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日ノ出町駅裏側の崖上の住宅街にある面白スポットを調査!

ココがキニナル!

日ノ出町駅の裏側、野毛山公園に続く崖の上の住宅地が気になる。普段は立ち寄らない場所ですが、住宅を改装した面白そうな場所がいろいろありそう。最近も急な階段をのぼったところに店ができていた(zempさん)

はまれぽ調査結果!

日ノ出町駅裏の崖上の住宅地には、古民家を改装したお店や地域の人などが集まるコミュニティスペースなど、坂好きな人たちが活動する場所があった。

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ライター:奥井利幸

新進の建築家事務所に



WAENから徒歩2分ほどの場所にある「トミトアーキテクチャ」。
 


トミトアーキテクチャの場所はWAENから見て南西側(GoogleMapより)

 
対応してくれたのは、共同経営者の冨永美保(とみなが・みほ)さんと伊藤孝仁(いとう・たかひと)さんだ。

 

爽やかな建築家のお二人、冨永さん(左)と伊藤さん

 
この坂の上の場所に事務所を構えた理由を伺うと、「緑が多く見晴らしが良いのが気に入り、またこの地域に自分たちが設計した案件があり継続的にかかわろうと思った」とのこと。
それに「野毛が近く飲みに行きやすい」ことも実は理由の一つだという。

いきなり親密感がわいてきた。
 


事務所内には観葉植物などが飾られている

 
お二人に美容院&カフェのWAENを設計したコンセプトを伺うと、「建物だけの設計ではなく、庭を含めて建物と街が共存するような設計を目指しました」と伊藤さんは言う。

続けて「崖に沿って階段を登り、頂上まできてホッと一息ついたときにWAENの庭が目に入ってきます。階段を登ってきた人は、その庭に咲いている季節の花や緑を楽しむことができ、その意味ではこの家の庭は公共空間でもあるのです」と、設計の想いを語ってくれた。

また、美容院とカフェの併設店舗にすることで、周辺に住む人が日常的にアクセスしやすく、気軽に利用できるような空間を目指して、庭と内部が一体的になるように設計したそうだ。
 


窓が多く、開放感ある空間

 
建築家というのは建物だけではなく、生活空間全体の設計をしているんだなあ。

また、「CASACO(カサコ)を設計するときにも、空間の使い方にこだわりました」と冨永さんが話してくれた。

「CASACO」とは、古い長屋を改築して作った地域・子ども・旅人の集う交流スペースのこと。市民が主体となって建物などを整備する「ヨコハマ市民まち普請事業」の支援をうけて、2016(平成28)年4月にオープンした。やはり、トミトアーキテクチャのお二人が改装設計したそうだ。
 


CASACOの場所はトミトアーキテクチャーのすぐとなり(GoogleMapより)
 

CASACOの外観
 

天井を抜いて開放感のあるスペースになっている
 

CASACOの内部の様子
 

壁に貼られた「ヨコハマ市民まち普請事業」の看板

 
トミトアーキテクチャの事務所からCASACOに来てみると、たまたま利用していた方にお話を伺えた。伺ったのは藤原美奈(ふじわら・みな)さん、杉本祐美子(すぎもと・ゆみこ)さん、藤原俊之(ふじわら・としゆき)さんの3人。
 


写真左から、藤原さん、杉本さん、藤原さん

 
CASACOの魅力について「この付近が好きでこの地に移り住んだのですが、CASACOができたことで、地域の人や外国の人との交流が増え、よりこの地が好きになりました」と地元愛を語ってくれた杉本さん。

「CASACOに来ると、居ながらにして、いろんな世代のいろんな人と話ができるから面白いです」と、世代も超えての出会いも魅力と話すのは藤原さん。

地域の人や外国人、子どもや高齢者も集える場所がCASACOだった。



坂と共存する街



この崖の上の住宅地は、不便な場所にもかかわらず、住宅以外にも古民家を改装した飲食店やコミュニティスペースなどの施設があった。この場所が気に入っていると話す人たちに出会った。
この場所の魅力は何なのか、筆者自身も辺りを散策しながらもう少し探してみることにした。

