山手にコンビニの無い地域があるって本当?
ココがキニナル!
山手地区にコンビニの無い地域があるって聞きましたが本当ですか?(麗華さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
本当でした!その理由は横浜開港150年の歴史に大きく関わっていました!
ライター:鈴木 亮介
なぜコンビニがないのか
やはり地元に住んでいる方は不便に感じている人がいるようだ。では、需要がありながらもコンビニが出店しない?出来ない?のはなぜか。ここは、街に詳しい不動産屋さんに聞くしかない!
その名も「山手不動産」
ここに聞けば全て謎が解ける…ハズ?
山手不動産 代表取締役の諏訪部元隆氏に話を伺った。
―単刀直入に伺いますが、山手地区にコンビニがないのはなぜですか?
諏訪部:山手町のほとんどは「第一種低層住居専用地域」となっていますので、公共施設や学校、診療所を除く小規模な建物を一切建てることができません。だからコンビニなどの商店が建っていないのです。
―平たく言うと「住宅専用地域」という感じですね。でも、1階がコンビニというマンションを結構見かけます。素人考えでは住宅地にコンビニがあってもおかしくないと思うのですが。
諏訪部:小規模な建物が駄目なので、マンション自体もほとんど建てられていません。従って、敷地の広い一戸建てが多く、高級住宅街となっているわけです。
諏訪部氏によると、山手はマンションが少ないことに加えて長年住む人が多く、そもそも物件自体があまり出回らないそうだ。最近は30代から40代に人気があり、山手地区の私立校へ子どもが入学したことを機に引っ越してくる家族が多いらしい。一方、高齢者は買い物を始めとした生活の利便性を考え、駅前の高層マンションに引っ越していくケースが多いという。
さらに深層に迫る!
やはり、都市計画による法的な出店規制が背景にはあるようだが、新たな疑問が浮かび上がる。そもそも、そうした規制はいつ頃から行われているのか。また、「風致地区」ということも関係するのか。やはり、地元に長年住み、地元をよく知る人にも話を聞かなければ!というわけで、話を伺ったのはこの街に住んで40年になる、山手まちづくり推進会議の代表幹事兼、山手西部自治会相談役の石川喜三郎氏。
山手西部自治会相談役石川喜三郎氏
―コンビニについて伺う前に、まずは山手地区の歴史から伺いたいと思います。
石川:山手地区は開港以来、明治32年まで外国人居留地として多くの住宅が建てられました。その後も外国の方が住み続けたのですが、最初に転機が訪れたのは大正12年の関東大震災です。多くの家屋が倒壊し、居住していた外国の方の半数が他地域へ転居したり母国へ帰国しました。そして2度目の転機は第二次世界大戦です。戦後しばらくは進駐軍により接収されていましたが、昭和40年代に返還され、半分は市が公園など公共施設にし、もう半分は高台で眺望が良いこともあり、高級住宅地として宅地開発が進みました。
―その頃はまだ規制がなかったのですか?
石川:はい。規制がほとんどなかったため、無秩序な宅地開発が進みました。しかし、この一帯は眺望が良いだけでなく、明治以来のレンガ造りの洋館など異国情緒あふれる景観が魅力です。そこで昭和47年に「山手地区景観風致保全要綱」を制定し、さらに都市計画法により「住居専用地域としての用途指定」などを指定して、景観の保全に務めています。
―そうした背景があったのですね。地元の人達からはコンビニなど商店についてどのような意見が挙がっていますか?
石川:中学生を中心にコンビニが必要という声も聞きます。しかし、景観をはじめ光害、騒音の観点から「なくてもいい」といった声が多いですね。高齢の方で買い物に不便している方もいらっしゃいますが、宅配を利用する方もいますし、中には利便性の良い駅前のマンションに引っ越していかれる方もいます。
―では、今後新たにコンビニが出店する可能性は低いのでしょうか。
石川:難しいでしょうね。この辺りは道が狭いので、車で立ち寄るタイプのお店は作りにくいですし、深夜まで明かりがついているのは違和感があります。また、最近は住民の景観を守る意識も高まってきました。平成10年に「山手まちづくり憲章」を定め、平成17年には地元住民によるルール作りとして「山手まちづくり協定」を制定しました。今後新たに建物を造る場合の建ぺい率や外壁の色彩、看板や広告物の規制に至るまで細かな取り決めを作っています。
「山手まちづくりガイドブック」より。色彩などの詳細な取り決めは今年新たに追加された
石川氏によると、平成13年に大型マンションの建設計画が持ち上がったことをきっかけに、地元住民の景観に対する意識が高まり、具体的な行動としてまちづくり協定などができたのだという。やはり、美しい眺望や伝統ある街並みは、そこに住む人たちの「残そう」という意識によって、次の世代に伝わるのだなと感じた。その美観や高い意識は、決して手軽に買えるようなものではない。
ただ一方で、「長年住んでいた高齢の方が、坂を下りて駅前のマンションに引っ越してしまう」という話にはハッとさせられた。これほど美しい街が、美しすぎるゆえに「高齢者が住みにくい街」となり、買い物難民が増えてしまう現実。二世帯で暮らしていれば良いが、高齢者の単身世帯では買い物の移動は厳しい。もっとも、これは超高齢化社会を迎える今後の日本において、山手地区に限らずどこにでも起こりうることなのだ。
今回、「コンビニが無い地域」という軽い気持ちで取材をしてきたが、まさかここまで深い問題だとは思わなかった。住民の景観に対する意識が高く、伝統ある街並みを残したい、という気持ちは理解できる。だが、それは同時に高齢者が住みにくい環境を作り上げていたのも事実なのだ。何かを得ること、それは何かを犠牲にしていることだということを我々は決して忘れてはならない。
―終わり―
maz03さん
2015年05月10日 17時50分
一般的に高級住宅地とされているところは、駅から遠い、大きな幹線道路が通っていない、コンビニ、スーパー、パチンコがない、という共通点がありますね。高級住宅地というのはそういうもんです。
masasさん
2015年01月11日 10時25分
住宅街だから便利じゃなければ、というのは庶民の発想ですね。まして、都心への交通の便なんて山手のセレブにはなんの関係もない。それが不便だと思う人は山手でなく、庶民の住宅地に移って頂くのがよろしいかと。
hamazinさん
2013年10月05日 15時14分
ここまで買い物のアクセスが悪い割に地代が高い地域も珍しいですね。雰囲気重視の地域にコンビニは不必要ですし、元町中華街駅の脇のエレベーターを使えば楽になりましたね。あまり庶民的に利便を考えるなら原付スクーターが必須です。便利さ重視は庶民の感覚です。山手地域はいつまでも不便を物ともしないセレブでいてほしい。