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横浜市立図書館の蔵書が年間1万9000冊も行方不明と判明! その真相は?

ココがキニナル!

横浜市立図書館の蔵書が年間で2万冊近く不明になっているというけど、対策などはしているの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

3年間所在が不明の「不明除籍図書」が2013年度は1万9000冊。ICなど有効な施策の実現は厳しいのが現状で、利用者のモラルに頼るしかない

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ライター:はまれぽ編集部

現状は打つ手なし?



図書館の利用は無料だ。希望すれば自宅で読むこともできる。にもかかわらず、これだけの書籍がなくなっていることに、坪内課長は「悲しいことだが、自分の利益を最優先に考える人が増え、持ち出すという行為に対する『心のバリア』が低くなっているのでは」と話す。

前述の通り、不明除籍図書のほとんどは正規の貸し出し手続きを経ていないケースが多いが、「盗難である」と言い切れるだけの法的根拠はない。

中央図書館では出入口にゲートが設置されており、ここを通らないと館内に出入りできないようにしている。また、正規の手続きを経ずにゲートを通り抜けようとするとセンサーが反応する仕組みになっている。
 


中央図書館出入口にあるゲート

 
しかし、ゲート管理をしているのは中央図書館のみで、各区の図書館ではゲートがない。先に挙げた鶴見図書館は、詳細は言及できないが、ほかの図書館に比べて職員の書籍を持った人の出入りを確認しにくいという構造上の問題があることは市も認識しているという。

となれば、ICタグによる管理などが有効のようにも思えるが、現状では全館でそのような対策は取られているわけでない。
 


バーコードシールによる管理がメイン

 
以前、はまれぽでお伝えした川崎市の中原図書館では、全書籍をIC管理しているが、これには膨大な時間がかかったそう。
 


ICで管理

 
横浜市でも同様の施策が有効のように思えるが、そのためには設備をそろえなければならない。2014(平成26)年度、横浜市は市内図書館の運営費として14億1352万6000円を計上しているが、これがさらに跳ね上がることになるため、優先すべき政策と財源のバランスも考慮しなければならない。
 


政策の優先順位の判断を迫られる

 
その上で、市が現状行っているのは防犯カメラによる監視と抑制、警備員の巡回、持ち出し禁止を呼び掛ける啓発のみにとどまっている。
 


これだけでは十分とは言えないだろう

 
坪内課長も「根本的な解決策とは言えない。今のままだと不明除籍図書は減らないだろう」と危機感を見せる。「持ち出しを確認したら、それは窃盗だし、毅然(きぜん)とした対応を取るが、ICなどについては市の政策判断にゆだねる」と話した。



取材を終えて



まずは、年間に2万冊近い書籍が、しかも毎年のように無くなっているという事実に驚きを隠せない。
毎年変動するので一概には言えないが、平均的に0.5%ほどが「不明除籍図書」になるということは、昨年度書籍購入に充てられた1億5000万円のうちの75万円がいわば「どぶに捨てられた」格好だ。

これは間違いなく税金であることを忘れてはならないし、坪内課長が言う「心のバリアが低くなった」というだけで片付けていいものでない。

このような現状が続けばIC管理やそれに変わる施策を検討しなければならないだろうし、そのためには、また多額の税金がかかることは間違いない。

証拠や根拠がないため「不明」という言葉を使っており、現状は利用者のモラルに頼るしかないのだが、書籍を持ち出すという行為は窃盗罪というれっきとした犯罪であることを自覚してほしい。

その上で、これ以上の被害が増えないことを願いたい。


―終わり―
 

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  • 図書館って本来は教育研究施設であり、無料の貸本屋ではない。著名な作家の新作が出ると予約が100人を超えることも。5冊位購入しても20人待ち。順番が来るのが1年後と聞いて激怒する利用者。これは県西部のとある市の実話です。そんな本はいわゆる旬が過ぎれば全く利用されなくなり(特に芸能人が著者な本)、かといって著作権の絡みあり図書館は古本屋にも売れず…。財政が厳しいなか毎年図書購入費は削減され、本来の学術的な蔵書も購入出来ません。図書館は定価の95%前後で購入、装丁(カバーやicタグ)すると103%位になります。こんな状況のなか盜本や汚染(特に女性誌が多い。服の型紙やレシピの切り抜き)など勘違いしている利用者だらけと嘆いていました。そのうち国会図書館みたいに閲覧のみにするしか無いのかも知れないですね。

  • 万引きの問題と同じですね。いや、それ以上かもしれない。それができる、イコール、やって良い、っていう発想、あるいは自分だけならやっても問題ないだろうっていう発想、どうしたらなくせるか、教育の問題が第一だけど、社会としてどう確保するかですよね。みんながルールやモラルを守るから、図書館で本をいくらでもタダで読めるんだ、それがなくなれば図書館だって成立しなくなるって、わかってほしい。本を必要としている人こそ、守ってほしい。

  • 鶴見がダントツか…。申し訳ないが…納得。

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