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神奈川区神大寺にある「稲見鉄道模型製作所」ってどんな場所?

神奈川区神大寺にある「稲見鉄道模型製作所」ってどんな場所?

ココがキニナル!

神奈川区神大寺3-11に「稲見鉄道模型製作所」と小さく書かれた家があります。どう見ても普通の民家なのですが、以前から気になっていました。取材してほしいです!(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

オリジナル完成品から各種パーツ・素材の分売、各種機械加工、既製品の修理・改良などを行う、日本でも数少ない鉄道模型の専門工房

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ライター:はまれぽ編集部

よく晴れた5月某日、市営バスの「神大寺入口」に降り立った。今回の目的地は「稲見鉄道模型製作所」。神大寺入口のバス停から徒歩2~3分ほどの場所にあるらしい。
 

のどかな住宅地が広がる

 
投稿によると、どう見ても普通の民家に「稲見鉄道模型製作所」と小さく書かれているようだ。いったいどんな場所なのだろうか。バス停から1分ほど行くと、前方の電柱に目的地の看板が掲げられていた。
 


シンプルかつ心をくすぐられる看板

 
電柱看板のある道を右折し数歩行くと、どう見ても普通の民家に・・・。
 


左上の白い看板に注目!


ありました、稲見鉄道模型製作所!

 
たしかにこれはキニナル!手作りの看板に親しみを感じるが、一見さんはなかなか入るのに勇気がいりそうだ。
 
 
 

いざ、未知なる世界へ!


 
事前に連絡を入れておいたので、約束の時間ちょうどに扉をたたく。扉を開けるとそこには、製作所の名にふさわしい光景が広がっていた。
 


「どうも、こんにちは」

 
笑顔で出迎えてくれたのは、稲見鉄道模型製作所の稲見行雄(いなみ・ゆきお)さん。この製作所で唯一の職人だ。ぐるっと中を見渡してみると、見たことのない、年季の入った機械がいくつも並んでいる。ここでどんな製作が行われているのだろうか。
 
 
稲見鉄道模型製作所とは
 
稲見鉄道模型製作所は1946(昭和21)年創業の鉄道模型専門工房。稲見さんの父が東京都目黒区駒場で創業し、その後港北区の大倉山へ移転。約20年前に現在の場所に移転してきたという。

同製作所では、Oゲージ(縮尺1/43 - 1/45・G=32.0mm)とOJゲージ(縮尺1/45・G=24.0mm)のオリジナル完成品から、各種パーツや素材の分売、各種機械加工(旋盤やミーリング、プレス、シャーリングなど)、ロストワックスやエッチングなどの少量受注作製、既製品の修理や改良、改軌(OJ→O改軌/O→OJ改軌など)、動力化など、多岐にわたって手がけている。
 


写真左がOゲージ、右がOJゲージのレール

 
製作所の中を見学させてもらうと、全くの素人でも目にするもの全てが新鮮でカッコイイ。鉄道模型を愛する人にとっては夢のような場所だろう。
 


同製作所で購入できる完成品の一部

 
上記写真は、稲見鉄道模型製作所で購入できるオリジナル完成品の一部。写真上部に写っているのは「EF57 東海道タイプ 塗装済完成品(59万9000円/税込み・以下同)」。もう一つは、「EF50 塗装済完成品(60万円)」だ。

力強いボディと漂う艶感。細部まで技巧を凝らしており、グッと引き込まれるパワーを発している。普段、このサイズの鉄道模型を目にする機会がほとんどないので、その質感と存在感にただただ感動してしまった。
 


「C62 日立タイプ 塗装済完成品(70万1000円)」

 
稲見鉄道模型製作所で取り扱うのは基本的に、ブラスモデルと呼ばれる真鍮(しんちゅう)製の電気機関車と蒸気機関車の鉄道模型。実際の図面を縮尺し、本物を忠実に製作している。

「なるべく図面を探しますが、その機関区の職人さんが作ったものなどは図面がほとんどないので、交通博物館などで確認したりしています。蒸気機関車はボイラーが重要なので、外形の寸法が図面に載っていない場合は推測が必要なところもあって、時代によって技法や工法も変わるので同じ型でも少しずつ変わってくるんです」
 


窓の位置が少しでもズレるとボツになる

 
オリジナル完成品は50~70万円ほどするので、簡単に手を出せる金額ではない。よって、お客さんは60~70代くらいの方が多いという。実際に走らせる人もいれば、飾って眺める人もいて、楽しみ方によってこだわる点もさまざまなのだとか。
 