すると、すぐに、そのものスバリ「急坂」と書いた看板がある階段を見つけた。
「急な坂」ではなく、「急坂」という名前の坂のようだ。
 


立て札に「急坂」と書かれている

 
階段を眺めていると、「毎年12月に階段にキャンドルをならべて、『キャンドルナイト』があるのですよ、幻想的できれいですよ」と、通りがかった高校生リンさんが話してくれた。
 


毎年12月にこの「急坂」で行われるキャンドルナイト(写真提供CASACO)

 
また、通りがかりのマディアさんは、「もっと急な坂もありますよ」と楽しそうに坂への思いを語ってくれた。
 


身振りで示してくれるマディアさん
 

マディアさんに教えてもらった近くの「急な」階段
 

足が階段からはみ出てしまって怖い
 

足がはみ出るほどの急な階段はこの場所

 
「坂」といえば、普通は登るのが大変とのネガティブな印象があるが、この地域に住んでいる人たちは、坂をポジティブにとらえ、愛着を持っている人が多いように感じた。
 


以前は、この「急坂」の上から港を一望できたそうだ

 
崖の上をうろうろするうち、夕方になってきた。
楽しかった坂の街のショートトリップを終えて、帰路につくことにする。

日ノ出町駅裏側の崖の上には、古民家を改装する建築家、その建物で美容院やカフェを経営する人、外国人や地域の人があつまる拠点など、この地域に愛着がある人たちが活動する場所があった。

日ノ出町駅付近での野毛以外の楽しみができた気分だ。



取材を終えて

後日撮影した写真を整理していると、最初に行った階段の横に碑がたっていることに気づいた。
 


最初に通った日ノ出町駅近くの階段。右側に碑がある
 

よく見ると、「天神坂碑」と書かれてある

 
この「天神坂碑」の置かれた場所を調べてみた。
『横浜吉田新田と吉田勘兵衛(斉藤司著)』によると、吉田新田が埋め立てられたときの土砂の採取場「天神山土取場」だった可能性が高いとのこと。
吉田新田とは、江戸時代に吉田勘兵衛によって大岡川河口の埋め立てにより開発した新田のこと。

 

吉田新田開発前図の概念図(『横浜吉田新田と吉田勘兵衛』より)

 
同書には、天神山土取場は長さ70間(128メートル)、高さ25間(高さ45メートル)で面積5反(5000平方メートル)とある。
 


山手より望んだ明治時代の吉田新田。対岸が天神山と思われる(『横浜・中区史』より)

 
ここでは、古くから住んでいた人だけでなく、新しく移ってきた人にも地元愛が強い人が多く、急な坂や古民家を楽しんでいるようにも思えた。また、横浜発展の基礎となったともいえる吉田新田とも深く結びついていたことを知って、この場所にますます親しみがわいてきた。
なんだかとても楽しい取材でした。


―終わり―
 

取材協力
WAEN(和縁:わえん) Hair & Dininig
住所/横浜市西区東ケ丘38
電話/045-513-0710

トミトアーキテクチャ
住所/横浜市西区東ケ丘23
URL/http://tomito.jp

CASACO(カサコ)
住所/横浜市西区東ヶ丘23-1
URL/http://casaco.jp
 

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  • 野毛山は小さい頃から動物園に行ったけれども、こんな素敵な場所があるなんて知りませんでした。いつも日の出町駅から中央図書館経由で行きますが、このルートで野毛山に行く楽しみもできそうです。

  • 友人の家がWAENさんのすぐ近くだったので学生時代は天神坂(という名前も初めて知りました。)を数えきれないくらい上り下りしていました。仕事をするようになってからも友人宅から出勤することもあり、その時には急坂を下り、曙町のバス停からバスに乗っていたのを思い出しました。急坂の上には洋館のお宅があったんですがまだあるかな。機会を見てWAENさんにお邪魔してみたいです。

  • 以前天神坂を1,2度下った時のことを思い出しました。こんなところが横浜にあるのかと思いました。WAEN(和縁:わえん)のお店とても興味持ちました。一度行ってみたいですね。これからも面白い取材や記事を期待しております。西戸部の丘の上に月一でお邪魔しております。

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