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京急仲木戸駅高架下に露出したレンガ積みの壁はいったい何?

ココがキニナル!

仲木戸駅近くの高架下に、レンガ積みの壁が露出している部分があります。あえて残しているとしたら、いったい何?(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

かつて東神奈川駅から分岐した現在の横浜線の貨物専用線路が京急の下で交差した廃線跡だった。現状は運行に問題がないので当時の様子を留めている

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ライター:永田 ミナミ

そして笠䅣稲荷神社から話がひろがる

神奈川新町方面に向かう途中、笠䅣(かさのぎ)稲荷神社の手前だけ少し地面が低くなっていた。
 


神社正面の高架は高さ2.3メートルという道路標示がある
 

確かに低い。掘り下げていなければ線路下を通り抜けることは不可能だ


神社は1869(明治2)~1870(明治3)年に現在地に遷座したとあるから、高架をつくって参道を維持するために掘り下げたのではないかと思い問い合わせてみた。すると何と宮司の小野和伸さんが昔の写真のコピーをお持ちだという。
 


いただいたコピー。神社の前に線路があることがわかる
 

現在の笠䅣(かさのぎ)稲荷神社。かつてはこの階段はなかったのだ


お母様が京都から嫁いでこられたのが1958(昭和33)年で、当時はまだ空襲の痕が多く残り、神社周辺にはバラックがならんでいたという。当然線路下をくぐるガードはなかったそうだ。

写真を見せていただいたあとで、さらに小野さんは当時を知っているだろう方を紹介してくださった。
 


節分の準備でお忙しいなか、ありがとうございました
 

そして氏子(うじこ)総代を務める萩原龍さんに話をうかがうことができた


萩原さんは「ああ、あそこはね」とすぐに答えてくださった。

線路の下がくぐれるようになる以前は、築堤の盛土を越えていくように線路を渡っていたのだという。踏切設備は特になく、皆がそれぞれ気をつけて渡っていたそうだ。その後、京急が安全面を考慮して線路下にトンネルを通すことになり、その時に神社の前の道路は低く掘り下げられたということだった。

萩原さんには東神奈川駅から仲木戸駅は昔は階段でもなく土のスロープでのぼるようになっていたこと、貨物線が国道15号線を渡るための「大踏切」と呼ばれる踏切があったことなども教えていただいた。


なるほど、確かに踏切があってしかるべきだ(黒線が大踏切、Googleマップより)


帰り際に「あの高架下の道は参道だから国道まで続いているよ」と教えていただいたので行ってみることに。
 


おお、たしかに「笠䅣(かさのぎ)稲荷神社」の石碑がある
 

奥には神社が見える
 

そしてその前を京急が走り抜ける




取材を終えて

レンガの壁は思いがけない鉄道遺産だった。国有化された横浜線で電車運転が実施されたのは1932(昭和7)年の東神奈川駅~原町田駅(現在の町田駅)間が最初であり、開通当初はSLも走っていたというから、かつては京急とSLがレンガ積みの高架の上と下で交差する風景も見られただろう。
 


仲木戸駅ホームからの眺め。この下を黒煙をあげてSLが走っていたのだ


100年を超える歴史を眺めきた高架下のレンガの壁は、今は周辺に残った少し不自然な区画とともに、というか不自然な区画のおかげで静かな時間を過ごしている。
 


ちなみにこの積み方は「イギリス積み」と呼ばれ、日本では明治中期以降に普及した


終わってみると何だか鉄道ファンに一歩近づいているような気がした取材であった。


―終わり―

 
参考文献
『京浜急行 電車と駅の物語』吉川文夫/佐藤良介著(多摩川新聞社 2001)
『京浜急行 赤い電車で半世紀』武相高校鉄道研究同好会編著(BRCプロ 2009)
『京急電鉄 街と駅の1世紀』西潟正人著(株式会社彩流社 2013)
『横浜の鉄道物語 陸蒸気からみなとみらい線まで』長谷川弘和著(JTBパブリッシング 2004)
『京急の駅 今昔・昭和の面影』佐藤良介著(JTBパブリッシング 2006)
『日本の私鉄 京浜急行電鉄』広岡友紀著(毎日新聞社 2010)
『横浜線百年 明治41年〜 電化に33年、複線化に80年』サトウマコト著(ニイサンマルクラブ 2008)
『毎日通勤ごくろうさま!明治41年〜 電化に33年、複線化に80年 横浜線物語|』サトウマコト著(230クラブ新聞社 1995)

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  • 仲木戸は、その昔、南太田のような中線通過式の待避設備駅だった。この件のガードのレンガ橋台の両側に拡幅したコンクリート橋台が見えているけど、必要以上に幅が広いのはこのため。

  • 東高島貨物駅の北側に残る 廃線橋梁まで話題が至らなかったのが残念!

  • はまれぽの記者の皆さん 丁寧な調査をご苦労様です 降る雪や昭和も近寄ってくるばかり ありがとう

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