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横浜・羽田間を10分でひとっ飛び!YES’89で運航していたヘリコプター定期便って?

横浜・羽田間を10分でひとっ飛び!YES’89で運航していたヘリコプター定期便って?

ココがキニナル!

かつて成田空港から横浜へのシティエアリンクというヘリコプターの定期便があったそうです。その時のヘリポートはどこだったのでしょうか?(westband2さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

定期便のヘリポートは、いまの「みなとみらい臨時ヘリポート」から約200メートルほど離れた「みなとみらい21中央地区20街区」にあり、横浜・羽田間は約10分、横浜・成田間は約30分で結ばれていた

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ライター:はまれぽ編集部

1989(平成元)年3月25日~10月1日の191日間、横浜市制100周年、横浜開港130周年を記念して横浜みなとみらい21地区で開催された「横浜博覧会(YES’89/以下、横浜博)」。
 


起工式も盛大に行われた(出典:横浜市史資料室)

 
ちょうどバブル期だったこともあり、横浜博の期間中はSK(動くベンチ/そごうからのゴンドラ)や515メートルを約2分で走るリニアモーターカー(HSST)、ディーゼルカーなど目新しく未来的な乗り物も運行していた。

横浜博を機にみなとみらい21地区の開発は目まぐるしく変化したが、当時から引き続いて運航している乗り物がある。それがヘリコプターだ。
 


みなとみらいでは横浜博を機に遊覧飛行がスタートした(画像は過去記事より)

 
今回、横浜みなとみらい21と羽田空港、成田空港間を結んでいたヘリコプターの定期便についての投稿が寄せられた。存在すら知らなかったが、調べてみたら・・・なるほど!約3年という短い期間の就航だったようだ。今回はその定期便の歴史について振り返る。
 
 
 
景観よりも早さを重視した試験運航
 
横浜博当時、定期便が発着していたヘリポートで航空業務に携わり、現在は横浜のヘリコプター遊覧を提供している「横浜スカイクルーズ」で飛行業務に携わっているAさん(仮名)にお話を伺うことができた。

「横浜博を機に整備が始まったみなとみらい周辺は、横浜博開催当時、横羽線(神奈川県道147号高速横浜羽田空港線)や首都高速湾岸線が完全に繋がっていませんでした。なので、横浜から羽田空港、成田空港までの車の交通状況は非常に悪く、混雑に巻き込まれると5~6時間はかかりました」とAさん。
 


開発前の高島埠頭と横羽線(出典:横浜市史資料室)

 
そんな中、かつて存在していた運航会社「シティ・エアリンク株式会社」はヘリコプターでの旅客定期便の試験運航を開始。まず、1988(昭和63)年8月に羽田・成田間を就航し、その翌年の横浜博開催初日より、横浜みなとみらい21と成田空港、羽田空港間が就航した。
 


かつて横浜の空を飛んでいた定期便(発行:YES’89 YOKOHAMA EXOTIC SHOWCASE VOL.10)

 
当時のヘリポートは、臨港パークの北側に位置する現在の「みなとみらい臨時ヘリポート」よりも約200メートルほど離れた場所にあり、当時の横浜博会場に隣接していたという。往復便なので、横浜にパイロットは常駐していなかったそう。


実際に航空写真でヘリポートの位置を確認してみよう 
 
国土地理院が公開している航空写真には横浜博の工事期間中の様子が残されており、当時のヘリポートが確認できる。現在のヘリポートとの位置をおおまかに比較してみた(当時のヘリポートは赤丸、現在のヘリポートが青丸)。
 


横浜博の工事期間中のヘリポート(出典:国土地理院より)



現在のみなとみらい臨時ヘリポートは埠頭の先に位置する(出典:国土地理院より)

 
続いて、横浜博開催時の写真を見てみよう。上記の航空写真よりも寄っている写真なので少々見づらいが、工事中のヘリポートから位置が変わっているように見える。


「博覧会開催時は距離にして数メートルと、工事中から微妙に着陸場を北東方向に移動しています。臨港パーク駐車場がある辺りに待合事務所(三角の建物)がありました」とAさん。また当時は複数機の離着陸があり、A~Fと記された駐機場があったようだ。
 


