市内に点在?横浜の特別な地名?打越の由来とは?
ココがキニナル!
横浜のいたる所に「打越」という地名がありますが、何か由来があるのでしょうか。「打越」の意味を調べてもどう地名に繋がったかわかりませんし、私は九州出身です見かけたことがありません(たにけいさん)
はまれぽ調査結果!
市内に8ヶ所確認された打越は、横浜だけでなく日本中にある地名だった。その由来は、中区打越など地形から付けられたものが多いようだ
ライター:田中 大輔
横浜だけじゃない! 全国に散らばる打越
ところが、調べる範囲を広げてみると、そうではないことが分かる。
国土地理院の2万5000分の1の地形図にある38万件以上の地名を収録した「新日本地名索引」(アボック社出版局刊。ただし、精度は完璧ではないと著者のただし書きがある)を見てみると、打越という地名が日本のいたるところに散らばっているのだ。
数えてみると、その数なんと75。
それも「打越」の数だけであって、打越沢、打越町、打越山などを足すとさらに増える。
関係があるかどうか分からないが「内越」という地名もいくつか存在するので、“うちこし”という音を含む地名ということになると、100近くにまでなる。
神奈川県内でいうと、小田原市、平塚市、藤沢市、綾瀬市、厚木市にそれぞれ「打越」が存在する。
キニナルには、投稿者の出身地である九州では見たことがないとあるが、実は福岡県、長崎県、熊本県にもそれぞれ複数存在する地名だ。
特に熊本県には多い地名のようで、熊本市内には打越という鉄道駅もある(熊本電鉄菊池線)。
この名前、実は日本中にある地名だった
この本では、横浜市からは中区打越のみがエントリーされていることを考えると、もっと細かく見ていくとさらに「打越」の数は増えることになるのだろう。
なんにせよ、「打越」という地名は横浜市内に多いのではなく、日本国内に数多くある地名だというのが正しいようだ。
打越は崖のふもと!?
では、いよいよその地名の由来について。
角川書店から刊行されている「地名の語源」という本を当たってみよう。この本は、地名研究の第一人者である鏡味(かがみ)完二、明克親子によって書かれたものだ。
それによれば、ウツはせまい谷や崖を意味し、コシはふもとや側、あるいは崖を指すという。
これらを組み合わせると、谷のふもとという地形に由来した地名であることが推測できる。
打越橋の上辺りから。これだけ高い崖があったということ
実際、「横浜の町名(初版)」や「角川日本地名大辞典」(角川書店刊)ではその説を採っていて、ともに当地に小さな谷戸があったことを指摘している。
特に「横浜の町名」では、谷戸の周囲は急な傾斜になっていたとしていて、そこから付けられた地名と考えられると記している。
先述の通り、起伏に富んでいる。傾斜の強さを示す標も
とはいえ、なにしろ全国津々浦々にある地名なので、全部が全部この通りかと言われると、そうとも限らない。
現に、「日本地名大事典」(新人物往来社刊)では、石川県小松市の打越を取り上げ、一挙に小川を越える地をいう、と解説している。
また、「地名用語語源辞典」(東京堂出版刊)には「うちこし」という項目が置かれ、谷から山頂への道を上った向こう側、山を越えるところ、中世に所領の境界を越えて横領した「境打越」という意味の地名の可能性などを指摘している。
谷のふもと説が数的には多そうな印象は受けたが、実はいくつかのパターンがあるのかもしれない。
取材を終えて
結論としては、横浜に特別な縁のある地名というわけではなく、全国のいたるところで見られる地名だった。なにしろ山が多く、その合間の谷戸で集落が発展することの多かった日本らしい名前とも言える。
それにしても、東北地方から九州まで、使われる言葉にもだいぶ違いがあるであろう広い範囲で同じ地名が生まれたというのだから不思議だ。
地名に秘められたロマンを改めて感じさせられる「打越」であった。
―終わり―
みうけんさん
2017年04月22日 07時50分
港北区小机町、城郷小より南西側、村田園という造園会社がある地域もかつては打越と呼ばれていました。1930年くらいの地図にはハッキリ表記があります。ここで閲覧可能。http://user.numazu-ct.ac.jp/~tsato/webmap/map/gmap.html?ll=34.446976,132.397467&z=17&data=history&t=h&vm=y&vo=y
みるママさん
2016年03月30日 20時40分
打越と書いておっこしと読む所が横浜に有った様に記憶しています。何となくですが、乗り越えて行くからなのかなぁ。と、思った記憶が有ります。
ぴよすけさん
2015年07月18日 17時17分
鎌倉にも打越あります。バス停ありますよ〜