鶴ヶ峰で発見! 駐車場の中にポツンとある謎のバス停、なぜこんなことになってしまった?
ココがキニナル!
鶴ヶ峰駅北口という相鉄バスのマイナーなバス停(バスターミナルとは別の場所)ですが何故か民間駐車場の中にあります。何故こんなことになっているのか経緯を調べてください!(よこはまんごーさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
その正体は旧・相鉄バスターミナル。1997年に鶴ヶ峰商店街協同組合の駐車場となり旭区役所を訪れる市民のため一部のバス停が残された
ライター:野々村 カオリ
新バスターミナル設置に伴って・・・
相鉄バス株式会社総務人事部係長の植田懸(うえだ・しのぶ)さん
物腰柔らかな植田係長のお話によると、現在の「鶴ヶ峰駅北口バス停」兼「鶴ヶ峰商店街協同組合駐車場」は、1970(昭和45)年10月26日に「相鉄バスターミナル」として華々しくデビュー。
「相鉄バスターミナル」は前年から入居開始となった、旭区上白根町にあるひかりが丘団地の建設などによる利用客増加や、国道16号線の渋滞によるダイヤの乱れの是正を見込んで造られたもの。
全盛期は発着本数1日200本、乗降客1万人ほでどであったが、ターミナルへと通じる水道道はその先に踏切があるため慢性的な渋滞が問題に。また、近隣を走る横浜市営バスや神奈川中央交通バスの停留所が分かれていたため、利用客にとって分かりづらいという問題点があった。
そこで渋滞を避けて、なおかつ相鉄バスだけでなく横浜市営バス、神奈川中央交通バスの3社が乗り入れる新バスターミナル「鶴ヶ峰バスターミナル」が国道16号線から帷子川に橋を架ける形で、1997(平成9)年9月9日にスタート。相鉄バスターミナルは役目を終え、跡地は商店街の駐車場として生まれ変わったのだという。
斜線箇所が新、黒丸の箇所が旧のバスターミナル
1997(平成9)年にできた現在の鶴ヶ峰バスターミナル
では、商店街の駐車場にバス停が残されたのはなぜか? それはある重要な施設がここから徒歩圏内にあったからだ。お近くの方は思い浮かべてください、この近くの重要な施設と言えば?
正解は・・・「旭区役所」です! 高齢化が進んでいるという旭区の人々にとって区役所に行く足として二俣川からやって来る旭1系統、和田町駅からやって来る浜16系統だけが残されたというワケ。
鶴ヶ峰の今・むかし
となれば、当時の旧バスターミナルの写真と今の珍スポットを見比べたいと思うのが人情。横浜市中央図書館に出向いたが、あいにく旧バスターミナルの写真を発見することはできなかった。
しかし、1970(昭和45)年の旧バスターミナル設立時にほど近い1974(昭和49)年出版の『鶴ヶ峰自治会発足25周年記念 私たちのまち』を発見。その中に1928(昭和3)年に鶴ヶ峰にお嫁に来た女性の聞き書きがある。
それによると鶴ヶ峰周辺は戦前、草深い土地で、すでに駅はあったものの「土がもってあるだけのもの」で「20人が立てるくらいだった」という。
砂利運搬を主とする蒸気機関車が1時間に1本走る程度。旧・バスターミナル(=現・鶴ヶ峰駅北口バス停)の場所にはすでにバス停があったものの、白根不動や武将・畠山重忠(はたけやま・しげただ)の名所案内として設置されたもので、周辺には住宅などはなかった。
ところが・・・
野村撮影 1974(昭和49)年出版の25年史より、乗降客でにぎわう鶴ヶ峰駅
戦後焼け出された人々が移り住み、次々に市営・県営・警察・国鉄のアパートが建ち、郵便局、横浜銀行、西友、ロイヤルマートができた。何もなかったところに街が出現し、人が増え、「旭区の表玄関」となった鶴ヶ峰にバスターミナルが設置されたものらしい。
野村撮影 戦後間もないころの鶴ヶ峰商店街
鶴ヶ峰パーキングの今は
鶴ヶ峰商店街の草創期の地図を見ながら改めて現場へ向かったところ、この地図の中に、今も営業している店を2つ発見した。
小川生花店
理容高見沢
また、「鶴ヶ峰パーキング」には小さな子ども連れの女性が2人。「バスが通りますが危ないと思ったことは?」とお聞きすると、「危ないと思ったことはありません。バスターミナルが駐車場になってラッキーでした」とのこと。
取材を終えて
ナスビ型の広々とした駐車場は見通しも良く、車も停めやすく、商店街を利用する市民に重宝がられているようで、夕刻になってもたくさんの車が停まっていた。そして酒飲(ささのみ)のワタクシは、この駐車場と地続きのある建物を眺める。
こんなところに飲み屋が?
どう見ても飲み屋の詰まった建物だ。というわけで、暗くなってからその中の一軒である沖縄料理店「ぐすく」にお邪魔。飲まないお客さんはこの駐車場に車を停めてやって来るとのこと。同店を利用すると1000円で20分の無料券がもらえて、午後10時までは停められます。
「沖縄料理ぐすく」。昨年ここにはまれぽサンタが参上した
沖縄のつまみといえば豆腐ようとゴーヤ。酒飲みのワタクシは鶴ヶ峰の歴史に思いをはせながら、オリオンビールを飲み干し泡盛を頼んだのだった。
鶴ヶ峰駅北口バス停は旧バスターミナルの名残りのナスビ型の駐車場にぽつんと残され、旭区役所への足として機能しており、駐車場は商店街や飲食店の利用客に重宝がられていた。このシンプルな珍スポットとともに、畠山重忠の旧跡や戦後復興期の面影を残す商店街のある鶴ヶ峰を散策してみてはいかが?
−終わり−
ゆたぼーさん
2015年01月01日 13時32分
確か新バスターミナルが出来たのは、91年のはず 間違いでは?!
bssさん
2014年12月02日 00時57分
子供の頃、母親と横浜に出かけた帰りなど鶴ヶ峰駅からはバス停(よっし~さんがおっしゃっている16号鶴ヶ峰交差点近くの鶴ヶ峰バス停)が遠かったので、西谷駅で降り、西谷駅前のバス停からバスに乗って帰宅していた記憶があります。それとまた別の話になりますが、新しくバスターミナルができた後しばらくは下りの「鶴ヶ峰本町」バス停はなかったですね。設置後久しぶりにバスに乗ってビックリした記憶があります。
よっし~さん
2014年12月02日 00時13分
と言うか、昔のバスターミナルが今の商店街の駐車場であり、今のバスターミナルが商店街の昔の駐車場だったんですよね。懐かしい。。。あと記事中にある通り市営バスと神奈中は昔のターミナルには乗り入れておらず、今の16号鶴ヶ峰交差点近くにあった「鶴ヶ峰」バス停が当時の2社局の駅の最寄りのバス停でした。なので、昔のバスターミナルは以外と小ぢんまりとしていて乗り場も(下車用は別として)4つしかなかった記憶があります。