずみ
物流の要コンテナターミナル
コンテナヤードが一望できる広い部屋で、ガイドによる横浜港やコンテナターミナルについての解説ののち、映像資料の視聴、屋外や窓越しから実際にコンテナターミナルの様子を見学し、残り時間で質疑応答、およそ60分の見学となる。
配布された資料 子どもの社会科見学でも使える平易な内容
C4バースは、コンテナを積むコンテナ船用のコンテナバースである。揚げ降ろしされるコンテナを置くコンテナヤードやコンテナの修理をするメンテナンスショップ、荷物のチェックを行うゲートハウス、見学施設のあるターミナルビルなど複合的な設備をあわせてコンテナターミナルという。
大黒ふ頭にはコンテナバースの他にもコンテナ以外の自動車輸送船、在来船バースなど合わせて25のバースがある。
バスの車窓から見たコンテナターミナル
ふ頭といえば、巨大な動物のような独特の形をしたガントリークレーンが並び、無数のコンテナが吊り上げられ、船やトレーラーに揚げ降ろしされるコンテナバースのイメージが強い。
だが、大黒ふ頭はコンテナのみならず乗用車やトラック等の自動車、また大型建設用機械などを多く扱っているのが特徴なのだという。
大黒大橋から見えた自動車の一群がまさにその光景だった。
コンテナヤードに積まれたコンテナ(提供:財団法人横浜埠頭公社)
このようなコンテナを取り扱うコンテナふ頭は横浜港では大黒ふ頭の他は本牧ふ頭と南本牧ふ頭の3つで、中でもコンテナバースを15バース備えている本牧ふ頭がコンテナ輸送全体の60%を占め、南本牧が25%、大黒ふ頭15%程度を担っているという。
横浜港にはコンテナを扱うふ頭以外にもあわせて10のふ頭があり、東日本の物流と我々の生活を支えているのだ。
たとえば、住所は「いずた」なのに「でたまち」の出田町ふ頭は、別名「バナナふ頭」と呼ばれ、バナナ専用船で輸入されたバナナの専用倉庫などがあるのは以前はまれぽでも紹介したとおり。
コンテナにもさまざまな種類がある。配布資料より
食品を衛生的かつ安全に運ぶのに欠かせない冷凍、冷蔵コンテナは、コンテナの置き場所であるコンテナヤードに電源のついた棚がありそれぞれ適切な温度を保つことができるようになっている。
また大量のコンテナを効率よく運ぶためにヤードのどこへ置けば良いのか(ヤードプラン)、安全で迅速にとりだすためにどの順に積むべきか(ストレージプラン)といった、まるでパズルを組み立てるような管理も行われている。
見学当日ヤードに積み上げられていたコンテナの多くは、一般的なドライコンテナと冷凍、冷蔵コンテナだったが、小さな船を積んだ屋根のないフラットコンテナも目にする事ができた。
見学室からはベイブリッジやつばさ橋を背景にしたターミナルが一望できる
(提供:財団法人横浜埠頭公社)
コンテナターミナル内の作業をベランダから間近に見学した後は質疑応答の時間がとられる。
団体で来ていた見学の人たちは企業の研修らしく、質問も具体的な物流を想定したものが目立った。
港湾作業の内容よりはむしろ、コンテナの耐用年数や、コンテナの洗浄方法、輸送中のドライコンテナ内の温度や湿度など、実際の事業に直接関わる事項が多かった。
ちなみに回答はそれぞれ、耐用年数は10~15年程度だがメンテナンス次第で半永久ともいわれる、洗浄は高圧洗浄で水洗いをする、輸送中のコンテナは場合によっては40~50℃になるとのことだった。
まとめ
ガイドの方に話を伺うと、見学者は小中学生の社会科見学もあるし、今日のように企業の研修や視察も多く、あとは港湾関係者、なかにはコンテナターミナルファンもいるという。
コンテナがトレーラーで運ばれたりクレーンで吊り上げられたりしていくさまを見るのは確かに楽しい。
心臓から送り出された血液が体のすみずみに行き渡っていくような躍動すら感じる。目の前で次々運ばれていくコンテナを見ていると、なるほど物流とは物の流れだと納得できる。
港湾という環境上、関係者以外立ち入り禁止の場所は多いが、一般の人も利用できる施設もあるので、貿易を身近に感じる事ができる見学施設や海づり公園などに足を運んで、ぜひ親しんでもらいたい。
―終わり―