稲見さんの父の代から使用している機械もある

 
「完成品の注文は年に7本ほど。見本で飾っているEF57は、特急車両として東海道線を走っていた時代のものです。退職記念に購入されたあるお客様は、『八甲田から特急で上野に来たから、EF57が東北本線を走っていた時代の鉄道模型がほしい』とのご要望をいただきました。ナンバープレートや、どういう時代を走っていたかなど、出来る限りを再現しています」と稲見さん。
 


人気の日本国有鉄道「特急つばめ号」のヘッドマーク

 
特急つばめ号のエッチングパーツはヘッドマークのほかに、C62形の除煙板(デフレクター)に付いていた「つばめマーク(840円/1車輌分)」もあり、イベントの際にアクセサリーのパーツとして女性が購入していったこともあるのだとか。

ある程度数が必要なパーツについては原型を作り、専門の場所で複製(ロストワックス/ロウを利用した鋳造方法)。ナンバープレートや製造銘板、換算表記プレートなどはエッチング(腐食作用を利用した加工方法)で真鍮板の表面を加工している。
 


日立と川崎車輌の製造銘板(各420円/1車輌分)


EF50のデッキ部分に使用する「菱目エッチング板」は菱目の大きさが2種類ある

 
中には、お客さんの意見を反映して新たに取り扱うようになったパーツもある。上記写真は、デッキ部分と、デッキに上がるまでの階段部分でそれぞれ菱目のついたエッチング板を使用するのだが、階段部分は面積が狭いので菱目の入る数が少なくなってしまう。
お客さんから「もう少し菱目の細かいものはないか」という声があり、以来、菱目が大きいものと細かいもの両方を用意しているという。

模型に接した年代や楽しみ方がお客さんによって違うので、お金をかける所も変わってくる。今では自分で作る人も減り、改良や修理の依頼が多いそうだ。
 


写真左が「コースティング ギヤボックス(2万7800円)」、右は「ギヤボックス(1万100円)」

 
素人目に見ても、ひとつひとつのパーツが精巧で丁寧に仕上げられていることは一目瞭然。虫眼鏡で見ないと分からないような小さなパーツを組み立て、加工し、気の遠くなるような作業を稲見さんはお一人で回している。まさに職人だ。
 


「好きなだけでは続けられない仕事だからね」

 
稲見さんがこの仕事を始めたのは28歳くらいの時。大学を卒業してすぐは違うことをしていたのだとか。
これまで鉄道模型の制作に携わりたいという人が稲見さんのもとを訪れたそうだが、「鉄道が好きなだけでは続けられないし、電気の知識やはんだ付けの技術も必要。特殊な業界だから、新しい技術も取り入れながら常に勉強する姿勢も大事」と、仕事の厳しさについて語る。
 


稲見さんの作業スペース。ジブリの世界に出てきそう


機械も丁寧に手入れされていた

 
鉄道模型は格式の高いイメージもあったが、稲見さんは素人にも分かりやすいように説明してくれるし、何より作品がすべてを物語っている。ひとつひとつ愛情をもって製作していることが伝わってくるので、眺めているだけで温かな気持ちになってくるのだ。

住宅地の中にあって少々入りづらいかもしれないが、鉄道模型に興味がある人は年齢に関係なくぜひ足を運んでその目で見てほしい。臨時休業などもあるそうなので、連絡を入れてから訪れることをおすすめする。
 


稲見さん「ぜひ気軽に来てください」

 
 
 

取材を終えて


 
当たり前だが、稲見さんの鉄道に関する知識は桁違い。興味深かったのは、新幹線や京急線などは国際規格のOスケールと同じ軌間で、JR線はOJスケールの軌間というお話。そう思ってみると、たしかに京急線はどっしりとした印象でJRはスマートな印象がある。
 


製作所内は鉄道への愛が溢れていた

 
鉄道模型の世界に心が動かされた筆者。手始めに、鉄道模型のコンテストや展示会などに足を運んでみたいと思う。
 
 
ー終わりー
 
 
稲見鉄道模型製作所
住所/横浜市神奈川区神大寺 3-11-8
電話(FAX)/045-481-0311
メールアドレス/inami@asahi.email.ne.jp
営業時間/13時~18時
定休日/日曜日、祭日休業(※水曜日臨時休業あり。水曜日は事前に連絡が必要)
https://inamimodel.jimdo.com/

※情報は取材当時のものです

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  • 移転を繰り返し消息不明になってしまったお店もあります。繁華街ではなく住宅地にお店が残ってる事に感動しました!!

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