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【探訪】令和に生きる横浜の銭湯 ―南区永楽町・永楽湯―

【探訪】令和に生きる横浜の銭湯 ―南区永楽町・永楽湯―

ココがキニナル!

横浜にかぎらず日本中いたるところで減少を続ける昔ながらの銭湯。いったい今、横浜市内の銭湯事情はどうなっているのか。令和の時代をどっこい生き抜くキニナル現場を探る。(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

南区の永楽湯は、かつて周辺が横浜でもっとも長く続く遊郭だった時代からある老舗店。まわりの様子は変わったものの、やはりちょっと特殊な環境だ。その地域性ゆえに、今なお利用する常連客も少なくない。

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ライター:結城靖博

いよいよ永楽湯の湯船に浸かる!


 
開店は15時だが、夕方からのほうがお客さんが増えるというので、いったん店をあとにして、17時近くに永楽湯を再訪した。

筆者が男湯の入り口をくぐると、静江さんが番台にいた。小柄で絶えずニコニコしながら番台の中に据えられたテレビを見ている、可愛らしい方だった。

脱衣所には5~6人、浴室には十数人。大半がお年寄りだが、何人か若い人の姿もあった。その中には二人組の中央アジア系の外国人もいた。

浴室に入ったら、まずはきちんと体を洗うべし、だ。
 


風呂桶はもちろん由緒正しき「ケロリン」
 

そして、最初に中央のジェットバスにザブリ!

 
うーん、熱い!
「一般に銭湯は約42度前後。スーパー銭湯よりも少し温度を熱く設定しています」と実さんは言っていたが、確かに芯から温まる「効きそう」な湯温だ。
それゆえ長湯もしづらいので、早めに隣の気泡バスに移動。
 


気泡バスはジェットバスよりも温度が低めだ

 
湯船もジェットバスより浅く、体を横に伸ばして少しのんびり浸かっていられる。
 


ジェットバスと気泡バスの間に掲げられた効能
 

続いて自慢の源泉の黒湯へ

 
二つに仕切られた黒湯のうち右側の湯船に入るが、おやっ、ぬるい。それもかなり。熱々のジェットバスに先に入ったせいかとも思ったが、左隣の黒湯に浸かっている老人が突然声をかけてきた。
「ぬるいだろう、兄さん。今日はとくにぬるいなぁ。こりゃ、あったまるのに時間がかかるや」
いつもはもう少し熱いのか訊いてみると、「まあそうだが、黒湯はぬるめだよ」と言う。
常連さんなんですねと尋ねると、「俺はここしか入らねえんだ」との答え。数年前からこの近くのアパートに住んでいて、アパートに風呂がないから週に2~3回ここに来るという。
 


黒湯を出てサウナを覗くが、このときは誰も入っていなかった
 

水風呂はちょっと手を差し入れただけで、あまりの冷たさにパスしてしまった

 
「この水風呂の冷たさが気持ちいいって言うお客さんもいるんですよ」と実さんは言っていたが。
 
 
 

浴室を出た後、脱衣所を観察


 
風呂から出た後、服を着てしばらく脱衣所の人間模様を眺める。
 


ソファでちょいとくつろぎつつ
 

向かいの壁のレトロな絵を眺めたりして

 
やがて、浴室で一緒だった比較的若めの男性が脱衣所に戻ってきたので、着替えるのを待ってから声をかけてみた。茶髪で二の腕にタトゥーが入っている。でも、お顔立ちは優しそうだ。
 


着替えるのを待つ

 
訊けば48歳。思ったより年を重ねていた。3ヶ月前にここから歩いて1分ほどのマンションに引っ越してきたという。マンションなので風呂はあるが、最近は二日に1回は永楽湯を利用している。
「腕にタトゥーがあるからスーパー銭湯に入れないでしょ。でも、体を伸ばして湯船に浸かりたいから」
なるほど、そういう理由もあるわけか。

