宙づりで3回転? 川崎の「スタントマン養成所」で体験レポート!
ココがキニナル!
生田駅近く「スタントマン養成所」の看板を掲げたHERO ACTION CLUBなる秘密結社のような組織が存在。日頃どのような訓練をしてる?われわれの知らない所で地球の平和を守ってるの?(ほっけさん)
はまれぽ調査結果!
カースタント、爆発、火だるま、ダイビング、ワイヤーアクションなど、スタントを企画から行なうスタントマン事務所。養成所ではその訓練を行なう
ライター:紀あさ
WILD STUNTSの練習メニュー
ここでいざ、事務所の隣の練習室へ。
窓際には跳び箱や
剣、銃が並んでいる
「これから準備体操を始めます」の発声に「よろしくお願いします」と皆が返して練習スタート。
まずは柔軟運動
屈伸、肩入れ、前後屈、手首足首などをおこなう
それが終わるとマットを使った練習。
飛んでる!
そして前転していた、かと思えば
浮いてる!
浮いてる!!
全員が自力で出来る技ばかりではなく、できないものにも挑戦する。その時は「補助お願いします」と宣言し・・・
先輩が補助して助けてくれる
「腰をもっと伸ばしましょう」など見ている人からのアドバイスも飛び交う。
次に、アクションの基本練習
それから、立ち回り
立ち回りは「殴ったら敵が来るじゃないですか。そうしたら・・・」など段取りを打ち合わせてから、手合せ、テスト、本番に近いテストを経て、「本番!」と声がかかる。すると・・・
その後、天井からロープが下りてきて
吊りの練習
練習中なので安全用装備が見えているが、本番ではその上からもう1枚服を着て隠して、アクションシーンの途中で殴られたら吊りあがりくるくる回転して「やられたぁ」などとなるらしい。
ここで「吊られてみますか?」と尋ねられ、筆者も挑戦!
自力では回れなかった筆者も弾みがつけば楽に回るように出来ている装置だと、実践してみてよく分かった。
続いて編集部・松山が挑戦、会社務めのスーツ姿に装着。
養成所に通う人たち
この日の練習には全部で10人参加していたが、一番の新人さんと一番ベテランさんに話を聞いてみた。
かわいい新人を見守る先輩たち
前列左は最も新人、小室麻衣(こむろ・まい)さん(20歳)。小室さんは地元在住。テレビ番組を見てスタント養成所を知った。入所半年。元々体は柔らかかったが運動をしたことがないまま入ったので、苦労はいろいろあるそう。
入所後、スタントには登場人物となる役者さんの吹き替えだけでなく、女性のアクションシーンの補助でハーネスを付けたりするのも女性スタントならではの仕事と知った。どうしたら危なくないかを伝えられるようになりたいとのこと。
そして、派手なアクションシーンではなく、階段から転げ落ちるような日常的なシーンから、少しずつ現場に出るのが夢。
先ほどの筆者のハーネスは小室さんが装填してくれた
右の松村梨沙子(まつむら・りさこ)さん(21歳)は入所8ヶ月で、熊本出身の大学生。元々スポーツマンで、大学ではボクシングもしている。好きな映画は『007』。
すでに交通安全の仕事などに出演しており、アクションで呼吸が合ったときが気持ちいいという。将来の夢は、「アクション映画と関わりたい。日本映画は女性スタントがまだまだ少ないので、業界の底上げを考えて、レベルの高いアクションをしたい」とのこと。
続いて、本日の練習のリーダーにインタビュー。
近藤知行(こんどう・ともゆき)さん(27歳)
名古屋出身、20歳からここに通う。小さいころからいつかはスタントマンになりたいと思っていた。ジャッキー・チェンに憧れ、共演したいと夢見た小学生時代。
「ジャッキーにやられる人たちになれたらいいなって」
スタントをやってやりがいを感じる時は、役者の代わりの吹き替えで、自分は大したことをしていないつもりでも、スタッフの人たちから拍手が貰えるときだという。
過去に危険を感じた時は、と尋ねると、「基本的に社長がこいつならできる、という仕事を割り振るため、特にない」との回答。
アクション中の近藤さん(同社提供)
しかしバラエティー番組などの現場では、スタントなら何でもできるのかと思われてしまい、どんな人間でも無理そうなことを現場についてから突然依頼されることもあるため、そういう時はちゃんと断るそうだ。
将来は「アクションだけでなく、コーディネーターもできるリーダー的役割になりたい」という近藤さんが「きてよかった」と話す「WILD STUNTS」。個性的なメンバーぞろいで仲もいい。
おしまいに、本日の練習に参加した10人で全員集合。リーダーは、9人同時に攻撃されても・・
ものともしない!
取材を終えて
「おら! 危ねぇぞ!! こらぁ!!!」みたいな怒声が飛ぶ稽古場を想像していたのだが、出される指示が「もう少しこうしてください」といった丁寧語なのが驚きだった。チームの信頼関係が作られている礎を見た気がした。
この日は事務所併設の練習場での稽古だったが、トランポリンなど高い天井が必要な練習は体育館で行う。
ちなみに、社長はこの飛び降りでは、42歳で42メートルから落ちる日本記録を保持しているそうである。
「スタントには臆病で怖がりで慎重な人が向いています。一番危なくないようにやることが大切です。危険はあるが、命知らずではない」と話す小島さん。
最後にキニナル「地球の平和を守りたいと思っている人にひとこと」を!
「まずは自分を守れ」
―終わり―
WILD STUNTS (株式会社オフィスワイルド)
住所/神奈川県川崎市多摩区三田1-26-28 ニュ-ウエルテラス生田103
電話/044-911-0971
HP/http://www.studio-wild.com/
hitoshiさん
2017年01月10日 02時40分
生田にはかつて、1号ライダー〜ストロンガーまでの仮面ライダーシリーズやゴレンジャーの撮影拠点だった「東映生田撮影所」があり、古くから特撮ファンの間ではライダー、戦隊シリーズ生誕の地としても名高い場所なんですよね。そんな土地に灯ったスタントアクションの火が若い世代に継承され続ける事、いつまでも祈っております!!。
ハマっちさん
2016年11月08日 13時59分
ホトリコさん。 「CG全てが悪」なんて言っていませんよ。 JAC全盛時代に比べ、宙返りや飛び降りなど生身でのアクションを演じられる主役級の俳優が現代では見当たらないからこそ、記事中の彼らスタントチームの存在は貴重だと感じるし、応援もしたいと思う・・・ということです。
ホトリコさん
2016年11月08日 13時17分
特撮モノのことはよくわかりませんが、大河ドラマや他局の時代劇では大軍勢やその大群が大砲の弾の大爆発で大量に吹き飛ばされるシーンでのスタントは数が間に合わないからCG全てが悪くはないだろう。