パイプ?橋?鶴ヶ峰にかかる建造物の正体は!?
ココがキニナル!
旭区の鶴ヶ峯中学校のすぐ上を通っている。太いパイプが在ります。私が思うには多分、水道水が中を通っていると思いますが、何処から何処までなのか、より詳しく知りたいです。(カズリンさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
西谷浄水場が管理する“第3鋼路橋”と呼ばれる設備です。中を通っているのは、水道水の元になる原水です
ライター:田中 大輔
なぜ地下に埋めなかったのか
第3鋼路橋は、昭和27(1952)年9月に完成したもので、以来60年近く使われている。
では、なぜ地下埋設ではなく、高架状に作ったのだろうか。
ポイントになったのは地形。谷になっている部分では、直線的に水路を引けないので「建設当時、地下を通すか水路橋にするかで議論された」んだとか。
その上で、「工事費用はどちらも大差なかったんですが、自然流下ができてエネルギー効率の良い水路橋を選んだ」というのが理由のなんだそうだ。
ちなみに、地下を通るパターンを選ぶと、下の図のオレンジ部分のようになる。
もうひとつの候補だったサイホン式(オレンジ)
ところで、第3とつくからには、同じような建造物があと2つあることになる。
そのひとつが大貫谷戸水路橋で、もうひとつは梅田谷戸水路橋。
いずれも旭区にあり、川井浄水場の施設になっている。
こういった地形では、地下を通すか橋にするかという議論は付き物だが、勾配による自然流下を活用できる水路橋が選ばれるケースが多いそうだ。
いざ、空中散歩! 鋼路橋に上がらせてもらった!
さて、ここまででアレがなにで、なぜ橋状になっていたのかが分かった。
鋼鉄が組み合わさった無骨で頑丈な男の子にはたまらないデザインになっている鋼路橋。
下から見上げていると、ぜひここに登ってみたい衝動にかられる。
今回は特別に許可をもらって、第3鋼路橋の上を歩かせてもらえることになった。
橋の上に出るまでにカギのついた扉が3か所。厳重に守られている
全長72メートルの橋部分は、安全管理のため鉄板で覆われている
この鉄板の下を水が流れているわけだが、この中にパイプが入っているのではなく、この橋そのものがパイプになっているんだそうだ。
市内で1日に給水される約120万トンの水のうち、約24万トンの原水がこの中を通って西谷浄水場まで運ばれている。
高い位置にあるので、見晴らしは最高だ
鉄板、柵、ナットなどすべてが緑色に塗られている
緑色の塗装は伊達ではなく、鋼製水路橋の大敵である錆を防止するのに一役買っている。
10年に一度を目安に、塗り直されているそうで、最近は平成19(2007)年に再塗装されたそうだ。
そのほか、月に1度、職員がパトロール点検して、異常がないか調べている。
60歳近い施設だが、これまでに大きな故障などはなかったというから、いかに頑丈か分かる。
橋のすぐ横には民家。どれも橋ができた後に建てられたんだそうだ
これだけ大きい建造物で、かつ民家や学校も近いとなると、耐震性も気になるところ。
去年3月の地震のときには、その日のうちに点検が行われたが、幸いビクともしていなかったそうだ。
とは言え、建設当時の耐震基準で作られた施設なので、今後は新基準に照らし合わせた耐震診断を予定している。
鋼路橋から乗り出して撮影。結構な高さ
取材を終えて
100年200年の長いスパンで考えると、「将来のことも考えていかないといけない」ということだが、現時点ではこの鋼路橋をどうこうするという具体的な話は出ていないらしい。
いつか鋼路橋が別の方式に取って代わられるにしても、「このラインは横浜市の水道の大動脈で最重要」とのことで、ここが止まると西谷浄水場の管轄区域では水道も止まってしまう。
緑色のドデカイ橋は、横浜市民の生活を支える大役を担った橋だったのだ。
―終わり―