横浜市の中央図書館で「アンネの日記」が破られた、その事件の経緯は?
ココがキニナル!
東京で被害があった、「アンネの日記」が横浜市の中央図書館で破られていたということを詳しくしらべていただきたいです。(mona tai さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
2月27日現在、横浜市立図書館におけるアンネ・フランク関連の書籍の被害は2冊。警察に被害届が出され捜査が開始されている。
ライター:松崎 辰彦
新たなアンネ・フランクの本が贈呈される
アンネ・フランク関連の書籍の被害が広がりを見せている中、駐日イスラエル大使館とユダヤ教団は、被害の大きかった杉並区に『アンネの日記』その他の書籍を300冊寄贈することを決定し、27日に杉並区役所でその贈呈式が行われた。
杉並区役所で贈呈式が行われた
ペレグ・レヴィ駐日イスラエル公使は「私たちは最近の事件での大きな被害を受けた杉並区に、東京都のすべての図書館を代表して『アンネの日記』を贈呈いたします。
ペレグ・レヴィ駐日イスラエル公使
私たちは、『アンネの日記』の被害についての報道を悲しい気持ちで聞きました。しかし、私たちは日本の皆様から多くの暖かい言葉や励ましの言葉をいただき、感謝の気持ちで一杯です。
『アンネの日記』は、人と人の寛容さを表すメッセージおよびホロコーストの啓発でもあります。イスラエル大使館および日本ユダヤ教団は、友情の証として被害にあった本の取り替えの支援をすることにしました」
田中区長に書籍がわたされる
と述べ、このような卑怯なことを行った者に対して、正当な罰が加えられることを信じています、と結んだ。
寄贈される書籍の一部
贈呈された書籍は、杉並区を通して被害にあった各区の図書館に配布されるとのことである。
日本は人道主義の国、博愛主義の国
贈呈式の後の取材で、レヴィ公使は「最初にこのニュースを聞いたときにはショックを受けました。しかし、多くの日本の方々から申し訳なく思うというメッセージを受け、この事件は一部の人間が起こしたことだということが理解できました。こんなことで日本とイスラエルの友好を壊してはなりません」と事件に関して述べた。
犯人については「臆病者。私はかかわりたくない」と断じた。
2012(平成24)年に、日本とイスラエルは国交樹立60周年を迎えた
田中良杉並区長は「多くの人々に読まれている『アンネの日記』をはじめとした関連図書が引き裂かれるという事件が起こり、胸の痛む思いです。(中略)しかし一方で、今回の被害を公表し、マスコミ等で報道された直後から善意の輪が広がり、日本全国より次々と個人や団体等から励ましの声ととともに、被害にあった図書の贈呈等の申し出を受けています。とりわけ迅速に被害に遭った図書の多数の寄贈をして下さったイスラエル大使館には、重ねて感謝を申し上げます」と、今回の寄贈に感謝の意を表した。
さらに田中区長は「かつてリトアニアで、杉原千畝(ちうね)外交官が、外務省の訓令に背いてビザを書き続け、6000人のユダヤ人の命を救いました。そしてまた第一次大戦後のパリ講和会議で、日本は国際会議史上初めての『人種差別撤廃提案』を行いました。このように、日本には人道主義、博愛主義が根底にあると、私は思っています」と、日本人の良識を強調した。
イスラエル国旗と杉並区旗
贈呈式に同行したイスラエル大使館のロネン・メドゥズィニ大使館広報官も「日本人の間でアンネ・フランクの日記が非常に人気があることを、私たちは知っていますし、そのことを大変喜ばしく思っています。また、今回の事件で、私たちが日本人に対して悪感情を持ったわけではないことを、ぜひともお知らせしたいと思います」と明言した。
ロネン・メドゥズィニ大使館広報官
何とも悲しく、卑劣な印象を与える今回の事件。一日も早い全面解決を望まずにはいられない。
取材を終えて
犯人は、どのような人物なのか。
万人の財産である公共の書物を、ためらいなくビリビリと破ける人。不当な人種差別の犠牲となった15歳の少女の顔写真を、容赦なく切り裂くことのできる人。
被害に遭ったのは300冊以上というから、一個人の仕業かどうかわからない。あるいは組織的な犯行なのか。組織だとしたら一体いかなる思想が、このような奇行を正当化するのだろうか。
1944(昭和19)年7月15日の日記に、アンネは書く。
「私は理想を持ち続けています。なぜなら今でも信じているからです。たとえ嫌なことばかりでも、人間の本性はやはり善なのだ、と」
哀しく虚しい行為を続ける犯人に、この言葉は届くだろうか。私たち自身、今は彼女の信じたことを信じたい。
─終わり─
viva平塚さん
2016年03月05日 13時34分
アンネ・フランクの日記と秘境一筋極上人生が同じ棚なのか…力抜けるなぁ
角さん
2014年03月05日 21時02分
あまり取り上げられていませんが、杉原千畝の本も同じ被害に遭ったとニュースでありました。ここら辺に犯人の思想が見えるような気がします。
都筑のふくちゃんさん
2014年03月04日 17時26分
NHKが「アンネの日記」事件を報道した時に、首都圏版では横浜市図書館が、警察に図書館の利用者の情報を渡すという報道があり、私もすぐに中央図書館に問い合わせましたが「誤報」とわかりほっとしました。公立図書館では、貸出情報は削除して警察には流さないはずです。NKHの大誤報事件もレポートしてほしかったです。