武蔵小杉駅前にある創業53年の老舗店「喫茶ブラジル」が閉店。その理由とは?
ココがキニナル!
武蔵小杉の昔ながらの喫茶店「ブラジル」が6月29日で閉店してしまうようです。昔からあるようなので、駅前からレトロな風景がなくなってしまうのは寂しいです。(おはようさんさんさん)
はまれぽ調査結果!
ビルの老朽化に伴う建て替えと、店主の体力の問題から閉店。変わりゆく武蔵小杉に残る「昭和」の灯が消える
ライター:黒澤 陽二郎
陽気なマスターがお出迎え「洋酒コンパブラジル」
ナポリタンを食べ終えると閉店時間。店を出ると辺りは暗くなっていた。そんな中、光るネオン看板を発見。
こちらも6月30日(金)に閉店してしまう「洋酒コンパブラジル」
喫茶ブラジルの真上、2階にある
金沢さんが案内してくださいました
こちらもレトロでシックな雰囲気のお店
洋酒コンパブラジルは、金沢さんのお兄さんである金沢斗弘(かなざわ・とひろ)さんが切り盛りするお店。
陽気で優しいお兄さん。マスターと呼ばせていただきます
同店は、喫茶ブラジルができた10年後、1974(昭和49)年に創業。現在はスナックのような形で営業している。ちなみにコンパとは、昭和40年前半ごろに流行した、お酒が飲めて男女が出会える社交場のようなお店だという。
カラオケは歌い放題!
マスターの趣味で、映画のポスターもズラリと貼られている
「きょうも石原裕次郎さんの映画を見てきましたよ」と笑顔のマスター。「取材は遠慮しておくよ」と言いながらも、いろいろとお話しくださるとっても陽気で優しいお方。
常連さんとは月1回ペースで旅行に行っていたこともあるそう
開店時間の午後7時。営業が始まったので、小島とともに昭和レトロの雰囲気を味わってきました。
お店の雰囲気に合わせ、大人の哀愁を漂わせる小島
「お店も最後だから」とマスターからおしゃれなマッチとコースターをもらった
マスターは28歳から現在まで、お店に立ち続けて42年。ずっとこの地で営業を続けてきた。
しかし、数年前に胃がんを患ったことで、無理ができなくなり、金沢さん同様ビルの建て替えのタイミングで、引退を決意したという。
それにしても、ボトルの数がすごい・・・
全盛期は常時200本ほどのボトルキープがあったそう。「今は半分になっちゃったよ」と言うが、それでもすごい数。さすがに40年以上やられていると、愛され方が違うのですね。
午後8時を回ると女性スタッフのほか、次々とお客さんがやってくる。
大人の時間
お店の開店当初からの常連だという、わたなべさん
何も注文せずとも、おつまみとお酒が出てくる。常連さんってかっこいいよなぁと思っていると・・・。
そっと枝豆を自分たちに差し出してくれるわたなべさん
ありがとうございます! と伝えると頷くのみで、再び飲み始める。
渋くてかっこいい大人だ。
「この雰囲気を出せるお店がなくなるのは、やっぱりさみしいね」とうつむき呟く。
歌を歌う背中から、さみしさがどことなく漂っていた
ほかにも、30年以上通っているという方や、すでに出来上がってイケイケの6人組など、さまざまなお客さんが大人の時間を楽しんでいた。
そこに、ハイテンションなマスターが登場。
シェイカーふりふり。楽しそう!
カクテルを振る舞い、どっと盛り上がるテーブル
店内のいたるところから、「マスター!」と常連さんの声が飛び交う。
陽気な性格と、仕事を心から楽しむ姿勢があったからこそ、多くのファンの心をつかんだのだろうと感じた。
取材を終えて
歴史あるお店のカウントダウンが始まった
ほぼ同時に閉店してしまう、老舗「ブラジル」の2店舗。どちらの店主も自然体で、あたたかい人だった。
関わる人が皆、閉店をさみしいと口をそろえる理由は、店舗の雰囲気はもちろんだが、店主や、お客さん同士の出会いがなくなってしまうことも大いにありそうだ。
閉店まであと数日。魅力的な人々と出会いに行ってみてはいかがだろうか。
―終わり―
ダボスさん
2017年06月30日 22時31分
何でも新しければええってもんでもない。古くても良いものは大事にせんとな。