横浜都心の味がする? 山手のアメリカ山公園産ハチミツを使ったスイーツとは
ココがキニナル!
元町・中華街駅の「アメリカ山公園」のミツバチで作ったプリンと飴が管理事務所で発売しているらしい。その味とは?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
山手産ハチミツは季節によって味わいが変わり、パティシエの作るプリンは数量限定。今後はロールケーキなどの販売も検討中!
ライター:はまれぽ編集部
「アメリカ山公園」といえば、みなとみらい線の元町・中華街駅駅舎の上部にある立体都市公園。なんでもその公園でミツバチを飼育し、そのハチミツで作った飴やプリンを販売しているとか。以前取材したこともある都市養蜂の取り組みをさらに進めたものだろうか?
どんな味がするのだろう?
さっそく販売場所でもあるアメリカ山公園の運営管理事務所に向かった。屋上が公園になっているアメリカ山公園の建物の3階部分にあるらしい。
エスカレーターにもミツバチ
ところが、建物の中に管理事務所が見当たらない! 一周ぐるりとフロアを回って、ようやく発見した。
この奥にある・・・
この扉!
後から確認すると、スイーツを販売する日には扉を開けているそうなので、もう少し分かりやすくなるそうだ。
公園でミツバチを飼育するアメリカ山公園運営管理事務所の永江晴子(ながえ・はるこ)所長と、スイーツの開発に関わるパティシエの中村文(なかむら・あや)さんにお話をうかがうことができた。
左から中村さん、永江所長のお二人。手元にあるのは試作品スイーツ
ミツバチを飼育する理由とは?
「西武造園と横浜緑地が管理運営を行うアメリカ山公園では、2013(平成25)年から公園内でミツバチを飼育しています。当時、利用者の多い公園内でのミツバチ飼育では全国でも珍しい試みでしたが、現在は西武造園が管理する7つの公園で飼育が行われるなど、取り組みが広がっています」と永江所長。
ミツバチの飼育は「はち育」という教育プログラムの一環。ミツバチは半径約2~3kmの草花から蜜を集めるため、その味覚を通して地域の緑の豊かさや特徴を知ることができる。希望する団体などを対象に、ミツバチをテーマにした環境教育などを実施する場合もあるそうだ。
6月から販売する予定の今年の「新ハチミツ」を見せていただいた。
綺麗な琥珀色の蜜がビンにつまっている
こさじで口に含むと、花の香りが口いっぱいに広がる。甘味も強いが、それ以上にサクラやウメの春の味に、ほのかにラベンダーの香りを感じることができる豊かな味わいだ。
「ハチミツは季節によって集める花の種類が変わり、味わいが全く違うものになるんです」。そう話す永江所長が取り出したもう一つのビンは、なんだか黒っぽい!
左は昨年夏から秋にかけてのハチミツ
採取する時期が秋に近くなると、ハチミツはどんどん黒糖のような深い味わいに。コクが強く、香り以上にハチミツらしい甘味が濃縮されているようだった。
ハチミツの販売は当初から行っているが、それに加えてハチミツを使った商品の開発も開始。2017(平成29)年末から「アメリカ山はちみつで作ったはちみつ飴」(400円/税込み・以下同)の販売を開始。2018年1月からは、中村さんがパティシエを務めるアメリカ山公園4階の結婚式場と開発したプリン(250円)も定期的に販売している。
はちみつ飴は昔懐かしい味わい
飴とプリンは常に販売できるほど生産ができないため、月に数回程度運営管理事務所で販売している。2018年5月は11日、25日に管理事務所で販売する予定。一方、今年の「新ハチミツ」はこれからビン詰めを進め、6月8日からお目見えするそうだ。
せっせと採蜜中のミツバチ
プリンには春と夏の間のハチミツを使用。毎年ハチミツの味は変わるため、プリンの味も変化する。「普通は味が変わるのは商品としてはよくないこと。けれど、このハチミツプリンではその変化もウリにしています」と永江所長。
取材日はプリンの販売日直前だったため、目下調理中のプリンは拝見することができなかった。ところが、特別に6月ごろの販売を計画しているロールケーキを試食させていただけることに!
