横浜・川崎を舞台にした漫画『恋は雨上がりのように』。登場するスポットから物語を読み解く
ココがキニナル!
先日「恋は雨上がりのように」というアニメを見ていたら、桜木町や日吉といった地名や、日吉公園にそっくりな公園がでてきました。横浜や日吉辺りがモデルになっているのでしょうか?(ぴろさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市や川崎市を舞台にした漫画作品が原作。実際に登場した場所を巡れば、主人公の気持ちが読み解けるかも
ライター:はまれぽ編集部
初デートは桜木町からみなとみらい
横浜ワールドポーターズ(横浜市西区)
あきらが若干強引に取り付けた近藤との初デートの舞台は、みなとみらい。
二人が訪れた映画館はワールドポーターズの中に
直前には不本意ながらもバイト先の先輩、加瀬亮介に連れられて全く同じデートコースを辿っているが、本命デートでのうきうき具合はこちらが恥ずかしくなるほど。
ワールドポーターズ前から続く汽車道はデートスポットだ
映画を観たあとに入ったカフェで、「自分以外若者だらけ」ということに気付いた近藤は、いたたまれなくなってデートを切り上げる。汽車道を足早に桜木町駅へ向かう近藤と、名残惜しそうなあきらの姿が対照的。
実はみなとみらいは、あきらの家からは徒歩圏内。二人は桜木町駅で待ち合わせをしているが、電車を使うのは近藤だけだ。あきらは改札を通り帰宅する近藤の背中を見送ることになる。
あきらの若さとひたむきさに心を惹かれると同時に、年齢を重ねた自分との対比を見せつけられ、「傷つきたくない」とさえ感じる近藤。ここに、近藤があきらの思いから距離を置こうとする理由が表れている。
二人が生きる場所の距離
あきらと近藤の間にあるもっとも大きな壁は「年齢」。若いあきらは「そんなことなんの関係があるの?」と容易に飛び越えてしまいそうになるが、「かつて若者だった」近藤は、その違いがどれほど大きなものか身に染みて理解している。
そんな二人の生きる場所の違いは、実際の距離としても現れている。
矢上川近くのアパート
バツイチの近藤が住むのは、元住吉駅の南側を流れる矢上川の近くの2階建てアパート。ちょうど勤務先のファミレスへ向かう途中の位置にあるようだ。
あきらが初めて近藤の部屋を訪れたのは、近藤の息子、優斗を送り届けた時。その後も何度か1人でこの部屋を訪れることになる(いかんでしょ)。
雨の中、あきらと近藤が歩いた道
紅葉坂のマンション
一方、女子高生のあきらが住むのは紅葉坂近くのマンション。
坂を下ればみなとみらい方面
近藤は一度、足を痛めたあきらを見舞いにこの場所を訪れる。改めて見上げた先にはみなとみらいの横浜ランドマークタワーが。
横浜の都心部を象徴している
「ここならなんでもあるじゃない」と話す近藤にとっては、わざわざ自分のファミレスまでバイトにくるあきらが不思議で仕方がない。だが、あきらは意に介する風もない。二人にとって同じ距離のはずなのに、その感じ方はまるで違っているのだ。
雨宿りの場所
物語で印象的なのが雨の風景。そして「雨宿り」が二人のキーワードとなる。
横浜市中央図書館(横浜市西区)
雨の図書館では偶然に近藤と出会う
あきらが雨の日にたまたま訪れた図書館。劇中では「横浜市みなと図書館」だったが、実際には「横浜市中央図書館」が描かれていた。
館内の貸し出し可能図書は150万冊以上
川崎市内では多摩図書館(川崎市多摩区)がもっとも蔵書数が多いが、それでも26万冊ほど。読書家でもある近藤が、わざわざ川崎市の自宅から横浜市中央図書館まで訪れるのも納得がいく。
図書館での遭遇を契機に、二人の中でそれぞれに「何をしたいのか、どこへ向かっていくのか」が再び動き出すことになる。
あきらの通う高校(磯子区)
あきらの通う高校のモデルは、磯子区にある県立高校。
アーチになったベランダに見覚えがある
バス停の周囲なども原作のままだ
劇中、学校への通学は京急「能見台」駅からバスを使っている。その場合は京急「日ノ出町」駅まで移動し、徒歩で帰宅しているのだろう。学校帰りに立ち寄った上記の図書館も日ノ出町駅に近いので、雨宿りも自然な流れということになる。
急行も停まるので通学に便利かも
バスを逃したあきらが、学校から駅まで猛暑の中を徒歩で向かう場面もある。このときにたどり着くのは能見台駅より一つ北側の駅、京急富岡駅。
歩きの場合はこちら
学校からの距離はどちらもほとんど変わらないが、京急富岡駅の方が一本道で分かりやすく、家にも近い。
実際に学校前のバス停から駅まで約25分の道のりを歩いてみると、京急富岡駅に向かったほうが若干下り坂になっており、歩くのが楽な気がした。一方、能見台駅方向に向かう場合には坂を上る必要があり、猛暑の中ではつらいものがありそう。
京急富岡駅への道のりは、ゆるやかな下り
こんなところでもリアリティを感じることができる。登場人物たちの生活の様子が思い描けるほどにしっかりとした描写があるからこそ、あきらや近藤が抱えている心情も、より真に迫って感じられるように思った。
最終回まであとわずか
多くの人を魅了し(あるいはもだえさせ)ている『恋は雨上がりのように』だが、物語は終わりに近づいている。原作は本日3月19日発売の『ビッグコミックスピリッツ』で最終回を迎えることが告知されており、アニメは2話の放送を残すのみだ。
横浜市とのタイアップイベントも3月末まで。市内の主要施設などで配布しているマップを対象店舗に見せると限定グッズがもらえたり、ワールドポーターズや中央図書館などのスポットに書き下ろしイラストのスタンドが立っているなど、見逃せないイベントだ。
あきらと横浜を巡れる。でもあきらの横に立つべきなのは自分ではないから・・・(早口)
一方で、5月には『恋は雨上がりのように』の実写映画が公開する予定。
こちらは主演・橘あきら役を小松菜奈(こまつ・なな)、近藤役を大泉洋(おおいずみ・よう)が務めるということで話題になっている。すでに川崎・横浜でのロケが行われているといい、実際に横浜周辺が舞台として登場することになりそうだ。
取材を終えて
物語を彩るのが、やはり雨の描写。届かない思いを託すものとして、人生の閉塞感として、立ち止まる理由として、二人に降る雨が印象的な作品だ。
今回は原作中盤までに登場した場所を中心に紹介したが、緻密に街の風景を切り取っているこの作品には、ほかにも多くのスポットが登場しているはず。
二人の恋の行く末を見届けたあと、その足跡を探しに出掛けるのもいいかもしれない。
ー終わりー
みーにさんさん
2018年03月25日 22時57分
日吉のほんと鶴見川沿いで元住吉に近いとこ出身で、氷取沢の卒業生で、今新杉田と富岡の間に住んでて、自分の生い立ちがマンガの主人公とそっくりでびっくりした。作者と顔見知りだったりするのかな
ぴろさん
2018年03月20日 01時04分
調査ありがとうございました。身近な場所が物語の舞台として細かく描かれているので、実写の方も楽しみです。
青空さん
2018年03月19日 22時10分
グーグルマップで見た位で想像してましたが、こうしてちゃんと現地取材されているのを見る事が出来て有難いです。昔、仕事で1ヶ月ほど川崎区に住んでましたが工業地帯の街という印象しかありません。恋雨を知った後ならまた違って見えたのかな…