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過去最多! 統計開始以来、初めての年間1000件超え! 横浜市の児童虐待の現状と対策は!?

ココがキニナル!

神奈川県、横浜市でも例外でなく、全国各地で児童虐待に関する痛ましい事件の報道が相次いでいるけど、横浜市の現状と対策はどうなっている?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市内は過去最多の年間1159件。昨年度発覚した痛ましい事件を受け、児童相談所や区との連携を強化する体制を強化した

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ライター:はまれぽ編集部

「おしつけ」でなく「しつけ」を

(つづき)

続いて「介入型」の事例。

児童が顔を腫らしたまま登校してきた。事情を聴いたところ、家庭内の暴力が原因と判明したため、学校が児相に通報した。


こういったケースでは、子どもが同意すれば児相は子どもを一時保護できる。保護者の同意が得られればそのまま保護を続けるが、同意が得られない場合もある。
ただ、そうした子どもを保護者の元に戻すには危険な可能性があると判断した時は、家庭裁判所で保護の申し立てなどを行い、保護を継続することもある。

 

法的手続きを経て介入することも

 
中澤課長は「たたいたり、怒鳴ったりするのは『しつけ』でなく、『おしつけ』。子育てに対する考え方を変えることも必要」と話す。

その上で、「虐待の把握は一件でも取りこぼしがあってはならない。どんなに数が増えようとも、必死に取り組んでいく」と強い決意を見せた。



当面の課題は「虐待死ゼロ」



横浜市内でも昨年度は前述の女児(6歳)、2012(平成24)年度に3歳男児、2011(平成23)年度に14歳女児(年齢はいずれも当時)と毎年のように児童虐待による死亡事例が発生している。また、死亡に至らなくても重症を負うケースもある。

横浜市の当面の目標は、この虐待による死亡事例をゼロにすることといい、対策を行っている。

市は2010(平成22)年度に「児童虐待対策プロジェクト」を立ち上げ、2012(平成24)年度には区役所と児相の連携を強化することを目的とした「児童虐待対策連携強化プロジェクト」を設置し、児童虐待対策を進めてきた。
 


各区役所と連携したプロジェクトを推進

 
プロジェクトのなかで、各区こども家庭支援課と児相の連携の基本的な考え方を従来の「役割分担」から「それぞれの役割を生かした協働」に転換。
これにより、虐待を把握した段階で各区は市のあらゆる機関と庁内連携をしてさまざまな支援をすることができ、児相は区に対する援助・相談など、より高度な支援を行うことができる。


さらに、対象となる子どもと家庭へ個々の支援を的確かつ円滑に行うため、両機関の協働支援計画を作成。支援が必要な対象の確実な把握と支援の実施および母子ケアの拡充などによる虐待の未然予防と重篤化の防止を目指すこととした。

虐待によって「死亡または心身に著しく重大な被害を受けた事例」については、児童虐待防止法に基づき、横浜市児童福祉審議会の下部組織である「横浜市児童虐待による重篤(じゅうとく)事例等検証委員会」が事実の把握や発生原因を分析し、再発防止に努めている。

検証委員会は関係する機関すべての連携強化や情報共有の徹底を提言すると同時に、検証に関する法的整備の必要性なども訴えている。
 


連携と情報共有に課題

 
市ではこれらを踏まえ、今年度から児相だけでなく、市内各区役所でも児童虐待に関する通告を受理する体制を整えた。

また、区と児相のそれぞれの役割を生かした協働を目指し、児相で保護が必要な児童の調整に関わる適切な運営などを定めた「横浜市子ども虐待対応における連携強化指針」を策定。市の担当係長、保健師、社会福祉職(ケースワーカー等)による「虐待対応調整チーム」を組んで業務に当たることなどを定めた。
 


事例から生まれた指針だけに、効果に期待が高まる

 
田中課長は「(死亡)事例を振り返れば直前で何かしらの対応はできたという思いはある。すぐにゼロにするという即効性のある対応はないが、地道にじっくりと対策を進め、尊い命が失われたり、傷つかないようにしたい」と話していた。



取材を終えて



指針をはじめ、横浜市は虐待防止キャラクター「CAPY(キャッピー=Child-Abuse〈児童虐待〉 Prevention〈防止〉 in Yokohama)」というキャラクターでも広く虐待ゼロを呼び掛けている。
 


虐待ゼロに!

 
ただ、前述の磯子区で発見された女児は住居が千葉県松戸市、秦野市、横浜市と転々としていたため、各自治体や児相など関係機関の間での情報共有もままならず、安否確認が難航し、虐待の事実に気が付かなかったという最悪のケースの末に起こった悲劇だ。

2013(平成25)年度に横浜市内が受理した4209件に対し、「虐待」と認知されたのは1159件。

4分の3近くは“空振り”のように思われるが、田中課長は「その空振りは単なる空振りではありません。虐待でなくても、何らかの病気で合ったり、発達障害であるケースも考えられる。心配だと直感で感じたら、近所の方であってもためらわずに知らせてほしい」と話していた。

保護者が保護者としての責任を果たせない以上、幼い命を守るためには社会がセーフティネットになるしかない。
尊くも、幼くして失ってしまった命を救うために何が足りなかったのか。悲劇を繰り返さないためには、行政は反省とさらなる検証、われわれ市民も当事者であるという考えを持つことも必要ではないだろうか。


―終わり―
 
通報は各区こども家庭支援課
または

横浜市中央児童相談所(鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区)
住所/横浜市南区浦舟町3-44-2
電話/045-260-6510

横浜市西部児童相談所(保土ケ谷区、旭区、泉区、瀬谷区)
住所/横浜市保土ケ谷区川辺町5-10
電話/045-331-5471

横浜市南部児童相談所(港南区、磯子区、金沢区、戸塚区、栄区)
住所/横浜市磯子区洋光台3-18-29
電話/045-831-4735

横浜市北部児童相談所(港北区、緑区、青葉区、都筑区)
住所/横浜市都筑区茅ケ崎中央32-1
電話/045-948-2441

よこはま子ども虐待ホットライン(24時間受付)
電話/0120-805-240
 

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  • 事件(事例)の推移も調査して頂けると、より良い記事になると思います。大事な記事ですので、是非とも継続取材をお願いします。

  • グルメや娯楽記事をよく読んでいましたが、このような社会問題に関する記事を制作する貴社の姿勢に敬意の念を抱きます。

  • もう少し児童相談所の職員に権限と予算を与えて欲しいですね。最低でも通報のあった家への立ち入りと児童保護の為に親元から一時引き離せるくらいは必要だと思う。

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