著名デザイナーが設計した横浜駅東口の「ポートサイド公園」にそそり立つ「円柱」と謎の「記号」とは?
ココがキニナル!
ポートサイド公園に、屋根付き円柱形の2人掛けベンチのようなものが点在しています。各「円柱」に書いてある「P6」や「G5」のような記号には何か意味でもあるのでしょうか?(えのきさん)
はまれぽ調査結果!
「円柱の記号」は公園のデザイナーにより、イベントの際などに役立つ「位置を示す目印」としてつけられたもの。アルファベットや数字そのものに特別な意味はない
ライター:関 和幸
芸術の街、「ヨコハマポートサイド地区」(つづき)
ポートサイド公園は芸術と遊び心に溢れた公園だ。それは入ってすぐに分かる。
芝生が・・・波うっている!?
ベンチ?・・・もユニーク!
右手に海を見ながら、公園の奥へ進むと・・・
ついに探し求めていた円柱が!
周囲を見ると・・・たくさんある
円柱の調査を開始!
まず円柱の数を数えてみると、P1〜P6およびQ1〜Q6の12本。公園の反対側の隅に、F2〜F5およびG1〜G5の9本。合計21本であった。外観は全て同じだったが、念のために円柱の内部も調べてみた。
たしかに円柱の中にはベンチがあった
座ってみると、こんな感じ。落ち着く・・・
ちなみに読者からの情報にあった「屋根」はなかった
円柱のスリットから外を見ると、子どものころの秘密基地のような懐かしさを感じる
さらに一見同じように見える円柱だが、実は内部がそれぞれ異なっていた。だが、特に記号との関連性はないようだった。
ある円柱の中は、閉鎖された水道栓
あるものは配電盤
この円柱の床は、プラスチック製の格子状のふた・・・?
ふたの下からあらわれたパイプ。これは一体・・・?
全部で21本の円柱全てを調べたものの、謎は深まるばかりだった。次は地元の人に聞いてみるのが、この手の謎を調査する基本その1である。取材は土曜日の午前中ということもあり、大勢の横浜市民とおぼしき方々が公園にいたので、さっそく「円柱の謎の記号と数字」について聞いてみた。
「はまれぽ? 読んでるよ!」・・・ありがたいことに読者の方だった
お食事中のカップル。・・・お邪魔しました
上記の写真の掲載を許可してくださった方々のほか、読書中の方、3人組の家族連れ、瞑想中の方・・・などに聞いてみるも、いずれも円柱の数字や記号に心当たりはないとのことだった。
公園緑地事務所に聞く
この手の謎を調べる基本その2は、役所関係に聞いてみることだ。インターネットで「ポートサイド公園 管理部門」と検索すると、この公園を管理している部署は「横浜市環境創造局 北部公園緑地事務所」だということが分かった。さっそく、次のような質問メールを送ってみた。以下、質問の概略である。
問合せ先が明記されており、分かりやすい(横浜市ホームページより)
「(前略)ポートサイド公園の円柱に記号がついているのですが、どんな目的でつけられたものでしょう? ほかの公園にも、同じような記号はあるのでしょうか? ちなみにポートサイド公園のスペックは?(後略)」
担当者の方から電話とメールでいただいた回答は次のようなものだった。
「(前略)当時の資料を調べましたが、円柱につけられている記号の意味は分かりませんでした。この公園を設計したデザイナーの方なら、ご存じかもしれません。ほかの公園には無いようです。公園のスペックは『供用面積:1万6487平方メートル』、『施設整備年度:1991(平成9)年度』、『供用開始年月日:1992(平成10)年3月31日』、『円柱の高さ:4メートル』です(後略)」というものだった。
公園のスペックは分かったが、肝心の円柱につけられている記号の謎は、設計したデザイナーの方に伺ってみるしかなさそうだ。
ポートサイド公園のデザイナーに直撃!
ヨコハマポートサイド街づくり協議会のホームページによると、ポートサイド公園は1991(平成3)〜1992(平成4)年、応募総数171件のデザインコンペを勝ち抜いて優勝された長谷川浩己(はせがわ・ひろき)氏の作品である。同氏はデザイン事務所・オンサイト計画設計事務所の代表であり、「赤坂サカス」「星のや旅館シリーズ」なども手がけられている。
事務所の入口は地味だが、その実績はスゴい
「円柱の記号と数字」は単なる目印だった!
さっそく現地で撮った円柱の写真をお見せしながら、「円柱の記号と数字」について聞いてみた。
「ずいぶん昔のことなので、なぜこのアルファベットを選んだのかは覚えていないのですが・・・特に意味はなくて、『番地』として使っているだけなんですね。たとえば、このゾーンでイベントをやるときなどに(写真参照:実はこの円柱にはいろいろなものを引っ掛けられるよう『フック』がある)、柱一本一本に名前がついていた方が便利だろうと考えたのです。
たしかにフックがある! ロープやテントなどを取り付けることを想定していたそうだ
円柱に記号と数字があれば、その位置・場所が特定できますから。また、この公園の周辺が昔は倉庫街だったことから、倉庫の屋根と壁が無くなり柱だけが残った・・・というイメージも円柱に反映しています」
円柱「P3」と円柱「Q2」には驚きの仕掛けが!
円柱の足元のふたの下にパイプがあった件についても聞いてみた。
「円柱の中のパイプ? あれは公園の岸壁の線路付近に設置した集音器とつながっているんです。そして円柱の中で耳を澄ますと、波が打ち寄せる音、航行する船の音、すぐ近くの線路を走る電車の音などが響くようになっています」
公園の目の前を水上バスが航行している
なんともロマンチックな仕掛けだった。てっきり地下鉄か何かの排気口だと思っていた筆者は、ずいぶんと不粋な奴である。
取材を終えて
それほど人混みが激しくないポートサイド公園は、とても開放的で居心地のよい空間だった。しゃれたウッドデッキや芝生広場などもあるので、子どもと遊んだり、のんびりとデートや散歩をするのにもぴったりだ。そんな楽しいひとときに、是非この円柱の秘密を披露していただきたい。
なお、円柱は公園を入って右端と左端に配置されている
―終わり―
取材協力
有限会社オンサイト計画設計事務所
代表取締役 長谷川浩己氏
公式サイト https://www.s-onsite.com/
中山さん
2017年01月20日 16時25分
たまに あの辺歩きますが? 初めは電話ボックス? WC?と思っていましたよ? 謎とけました。
年金生活者さん
2017年01月20日 13時50分
ポートサイド住民です。私としては円柱より、芝生がなぜ波打っているかのほうに興味があります。再度の記事を期待します。なお現地には、きた東口A出口からベイクオーターウォーク経由川沿いに行けば5分で行けるはずです。記事ではかなり遠くにあるような印象を受けてしまいます。
幸人さん
2017年01月16日 14時52分
イベント開催のためのテントを引っ掛けるフックや集音器!面白い仕掛けですが、活用されているのでしょうか?公園には何度か行ったことありますが、全く気付きませんでした。せっかく設置してあるのだから公園内の案内を充実させて、イベントなどにもぜひ活用してほしいですね。