日本初、コーヒー牛乳を作った乳業メーカーのパイオニア「守山乳業」とは?
ココがキニナル!
平塚の守山乳業がコーヒー牛乳や無糖練乳を日本で初めて作ったとのこと。どんな歴史のある会社なんですか?開発当時の味は家でも作れるのかな?キニナル!(0084さん)
はまれぽ調査結果!
1918年創業、1923年に東海道線国府津駅で日本初のコーヒー牛乳を発売!開発当時の味はハワイのコナコーヒーと濃い目の牛乳を半々、砂糖多めで再現可能
ライター:大和田 敏子
コーヒー牛乳以外の商品開発。まだまだある日本初!
コーヒー牛乳の成功後、同社ではコーヒー用クリームの開発をし、1929(昭和4)年にエバミルクを発売した。エバミルクは、サラッとした無糖のコーヒーミルクのようなものだそう。それ以前に、加糖の練乳は森永などで製品化されていたが、無糖のものは日本初だったという。
発売当初のころの冨士エバミルクのポスター
日本を象徴する富士山をラベルに。富士山のように日本一にとの思いも!?(提供:守山乳業)
当時は乳児用粉ミルクがなかったので、乳児用ミルクとしても重宝された(提供:守山乳業)
昭和初期は牛乳の販売が一般的でなかったため、乳児用以外にも牛乳の代用として日常的に飲用利用されていたそう。乳児用粉ミルクができ、牛乳の販売網が整った以降は、主に珈琲・紅茶用ミルクや果物の添加用、料理用へと用途が変わっていったという。
現在の商品。昔から一貫して、植物性脂肪を中心にしたサラッとしたミルク
新しいもの好きで人がやらないことをやろうという社風だったようで、1932(昭和7)年にはこちらも日本初となる「アイスクリームの素」も作られていたようだ。
1932(昭和7)年の会社の広告(提供:守山乳業)
1951(昭和26)年には、日本で初めてソフトミックスパウダーを製造開始した。今は、パウダータイプだけではなくリキッド(液状)タイプの製造も行っていて、主力商品になっている。
リキッドはそのままソフトクリームの機械に投入して使える
商品を直接目にする機会はないが、ソフトクリームを食べた時、それが、守山乳業製のソフトミックスで作られたものである可能性は大いにあると思うと、すごく興味がわいた。
一番新しいソフトミックスは濃厚な味を楽しめる「Felina(フェリーナ)」
神奈川県内でフェリーナを使っているオススメの販売先をいくつか教えてもらった。「ホテルオークラレストラン横浜 ブッフェ&ダイニング サファイア」(横浜そごう10F)、カフェ リビングルーム」(江ノ島電鉄江ノ島駅から徒歩1分)、などがあるそうだ。
守山乳業の現在。ロングライフ商品に特化!
コーヒー牛乳の開発をきっかけに、守山乳業は乳業メーカーとしてはめずらしい、ロングライフ商品に特化した会社となった。
日本テトラパック株式会社25年史によると、1967(昭和42)年、守山乳業は無菌充填のテトラ・クラシック・アセプティック500ml容器(スウェーデンのテトラパック社製正四面体紙容器)を採用し、日本で初めてロングライフの液状ソフトミックス(乳製品+甘さを加えたソフトクリームの素)を発売した。翌1968(昭和43)年の南極観測船「ふじ」には、守山乳業のロングライフミルク「冨士牛乳」(180ml)が積まれたという。
「保存に気を使わなくて済む」と隊員に喜ばれたそう(日本テトラパック株式会社25年史より)
続いて、現在販売している商品も紹介していただいた。一部、一般に販売しているものもあるが、主に業者用の商品(守山乳業オンラインショップから購入可能)だという。
ココアは「守山乳業といえばココア」と言われるほどの看板商品!(一部量販店で販売)
こうしたリキッドタイプのココアの製造が始まったのは約25年前。ココアは溶かして飲むのが主流で手のかかる飲料だったため、販売業者などからの要請もあり開発したという。
ココアを含む「喫茶店の味シリーズ」は人気がある!
ポリフェノールなどカカオに含まれる成分が注目され、ココアがブームとなったことや、最近では海外からの高級チョコレートが流行したこともあり、カカオ感にこだわった同社のココアは特に人気があるそうだ。
こんなデザートシリーズも販売している(業務用商品)
これらは液体ではなく実は・・・
プルンとかたまっていて、容器から出してそのまま食べられる
また、温めて溶かすこともでき、生クリームなどを加えたり、好きな型に流し入れて固めたりしてアレンジできるので、飲食店などでは、さまざまな形で提供されているそうだ。
飲食店のデザート、実は同社のデザートシリーズを元にしているかも!?(同社資料より)
取材後半、守山乳業株式会社代表取締役社長、大塚直人(おおつか・なおと)さんも来てくれた。
会社の今後の展望を語ってくれた、5代目社長の大塚さん
「平塚工場は、戦後間もなくできた工場のため老朽化が激しく、キャパシティもいっぱいになっているので、2年後、創業100周年の節目に、新しい工場の建設を予定しています。そこで、より安心・安全を確保して、ロングライフという難しい商品を極め、新たな商品も考案していきたいと思っています」と大塚社長。
数々の日本初の商品を製造してきた工場
現在は、医療介護食品にも取り組んでいる
こうした分野は、審査が厳しくレベルの高い商品を求められるが、同社の技術を生かし、今後、さらに力をいれていく方針だという。
取材を終えて
日本初の商品をいくつも開発した会社が、神奈川県内にあることを知り、誇らしく感じた。今後も、ぜひ素晴らしい商品を作り続けてほしい。また、いくつもの出会いが重なり、アイデアと技術が伴って誕生したコーヒー牛乳の話は、とても興味深かった。
伺ったレシピを参考に、自宅でお手軽にできる、開発当時のコーヒー牛乳を作ってみた。
材料はこちら
コーヒーはハワイコナブレンド、濃厚な牛乳(うっかり乳飲料)、砂糖は多めに9グラム。
でき上がったコーヒー牛乳をお風呂上りに飲んでみた
ハワイのコーヒーは日本に比べ薄めらしいが、自分の好みで濃くして、乳脂肪分4.4%の乳製品と1対1に。なかなか上出来! 甘くてほんの少し苦い、なんだか懐かしい味。昭和の銭湯の郷愁を味わいたい方はお試しください。でも、やっぱり牛乳ビンじゃないとね。
―終わり―
〈取材協力〉
守山乳業株式会社
住所/神奈川県平塚市宮の前9‐32
電話/0463‐22‐1730(代表)
公式ホームページ/http://www.fujimilk.co.jp/
オンラインショップ/http://www.moriyama-shop.com/
Y66さん
2016年07月23日 22時16分
一部写真とコメントが一致してませんので、ご確認を‥
はーまんさん
2016年07月19日 20時32分
ほぉ、帰宅したら試してみます!平塚は調査エリアに去年入りましたよね
soraさん
2016年07月19日 19時56分
なぜ、キニナル対象エリア外の守山乳業(平塚市)を調査?