その後、何人かの老人に声をかけてみたが、なぜかお年寄りには警戒されてしまった。「横浜の地域情報ウェブマガジン・・・」と言っただけで「俺には関係ねぇ」という感じて拒否られる始末。

その間、タオルを腰に巻いたかなり若そうな男性が、白い椅子に座ってずっとスマホをいじったりテレビを見たりしていた。
 


ソファ以外にもこのように椅子が並んでいる

 
声をかけると快く取材に応じてくれた。口調から日本人ではないことがわかったが、言葉は流暢だ。
現在25歳で、5年前に中国から来て、近くの飲食店で働いているという。マンションに風呂はあるが、狭いので週に2回はここに来る。お気に入りは、熱い湯が好きだからジェットバス。ぬるめの黒湯には入らない。来れば必ずひとっ風呂浴びた後、こうして脱衣所で長時間くつろぐ。中国にも銭湯はないことはないが、少ないそうだ。
 


番台の横にはお約束の牛乳が入った冷蔵庫も

 
ただ、それをお約束の「腰に手を当てポーズ」で飲む客には出会えなかった。

やがて18時近くになり、番台が静江さんから実さんに交代した。実さんに代わってから、だんだん客足が増す。その中には背中から手足まで見事な刺青を入れた方々もチラホラと。さすがここは伊勢佐木長者町の銭湯だ。だが、どちら様も湯船の中ではホッコリしていた。
番台の中の実さんに訊くと、伊勢佐木町のほうの銭湯が休業日なので、そちらの常連客が多く来ているという。「日によって客層はまちまちですよ」と笑って言った。

いよいよ混み合ってきたので、そろそろ営業の邪魔にならないように、おいとますることに。退店際、とっくに帰ったと思っていた先ほどの中国の若者が、また浴室から出てきた。
「また入ってたの? ほんとに好きだね~」と思わず感心すると、「はい、日本の銭湯大好きです!」と明るい声が返ってきた。
 


外に出ると、もうとっぷりと日が暮れていた

 
 
 

取材を終えて


 
「うちはマンションの中のポツンと一軒家みたいな特殊な銭湯ですよ」
取材中、実さんのそんな言葉が印象に残った。
確かにシリーズ第1弾は、のっけからちょっとコアな環境の銭湯を取り上げたのかもしれない。だが、おそらく今残っている数かぎられたハマの銭湯は、どこも「特殊な事情」を抱え、またそれゆえにこそ、なおたくましく存続しているのではなかろうか。
そんな気がする。だからまた、取材するのも面白い。
さて、次はいかなる場所となることやら。乞うご期待のほどを。
 
 
―終わり―
 
 
取材協力
永楽湯
住所/横浜市南区永楽町1-8
電話/045-250-3660
営業時間/15:00~24:00
休業日/6・16・25日(変更あり)
入浴料/大人(中学生以上)470円 中人(小学生)200円 小人(幼児)100円
    サウナ100円 ※小人は親同伴の場合2人まで無料 ※価格は税込
https://k-o-i.jp/koten/eirakuyu/


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  • 子どもの頃 永楽町の風呂なしアパートに住んでたのでお世話になりました。帰りに隣でおでん

  • ずいぶんと全体を美談にしてるな
    どうせなら店主にいつまで居座り続ける気なのかも聞いて欲しかったもんだ
    実際はいつ倒壊してもおかしくないくらい老朽化した寿町にあるような小屋ってだけ
    中華系女や寿系のじいさんばあさん共がたむろし訳ありな人しかいない
    何も知らずとも店先の雰囲気からして物好き以外はまず入ろうとは思わないだろう
    周辺エリアでは老朽平家物件は徐々に取り壊されマンションなどに建て替えられている
    いろんな意味で周囲とミスマッチで浮きまくりなお化け屋敷は早急に取り壊すべき

  • いつの間にか銭湯はぜいたく品になっていますが、家庭ではまねできないものがあるからこそ、こうして残っているのだと思います。

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