博覧会開催中のヘリポート(写真下部が北方向/発行:横浜博覧会公式写真集

 
現在ヘリポートがある埠頭は「耐震(内貿)バース」と呼ばれ、大規模な地震が発生しても崩れない造りになっている。耐震バースの事業開始自体は1985(昭和60)年度で、竣工は1990(平成2)年度ごろ。移設が完了した正確な時期は定かではないが、完成した耐震バースにヘリポートの位置を移設したと考えていいだろう。
 

 

 

当時のヘリポートは「MICE施設」に


 
当時のヘリポートは現在の臨港パーク駐車場の西側、「みなとみらい21中央地区20街区」に位置し、2020年春に開業予定の新MICE施設「横浜みなとみらい国際コンベンションセンター(通称『パシフィコ横浜ノース』)」の工事中。
 


赤丸がみなとみらい21中央地区20街区(クリックして拡大


2018年2月の様子


2018年11月の様子

 
かつては横浜と羽田・成田間を結んでいたヘリポートが、2020年には横浜と世界を繋ぐ国内最大規模の施設へと生まれ変わるのだ。
 


現在のヘリポート(提供:一般社団法人横浜みなとみらい21)

 
 
 

羽田まで約10分! VIP気分になれたかも?


 
横浜博覧会公式記録には、横浜・羽田間は約10分、横浜・成田間は約30分の所要時間で、運航速度は180km/hと記されている。Aさんによれば、景観を楽しむこと以上に速さで定期便を利用する人も多かったそう。

定期便のヘリコプター(ベル412/212)は9人乗りで運航し、横浜・羽田間は大人5620円、子ども3930円、横浜・成田間は大人1万7790円、子ども1万2450円で提供。両便とも同等の利用状況で、横浜博期間内に合わせて約3400人が利用した。
当時、「ヘリで羽田まで行ってくるわ!」なんて言えたらVIPな気分になれたのではなかろうか・・・。

またヘリポートは定期便や遊覧飛行以外に、国内外の賓客輸送やイベント・マスコミ各社の取材用ヘリコプター離発着などにも利用されていた。
 


こちらは遊覧飛行ヘリコプター(発行:横浜博覧会公式写真集)

 
「株式会社エアサービス」が提供していた遊覧飛行は、アエロスパシャル(355F/350B)を使用し、所要時間3分の基本コース(大人4500円、子ども3000円)は約4万6000人が利用した実績が残っている。
 
 
なぜ廃止されたの?
 
ヘリコプターの定期便が廃止になった理由として、旅客機は計器飛行(航空機上の計器のみに依存して行う)なのに対し、ヘリコプターは有視界飛行方式(VFR:目視にて位置を判断する飛行)で、悪天候の場合は運航できないことが要因になった。「運航当初は話題性もありましたが、天候の問題で稼動が上がらず採算が合わないという理由で1991(平成3)年に運航が休止、そのまま路線は廃止となりました」とAさん。

羽田・成田からの定期便は姿を消したが、遊覧飛行は現在も続いている。横浜スカイクルーズの担当者に聞くと、20~40代のカップルや家族連れが誕生日祝いやプロポーズに利用するのだとか。
はまれぽでも一度取材をしているので、キニナル方はチェックしてみてほしい。
 


宝石と称される、みなとみらいの夜景(提供:横浜スカイクルーズ)

 
博覧会が開催されたのは、ちょうど筆者が生まれた年。今では電車で横浜から羽田まで30分、成田までなら2時間ほどで行くことができるので、ヘリコプターの定期便があったと思うと不思議な気持ちになる。上空でのプロポーズにも憧れるが、個人的には「ヘリで羽田まで行ってくるわ!」とかっこつけて言ってみたい。
 
 
ー終わりー
 
 
参考資料
横浜博覧会公式写真集
YES’89 YOKOHAMA EXOTIC SHOWCASE VOL.10
横浜博覧会公式記録
みなとみらいエリアマネジメント
国土地理院

※主催の財団法人横浜博覧会協会はすでに解散



横浜博開催中の空撮(tvkコミュニケーションズ)
 
 

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