青葉区田奈町の地名の由来は?
ココがキニナル!
青葉区にある田奈町は、漢字から由来の想像がつきません。どんな由来のある地名なんでしょうか?(はまんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
かつての田奈村の元になった地名を合わせた“合成地名”だった。ただし、当時の田奈村と現在の田奈町は広さなどが全然違う!
ライター:田中 大輔
田奈ブラザーズ(?)の由来も紹介
というわけで、“田奈”の由来は、その母体となった3つの村から字をもらったこと。
せっかくなので、“田奈”を作った3つの地名の由来もざっと紹介しよう。
恩田は、鎌倉時代の作と伝わる上瀬谷の妙光寺の梵鐘(ぼんしょう)にその名前があることから、鎌倉時代から続く地名と考えられている。
恩田駅があるのは実は、あかね台というところ
この鐘は、恩田村(あるいは恩田郷か)にあった万年禅寺から妙光寺に移ったという言い伝えが残っているそうで、瀬谷区のホームページにも紹介されている。
もちろん恩田町にも恩田川は流れている
地名は、「日陰になる田、田陰になる場所(田=処)との意味ではあるまいか」と『横浜の町名(初版)』にある。
続いては、長津田。正しい読みは、“ながつだ”ではなく“ながつた”だ。
『小田原衆所領役帳』に記載があることから戦国時代には見られた地名。
恩田町から歩いてきたら、長津田駅北口に到着
現在では、JR横浜線、田園都市線、こどもの国線が乗り入れる街だが、昔は川沿い以外は丘陵地帯だったんだとか。
駅前は開けていて、高層ビルや現代的な建物が少なくない
その由来は分かっていないようで、『横浜の町名(初版)』でも「極めて難解で類似の地名もあまり見当たらない」とした上で、「長い谷戸か田地の地形を表したものか」と推測している。
奈良も戦国期から見られる地名だそうだ。
『吾妻鏡』には、建久元年の頼朝上洛に随行した武士、奈良五郎・弥吾郎の名前があり、当地と関係のある御家人とも考えられている。だとすると、鎌倉時代からあった地名なのかもしれない。
町内を流れる奈良川は、恩田川の支流
その名の謂われは、奈良県と同様「“ならす”、“なるい”などと同源で、“緩斜地”、“平地”」を意味するとしていて、谷戸の平坦なところを呼んだことからでは、と推測されている。
最寄りのこどもの国駅近くには、奈良山公園が
字地書上よると明治初期の25の小名のうち15に谷(やと)とついていて、改正後にも11ヶ所の谷(やと)が確認できるそうだ。
取材を終えて
これらの歴史ある地名を合体させてできたのが、“田奈”。
これまでにはまれぽで紹介した地名の中でも、ちょっと特殊な由来を持つ土地だった。
現在の田奈町の街並み。住宅や畑が広がっている
でも、合成地名自体は珍しいものではない。
実は、冒頭の例として出した大田(東京都大田区)は、元になった大森区と蒲田区の合成だし、中井(神奈川県足柄上郡中井町)は中村と井ノ口村の合併によってできた地名。
漢字から由来が想像できても、こういうケースもあるのでなかなか難しい。
その土地土地の状況や歴史を反映できないことから、こういった合成地名に否定的な地名学者もいる。
ただ、“田奈”の場合は、結果的にではあるが、元になった3つの地名がしっかりと残っているのでその点では問題なさそうだ。
この名前は、地名の面白さと難しさの両面を見せてくれるような、そんな名前だったのだ。
―終わり―
BANDO_ALFAさん
2013年02月16日 13時12分
自分のコメント、よくよく読み返したら誤解を招く誤字がありました。「私立小学校」は誤りで「市立小学校」が本当です。
紀洲の哲ちゃんさん
2013年02月11日 17時23分
昔、恩田川沿いに山羊が放し飼いにされてました!
ushinさん
2013年02月11日 13時36分
地名から探る歴史の記事は良い内容が多いですね。