生地にも生クリームにもハチミツが使われている
こちらのロールケーキ、生地には夏のハチミツ、クリームには春のハチミツが使われているそうだ。口にすると、確かに砂糖の甘味とは違う、深みのある甘さを感じることができてとてもおいしい。
「夏のハチミツはコクがあるので、生地を焼いても味が乗りやすいのが特徴です。逆に春のハチミツは花の香りが強いので、火を通すともったいない。そこで、生クリームに使っています」とパティシエの中村さん。ハチミツを使ったスイーツを模索するうちに、すっかりスペシャリストになったそうだ。
十分に「ハチミツたっぷりのロールケーキ」に感じたが、更に試作を重ねてハチミツ感を増やしていく予定だという。
こうしたスイーツは一般販売のほかに、アメリカ山公園で結婚式を挙げるときに提供されることもある。事務所で販売する際は期間限定のプリンも、4個以上購入する場合は式場に予約注文できるそうなので、絶対に手に入れたい場合は要チェックだ。
最後に、ミツバチを飼育しているバックヤードも案内していただいた。来園者の安全も考慮して、少し奥まった場所に巣箱が置かれている。
この奥に巣箱がある。よく見るとミツバチの姿が見えることも
アメリカ山公園では3群のセイヨウミツバチを飼育
1群につき約75kgのハチミツを生産可能というから、かなりの量だ。
アメリカ山公園の周囲には緑が多いとはいえ、元町にも隣接する横浜の都心部。そんなにたくさんハチミツが採れるの? と思ってしまうが「実は地方の公園などよりも、アメリカ山公園で採取できるハチミツはとても量が多いんです」と永江所長。
港の見える丘公園や元町公園、外国人墓地など緑が豊かな場所が多く、春から秋まで1年を通して蜜を集めることができるという。
雨上がりの午後ということもあり、活発なミツバチ
一方で、都心部に近く蜜を集める競合相手が少ないという「負の要因」も一因と考えられるそうだ。
公園の緑の豊かさと、都会ゆえの生き物の少なさ、その両方の特徴が現れた結果、アメリカ山公園ではたくさんのハチミツが採取できるということ。こんなところからも、地域の環境に目を向けるきっかけになりそうだ。
「セイヨウミツバチを狙ってスズメバチが来ることがあるので、秋にはトラップを仕掛けることもありますが、基本的には多様性の一部として受け入れています。ハチが刺すときには必ず理由があるので、害虫として駆除するのではなくそれを知ることが大切なんです」と永江所長は話す。
ラベンダーはミツバチにも人気の花らしい
アメリカ山公園のハチミツスイーツは、5月11日、25日にプリンと飴を販売する。6月以降もミツバチの頑張り次第で販売日を決めていくそうだ。
ビン詰めされた「新ハチミツ」は6月8日、9日に行われる「フラワー&グリーンマーケットinアメリカ山公園」で販売。この日ははちみつ飴などのスイーツを販売するほか、ハチミツを使ったチーズピザなどを提供するキッチンカーなども営業するという。
花の香りのハチミツとチーズの組み合わせは想像しただけで絶対においしい。これは6月のアメリカ山公園も見逃せないことになりそうだ。
取材を終えて
季節ごとに色とりどりの花が咲き誇るアメリカ山公園で働くミツバチの味は、まさに横浜山手の地域の味。市販のハチミツとは全く異なる味わいを封じ込めたスイーツは、季節が変わるごとに一食の価値はあると思えた。
ー終わりー
アメリカ山公園運営管理事務局
所在地/神奈川県横浜市中区元町1-11-3 3階
販売時間/午前10:00~午後4:00
電話/045-232-4661
サンパレス六甲(小さな結婚式場)
所在地/神奈川県横浜市中区元町1-11-3 4階
電話(商品問い合わせ)/045-651-6561
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ペコロさん
2018年05月11日 18時57分
記事の主旨とは関係ないのですが、「プリンと飴が管理事務所で販売している」は文法的に誤りです。「が・・・で販売されている」あるいは「を・・・で販売している」が適切な用法です。誤用が一般的になって通用してしまっている現状に危惧を抱いておりまして、嫌がられるだろうなと思いつつあえて指摘させて頂きます。
三日坊主さん
2018年05月11日 13時18分
此処で飼っているのは西洋蜜蜂なのでしょうか?
それとも日本蜜蜂なのかな?
個人的には日本の方を飼って欲しいものですが……
いずれにせよ、これは一度 賞味せねば……